21日、中山競馬場ではスプリングS(G2)が行われる。皐月賞(G1)の切符3枚を巡る激しい争いが予想される一戦を制するのは、果たしてどの馬か。
注目の的はランドオブリバティ(牡3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)だろう。
衝撃の4角逸走→落馬競走中止に終わったホープフルS(G1)から、まもなく3か月。その後は厩舎一丸となって矯正に乗り出し、左回りの中京で開催されたきさらぎ賞(G3)に出走。厩舎の努力が実ったのか、悪癖は顔を出さず、逸走することはなかった。ただ、道中の位置取りが後ろ過ぎたことが響き、3着に敗退。陣営はそれまで手綱を取っていた三浦皇成騎手からM.デムーロ騎手への乗り替わりを決断した。
ところが、先週末にデムーロ騎手が騎乗停止処分を受けたため、再び三浦騎手にチャンスが巡ってきた。今回は再び右回りの中山、そしてホープフルSと同じコーナー4つを回る。三浦騎手にとっては、結果が求められる試練の“再登板”となりそうだ。
そのランドオブリバティを生産したのは社台ファーム。現3歳世代は、先週の弥生賞(G2)まで延べ22頭が重賞に出走しているが、いまだ勝利がない。ホープフルSで2番人気の支持を受けた期待馬が社台ファームのうっ憤を晴らしたい。
同じ社台グループでもノーザンファームの生産馬は、この世代でも活躍著しい。昨年の札幌2歳S(G2)からチューリップ賞(G2)まで何と19連勝という離れ業を見せた。この10年ほどで、2大巨頭には埋めきれないほどの差が生まれているのは周知の通りだ。
そのノーザンファーム生産馬で有力視される1頭がヴィクティファルス(牡3歳、栗東・池添学厩舎)だ。
キャリア1戦で臨んだ前走・共同通信杯(G3)は、7番人気という低評価ながら2着に食い込んだ。勝ったエフフォーリアには2馬身半ちぎられたが、相手はデビュー3連勝を飾り皐月賞で上位人気間違いなしの素質馬。デビュー2戦目でその馬に迫り、シャフリヤールやキングストンボーイ、ステラヴェローチェとの激戦を制して2着に入ったのは実力があってこそだろう。
鞍上は池添謙一騎手に乗り替わるため、池添学調教師との兄弟タッグが実現する。社台グループをリードするノーザンファーム生産馬のヴィクティファルスが、復活を期すランドオブリバティの前に立ちはだかるか。
社台グループの最古参・社台コーポレーション白老ファームの生産馬レインフロムヘヴン(牡3歳、美浦・堀宣行厩舎)も重賞級の素質を秘める。
白老ファームの生産頭数はノーザンファームの4分の1程度という少数精鋭だが、オルフェーヴルやジャスタウェイ、ショウナンパンドラなどのG1馬を多数生産。現4歳世代からはラウダシオンも出ている。
そして、現3歳世代の大将格とも言える存在がレインフロムヘヴンだ。昨秋の百日草特別(1勝クラス)では、エフフォーリアと1.1/4馬身差の2着に入っており、2歳時からその実力の一端は垣間見せていた。エフフォーリアとの着差だけを見れば、ヴィクティファルスより実力は上ともとれるだろう。
その後は、中1週で臨んだ東京スポーツ杯2歳S(G3)で8着に敗れたが、2か月ぶりの前走・フリージア賞(1勝クラス)では堂々逃げ切り勝ちを収めた。自慢の先行力で2強の間に割って入れるだろうか。
この他には、フリージア賞でレインフロムヘヴンの2着に入ったイルーシヴパンサー(牡3歳、美浦・久保田貴士厩舎)も侮れない。社台グループで最も新しい1996年に開業した追分ファームの生産馬でもあり、社台グループの一員として同馬を皐月賞に送り込みたいところだろう。
7戦2勝のヴィゴーレ(牡3歳、栗東・松永幹夫厩舎)は、昨年のクラシックで社台グループに大きく立ちはだかったコントレイルと同じノースヒルズ生産馬。前走のつばき賞(1勝クラス)では父キズナを彷彿とさせる後方からの差し切り勝ちを見せた。その勢いで皐月賞への切符を狙う。
ヴェイルネビュラ(牡3歳、美浦・大竹正博厩舎)とボーデン(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)はともにノーザンファーム生産馬だ。
前者は2走前の百日草特別でエフフォーリアを抑えて1番人気に支持された素質馬(5着)。前走ジュニアC(OP)を制し、2連勝を狙う。後者は1月末に未勝利戦を勝ち上がったばかり。祖母はアドマイヤグルーヴという良血馬で、鞍上にはデビューから3戦連続で川田将雅騎手が騎乗を予定している。
今年のスプリングSは社台グループ間の“覇権争い”ともいえる現在の日本競馬界の縮図のようなレースとなりそうだ。勝って皐月賞に名乗りを上げるのは果たしてランドオブリバティか、それともヴィクティファルスか、はたまた……。発走は21日(日)の15時45分予定だ。