昨年3月29日にお笑いタレントの志村けんさんが亡くなってから、早1年がたった。新型コロナウイルス感染拡大下ということもあり、葬儀は限られた親族のみで営まれ、お別れ会なども行われていないが、いまだに志村さんのお墓や自宅前には多くのファンが訪れ、お花などを置いていくという。
「実兄の知之さんが各メディアの取材に応じ明かしていますが、1周忌を迎えた今も、志村さんの自宅や遺産、さらには自宅に残された膨大な量のDVDや書籍類などが、整理できないまま手つかずで残っているようです」(週刊誌記者)
志村さんといえば、多くのタレントたちに慕われ、連日のように東京・麻布十番界隈で飲み歩いていたことでも知られているが、一方では優香や橋本マナミなど、年の離れた女性タレントとの“恋仲”が報じられるなど、“モテ男”の一面もあった。生前の志村さんを知る関係者たちに取材したことがある週刊誌記者はいう。
「志村さんが飲むときは、いつもタレントや俳優などの同業者が複数いて、ワイワイ飲むスタイル。優香や橋本などとも2人きりで会うことはなく、いつも“飲み会メンバーのなかに彼女たちもいる”という感じで、恋人説も単なる噂にすぎなかったようです。志村さんの家政婦が『女性セブン』(小学館/4月8日号)の取材に対し、志村さんは自身が有名人ゆえに家族が危険な目にあったり、辛い思いをしたりすることを危惧して、結婚を避けていたと証言していますが、関係者たちの話を聞く限り、そもそも志村さん本人に結婚願望はなかったのではないでしょうか」
また、別の週刊誌記者はいう。
「以前六本木にあった某高級クラブでよく志村さんに同伴していたという女性の話によれば、いつも同じ鉄板焼き屋で2人で食事をしてからクラブに入店し、そこに上島竜兵(ダチョウ倶楽部)などの後輩芸人が合流するというパターンが多かったようです。その女性いわく、志村さんはどちからといえば、いつも寡黙で、一緒にいて嫌な思いをしたことは一度もないということでした。また、麻布十番の行きつけのガールズバーには、一人でフラっと行くことも多かったといいます」
「とことんまで考えて考えて緻密に計算」
そんな志村さんに密着したNHKのドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀 志村が最後に見た夢~コメディアン・志村けん~』が30日に放送され、素顔の志村さんをとらえた貴重な映像が多数公開され、大きな反響を呼んでいる。
志村さんはすでに“大御所芸人”としての地位を築いていた65歳のとき、普段多用する扮装やギャグを一切使わずに“素の状態”で演じるコント番組、『となりのシムラ』(NHK)に挑んだという。
「素では俺、そんなに面白くないんですよ。それがカツラとか役に、その人になると、何かできるのね。大胆なことがいける気がする」(志村さん)
その番組内で演出を担当した吉田照幸氏は、志村さんに何度か“ラーメン屋の行列に並ぶ”という設定のコントを提案したが断られ、「俺、行列に並んでまで、ラーメン食わないから」と言われたという。
「ものすごくマス(多数)の人が体験していることと、よくニュースにはなるけど体験してないことっていう仕分けは、すごいはっきりされてました。『ラーメン屋』『行列』っていう今どきのことを外した結果、“蕎麦屋に来て食えなかった”というコントに結局なるんですよね。それは、誰にでも“食いたいものを食いに行ったら、食えなかった。じゃあ、他のものを食えるかっていったら、それは嫌だ”。そういう原始的なところまで落とし込んでるわけですよね。だから、どれもシンプルですよね、結果的に」(吉田氏)
志村さんの挑戦はこれだけではない。56歳になって舞台『志村魂』を始め、以降、亡くなるまでの14年間、毎年、全国各地で公演を行っていた。その理由について、志村さんはこう語る。
「テレビだけだと、そのなかでスタッフは笑ったりするんだけど、ちょっと不安になるんだよね。舞台でやると、お客さんの反応と拍手と笑い声が、すごい自分の勇気と自信になっていくのね。『じゃあ、やっててよかった。これでもう1年、このままでいける』と思うわけだよ」
番組内では志村さんの意外な一面が垣間見える場面もみられた。これまでゴールデン帯をはじめ数多くの冠番組を持ってきた志村さんだが、コント番組の収録前夜には緊張して眠れないことも多かったという。
「寝ようとするんだけど、『あっ、そうだ、あそこ、どうしようかな』って、自分で不安なところが10カ所くらいあったりするんで、そこをセリフ考えにいったりとかね。もう不安で寝られなくなっちゃうんですよ。結構、僕、気が小さいんですよ。こう見えても。受けなかったら怖いっていうのがあるんで、だから、とことんまで考えて考えて緻密に計算してやってくんですよね」(志村さん)
「マンネリって言われるのが、全然怖くもなんともない」
このほかにも、「バカ殿」や「ひとみばあさん」「変なおじさん」など、定番のキャラクターやギャグをやり続けた理由について、志村さんが説明する貴重なVTRも流された。
「ベタをもっとちゃんとやらないといけない、と思ってるんですよ。ベタって、みんなバカにしてやらないけど、本当はベタなやつをタイミングと間を良くやったら、すっごいいいもんになるんですよ。マンネリが僕、好きなんですよ。毎回見ても面白いのが理想。マンネリって言われるのが、全然怖くもなんともないですよね」(志村さん)
こうした身をすり減らす覚悟でお笑いに向き合い、最後までストイックな姿勢を崩さなかった志村さんに迫った今回の『プロフェッショナル』の放送内容を受け、Twitter上は次のような声が多数あがっている。
<志村けんという人間の凄さに改めて気づかされた>(原文ママ、以下同)
<プロフェッショナルの志村けんの回最高だった。。また泣いてしまった。いい話>
<ギャグなりキャラクターなり、1つのことをとことんやり続けて「マンネリ」までいかないと、と。みんな展開もオチも知ってる。けど楽しんでる。マンネリと言われたい、と。志村けん氏の言葉に衝撃を受けたし、ある意味では救われた>
<笑いへの姿勢、仕事への姿勢。これぞプロ。たくさんの言葉を嚙み締めました>
志村さんの凄まじいほどの“プロフェッショナル”ぶりが、多くの視聴者の心を打ったようだ。
(文=編集部)