25日、京都競馬場では3歳クラシックの掉尾を飾る菊花賞(G1)が行われ、福永祐一騎手の1番人気コントレイルが優勝。父のディープインパクト以来、15年ぶりとなる無敗の3冠馬が誕生した。
先週、デアリングタクトが秋華賞(G1)を優勝して牝馬の無敗3冠を達成。同年に牡牝いずれも3冠馬が出たのは史上初であり、競馬の歴史に新たな1ページが刻まれた。
その一方、ノーザンファームは4/6の抽選を突破して滑り込んだアリストテレス(牡3、栗東・音無秀孝厩舎)が、コントレイルをあわやというところまで追い詰めたものの2着惜敗。これにより、生産界の絶対王者は14年ぶりにクラシック未勝利の屈辱味わうこととなった。
なんとしても最後の1冠で一矢を報いたかったところだろう。秋華賞では4頭にとどまったが、菊花賞にノーザンファームは総勢7頭の刺客を送り込んだ。
そして、結果的にコントレイルの無敗3冠を許しはしたものの、最後まで苦しめたことは大きな前進だ。改めて層の厚さと底力を感じさせる結果だったといえるだろう。
コントレイルが2冠を無敗で制した春。アリストテレスは皐月賞(G1)どころか日本ダービー(G1)出走も叶わない立場だった。クラシック挑戦もままならなかった馬が、条件戦を連勝したばかりの身ながら「雲の上の存在」ともいえる春の2冠馬相手にクビ差の接戦まで持ち込んだのである。
フルゲート18頭立てのレース。2枠3番のコントレイルに対し、5枠9番のアリストテレスのC.ルメール騎手は徹底的にマンマーク。コントレイル陣営が適性距離ではないと危惧した淀の3000mをピタリと張り付き、プレッシャーを与え続けた。
終始、外から蓋をされる格好となったコントレイルだが、最後の直線を迎えてようやく解放されたかと思われたのもホンの束の間に過ぎなかった。
アリストテレスが猛然と追い上げて真っ向勝負を挑む。何とかクビ差で下剋上を凌いだとはいえ、ゴール前ではクビ差の大接戦。これまで同世代相手に圧倒し続けていた絶対王者が、ここまで追い詰められたのはデビュー以来はじめての経験だった。
レース後、ルメール騎手は「すごくいい競馬。ずっとマークして直線で一緒にファイトした。ラスト150mでフルパワーを使ったけど、コントレイルは全然止まらなかった。おめでとう。強過ぎる」と敬意を表し、アリストテレスを管理する音無師は「文句は1つもない。来年の天皇賞(春)が楽しみになった。ルメールさんはさすが」と、令和初の3冠馬に脱帽した。
だが、結果的に勝ったとはいえ、ここまで一切の隙を見せなかったコントレイルが、同世代の馬に肉薄された事実は見逃せない。
「現在の内が荒れた京都の馬場は相当堪えたと思われます。ただでさえ3000mの距離に不安があったコントレイルだけに、福永騎手もできるだけロスなく走りたいところ。ですが、馬場の傷んでいる内を空ける必要があったため、かなりスタミナを奪われたのではないでしょうか。
菊花賞で苦戦した理由が距離だったと考えると、完全無欠の王者が初めて見せた弱点といえます。最大目標である3冠のためにあえての参戦と考えれば、おそらくさらに距離が延びる春の天皇賞に使わない可能性も高くなりました。
また、適性外の距離を目一杯走ったダメージは大きいでしょう。次走はジャパンC(G1)を明言していますが、疲れが抜け切らない場合は回避もあり得るでしょう」(競馬記者)
ノーザンファームにとってエース格といわれるサリオスでさえ、届かなかった王者の背中。
菊花賞はもう少し距離があればと思えるほどの大健闘。アリストテレスはクラブではなく近藤英子オーナーの所有馬ではあるが、ノーザンファーム出身馬であることは確かだ。
上がり馬である同馬の成長は、大きな自信となるに違いない。