先週のデアリングタクトと同じく、コントレイル一色となりそうな今年の菊花賞(G1)。
コントレイルはデビューから6連勝し、内3勝がG1という規格外の「怪物」である。前哨戦となる前走の神戸新聞杯(G2)ではアッという間に抜け出すと、最後は抑えるほどの余裕があったのだから注目が集まるのも当然だろう。
しかし、今回の菊花賞は淀の3000mという若駒にとって初めての距離設定。何が起こっても驚けない舞台である。
そんな中、一発逆転の魅力を秘めるのがヴェルトライゼンデ(牡3歳、栗東・池江泰寿厩舎)だ。
騎乗する池添謙一騎手は、過去にオルフェーヴルで菊花賞を制しているが、そのオルフェーヴルも本馬と同じ池江厩舎の管理馬。池添騎手にとって池江調教師とのコンビでは、それ以来の菊花賞挑戦となる。
オルフェーヴルは菊花賞を含むクラシック三冠馬で、G1レースは生涯で6勝。日本競馬の悲願となっている凱旋門賞(G1)でも、2年連続の2着と時代を彩った名馬である。
オルフェーヴルの全兄、ドリームジャーニーにも騎乗していた池添騎手。今年の菊花賞で騎乗するヴェルトライゼンデは、父がそのドリームジャーニーである。
オルフェーヴルとドリームジャーニー、どちらも気性が悪かったが『ラブすぽ』(日本文芸社)によるトークショーでは、池添騎手が「オルフェーヴルよりドリームジャーニーの方がヤバい」と語っている。
その気性から「暴君」などと称されるオルフェーヴルだが、こちらはオンとオフがしっかりしていたとの事。対してドリームジャーニーはずっとチャカチャカしており、こちらの方が気性は悪かったようだ。
父ステイゴールドに似て気性難が目立ち、馬体重も420㎏前後と牡馬としては小さかったドリームジャーニー。また、ほとんど怪我もなく31戦走り抜いた丈夫な身体も父譲りだったといえるだろう。
しかし、その気性の悪さからか、成績が安定しなかったドリームジャーニー。2歳で朝日杯FS(G1)を制しながらも、クラシックでは皐月賞(G1)8着、日本ダービー(G1)5着、菊花賞(G1)5着と掲示板に乗るのがやっとだった。
池添騎手が初めてコンビを組んだのはドリームジャーニーが4歳の時で、重賞を連勝するなどじょじょに能力は開花。5歳時には宝塚記念(G1)、有馬記念(G1)の春秋グランプリを制覇し、この年のJRA賞最優秀4歳以上牡馬にも選出された。
オルフェーヴルが現役最後の有馬記念を勝利した際は466㎏。馬体重の違いや気性を考えれば、そのポテンシャルは弟以上だったのかもしれない。
そんなドリームジャーニーを父に持つヴェルトライゼンデも、ポテンシャルは相当高い。
デビュー戦、萩S(L)と2連勝し、その後の重賞5戦で2着が3回ある。しかし、5戦中4戦は勝ち馬がコントレイル。4回対戦し、一度も先着をした事はない。
ただ、今回の舞台は菊花賞だ。
父の全弟オルフェーヴルが菊花賞を制し、翌年には同じ父ステイゴールド、母父メジロマックイーンのゴールドシップが菊花賞を制している。
さらには、ヴェルトライゼンデの1つ上の兄は、昨年の菊花賞を制したワールドプレミア。
この舞台でなら、互角に渡り合える可能性は十分に残されている。
『サンスポZBAT!競馬』によると、池江調教師は「馬体も気性面も(父ドリームジャーニーに)似ていないね」と話しており、距離についても「2000、2400mと延びていいと思う」とコメント。
「どちらかというと友道厩舎の(半兄)ワールドプレミアに近いかもしれない」と話している事からも、ここで最高のパフォーマンスを発揮する可能性は高そうだ。
前走は熱発の影響で、予定していたセントライト記念(G2)からスライドしての神戸新聞杯に出走。陣営もレース前は「使って良くなるタイプだし、動きもまだ重いですね」と弱気な発言だった。
レースでも18番枠のためなかなか内に入れることができず、不利のあった馬からアオりも受けた中での2着。レース後は「叩いてまだ良くなるはずですし、本番が楽しみ」と話していた陣営。一発「大逆転」を秘めた「狂気」の血統に静かなる闘志を燃やしている。
父ディープインパクト以来、史上3頭目の無敗の三冠を狙うコントレイル――。
阻止するとすれば、それはヴェルトライゼンデなのかもしれない。
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