「真の怪物」誕生か――。
先週行われた東京競馬5Rの未勝利戦は、ボーデンが6馬身差の圧勝。次元の違う走りで、見ているものを驚かせた。
レースは16頭立ての芝1800m戦で、好スタートから好位に控えると道中は抜群の手応えで外々を追走。騎乗した川田将雅騎手が、残り400m手前で軽く促すと、一気に突き抜けて他馬を置き去りにした。
ボーデンの叩き出した勝ち時計「1.45.2」は、過去に東京競馬場で行われた3歳戦の1800m戦としては最も速いタイム。3歳以下でこれを上回ったのが2019年の東京スポーツ杯2歳S(G3)で、勝ち時計は「1.44.5」だった。
勝ち馬は、後のクラシックで三冠馬となるコントレイルだ。
しかし、当時の時計は鞍上のR.ムーア騎手がゴールまでしっかり追ってのもの。現時点でコントレイルと比較するのは可哀そうだが、少なくとも最後に流す余裕のあったボーデンが、いかにスケールの大きい馬かがわかるだろう。
ただ、こんなボーデンを上回る「とんでもない」可能性を秘めた馬が存在する。
ボーデンが勝利したのは未勝利戦で、デビュー戦では2着に惜敗。今回、圧勝を飾った川田騎手が、レース後に「前走は勝った馬が強かったですからね」と語ったように、このデビュー戦での勝ち馬こそが「真の怪物」といえるのかもしれない。
7日、中京競馬場で行われるきさらぎ賞(G3)への出走を予定している真の怪物候補。その馬こそ、ディオスバリエンテ(牡3歳、美浦・堀宣行厩舎)だ。
デビュー戦でボーデンとの接戦を制したディオスバリエンテだが、3着のアサマノイタズラ以下は0.8秒以上も突き放している。しかも、そのアサマノイタズラが次走を2着に4馬身差をつけて快勝しているのだから、そのレースレベルの高さは疑いようがない。
さらに、1.1秒離された5着のグローリアスサルムまでもが次走を勝利。まだ1戦1勝の同馬だが、その大物感が今からクラシックを意識させる。
ディオスバリエンテの母ディアデラノビアは、エピファネイアやサートゥルナーリアを輩出したシーザリオと同世代の活躍馬。しかし、シーザリオが日米オークスを制したのは対照的に、G1制覇を成し遂げることはできなかった。
その夢は子供たちへ託され、これまでオープンでの活躍馬も数多く輩出してきたディアデラノビア。府中牝馬S(G2)はじめ重賞3勝のディアデラマドレ、京都大賞典(G2)と京都2歳S(G3)を制したドレッドノータスなどをターフへと送り込んだが、母と同じくG1を勝利した馬はこれまでにいない。
しかし、ディオスバリエンテには、これまでの産駒以上に「G1制覇」の期待が高まる。
「アーモンドアイまで活躍馬が出なかったフサイチパンドラ(父サンデーサイレンス)ですが、父にロードカナロアを迎え芝G1・9勝という大偉業を成し遂げています。ディアデラノビアも同世代に活躍したサンデーサイレンス産駒ですから、ロードカナロアで覚醒するかもしれませんよ」(競馬記者)
アーモンドアイの母フサイチパンドラは2006年のエリザベス女王杯(G1)を制覇。その時に0.1秒差の3着と惜しくも涙を飲んだのが、ディオスバリエンテの母ディアデラノビアだった。
ディオスバリエンテは、ディアデラノビアに初めてロードカナロアを配し生まれた仔で、アーモンドアイと同じく母父サンデーサイレンスを持つ。これまで1勝するのがやっとという成績だったフサイチパンドラの仔が歴史的名牝となったように、ディオスバリエンテも大きな可能性を秘めているといえるだろう。
母が手にできなかったG1勝利。ディオスバリエンテなら、その夢を掴めるのかもしれない。