JRA史上初の快挙へ―― 安田隆行調教師「まさか、ここまで活躍するとは」……。 悲願「父ロードカナロア」でのG1制覇へ“夢”のスプリント配合が走り出す

 父ロードカナロアでのG1勝利へ――

 先週のスプリンターズS(G1)では、惜しくも2着に敗れたダノンスマッシュ。安田隆行厩舎としてはダイアトニック(13着)とのロードカナロア産駒2頭出しで挑んだが、勝利を得る事はできなかった。

 厩舎にとって特別な存在だったロードカナロアの産駒でのG1制覇は、またもお預け。次のG1出走に持ち越される事となった。

 安田隆師といえば、スプリンターを育て上げるのを得意とする調教師だ。ロードカナロアも現役時代に師が管理し、G1を6勝。日本ではスプリンターズS、香港でも香港スプリント(G1)を連覇した世界的名スプリンターだ。

 ロードカナロアには思い入れのある師だけに、その産駒でのG1制覇は悲願となっている。

 そんな中、安田隆厩舎の新たなロードカナロア産駒が、春のスプリントG1「高松宮記念」に照準を合わせているという。先月末の長篠S(3勝クラス)を快勝したカレンモエ(牝4歳)だ。

 安田隆調教師は『中日スポーツ』の取材に「前走の勝ちっぷりなら、重賞でもやれると思います。この後は京阪杯からシルクロードS、そして高松宮記念へ」と、今後の期待を口にしたという。

 京阪杯→シルクロードS→高松宮記念というローテーションは、まさにカレンモエの父であるロードカナロアと同じ。そこからスターダムへと駆け上がった父を思えば、師の期待感がヒシヒシと伝わってくる。

 カレンモエは、父ロードカナロアに、母がカレンチャンという血統。

 母のカレンチャンも安田隆厩舎で管理されていたが、こちらもG1を2勝。春秋スプリントG1である、高松宮記念とスプリンターズSを制した名スプリンターだ。安田隆調教師にとって、カレンモエはまさに“夢”の詰まった血統なのである。

「種付けすると聞いた時は、話題性のある馬になるだろうと思いました」

 そう振り返る安田隆調教師。実際カレンモエは、これまでのレースで全て1番人気とファンの期待も大きい。

 カレンモエの馬名意味は「冠名+夢(ハワイ語)」。オーナーの鈴木隆司氏が「夢の血統でファンに夢の様な走りを届けたい」との思いから、命名した馬名だ。

 2012年のスプリンターズSでは、2番人気だったロードカナロアが1着、1番人気だったカレンチャンが2着と、カレンモエの父母がワンツー。本馬の血統は、ファンにとってもまさに“夢”のスプリント配合といえるだろう。

 安田隆調教師は「まさか、ここまで活躍するとは」と、その成長力に目を細める。デビュー時には「まだ緩さがあって、ゲートの出もいいとは言えません」と弱気であった師であったが、馬の成長とともに今は自信に満ち溢れている。

 同厩舎での父母G1馬の産駒が、同厩舎でG1制覇となればJRA史上初の快挙。そんな偉業も、カレンモエなら成し遂げられるかもしれない。