JRA菊花賞(G1)抽選「4/6」へ懸ける思い。丸山元気「恩返しをしたい」……G1前日に起きた「悲劇」のアクシデント

 25日、京都競馬場で3歳クラシック最終戦の菊花賞(G1)が行われる。

 舞台の京都競馬場は11月1日の開催を最後に2年5カ月の改修工事へ。これが現・京都競馬場では最後のG1レースとなる。

 今年の菊花賞は、フルゲート18頭のところに29頭が登録。収得賞金1500万円組での抽選(4/6頭)となる。

 その中の1頭、ココロノトウダイ(牡3歳、美浦・手塚貴久厩舎)は、群馬県内で会社経営をする星野壽市(じゅいち)オーナーの地元愛を受け、同郷の丸山元気騎手が手綱を握る。

 星野オーナーの所有馬で手塚厩舎といえば、やはり桜花賞(G1)を制したアユサンだろう。

 丸山騎手がこれまでのG1騎乗で、4番人気以内の馬に騎乗したのはアユサンのみ。丸山騎手にとっても、これまでの騎手人生で最もG1をとれると感じた馬なのではないだろうか。

 デビュー戦を蛯名正義騎手で快勝したアユサンは、2戦目から丸山騎手が手綱を握る事となる。重賞となった第1回のアルテミスSに出走したアユサンは、スタート後に挟まれて後方からの競馬となったが、そこから追い込んで2着と健闘。収得賞金を加算し、阪神JF(G1)へと駒を進めた。

 阪神JFでは4番人気に支持されたアユサンであったが、結果は7着。

 レース後、丸山騎手は「初めての右回りで終始外に逃げていました。今日はそれだけです。能力はこんなものじゃない」と本馬の能力を疑わなかった。

 桜花賞(G1)へ向けての前哨戦、チューリップ賞(G3・現G2)へと出走したアユサンは、ここで3着と健闘する。

「前回よりはマシでしたが、右回りだとまだ走りが上手ではないですね。本来なら、あそこから突き抜けるだけの力を持っている馬です」とコメントした丸山騎手は、本番での巻き返しを狙っていたに違いない。

 しかし、桜花賞の前日にアクシデントは起きた。

 福島競馬場で行われた未勝利戦。丸山騎手はゴール前で抜け出し先頭に立ったが、急に馬が外側へ逃避。バランスを崩した丸山騎手は落馬し、腰椎横突起骨折と診断され桜花賞への出走が叶わなくなった。

 桜花賞で騎乗を予定していたアユサンは、来日していたC.デムーロ騎手に乗り替わり。右回りを克服したアユサンは、7番人気ながらも勝利を収めた。

 続くオークスでは、ケガから復帰を果たした丸山騎手が再度手綱を握る事となる。

『競馬ラボ』のインタビューにて、丸山騎手は「正直、もう一度乗せてもらうのは難しいかと思っていたので、こうしてまた乗せていただけるのは有難いこと」と感謝し、「オーナーにも自分が乗れない頃からお世話になっているので、ここで勝って恩返しをしたいです」とも語っていた。

 しかし、その夢はかなわずオークスでは4着に敗れる。その後アユサンは左前下肢部炎症を発症し、2013年一杯は全休。約9カ月半後の中山記念(G2)で復帰するも最下位の15着、続くダービー卿チャレンジトロフィーも11着に敗れ、引退に至っている。

 オークスへの出走前「桜花賞の時が本当に具合が良過ぎるぐらいだったので、やっぱりその時に比べたら落ちる部分はあります」とも語っていた丸山騎手。馬が最高の状態であった時に乗れなかった事は、試練としては厳しすぎるものであった。

 菊花賞への出走を目論むココロノトウダイも、星野オーナーの所有馬。「恩返しをしたい」という気持ちは今も変わっていないはずだ。

 乗れなかった桜花賞、夢破れたオークス、そして今回の菊花賞――。

 まだ抽選という難関は残っているが、丸山騎手のここへ懸ける思いは人一倍強いだろう。出走が叶うようなら、ファンに気持ちのこもった騎乗を見せてくれるはずだ。