パチンコ店にはトラブルがつきものです。これまでコラムで色々なトラブルをご紹介させていただきましたが、ホールでは「ほぼ毎日何かしらのトラブル」が起きております。
私が勤めていたホールで一番多かったトラブルは、断トツで玉詰まりでございます。湿気によって玉の流れが悪くなるので、特に梅雨の時期などは多くの玉詰まりを対応しておりました。
こういったトラブルは防ぎきれない不可抗力なものであり、お客様もある程度ご理解してくださっているので大したトラブルにはならないのですが…。
ホール店員の人為的なミスで起きるトラブルともなると話は別です。特に、お客様に多大なるご迷惑をお掛けしてしまう「致命的なミス」は始末書を書かされる場合もあります。
私が過去最高にやらかしたミスと言えば、以前のコラムでもご紹介した「大当りが消滅」してしまったトラブルです。
あれは忘れもしない「アナログ機」でのトラブル対応でした。盤面中央にあるクルーン役物内の特定の穴に玉が入ると大当りとなる機種で、私は大当り消化中に呼び出されました。
アタッカーへ向かう途中で玉同士が進路をふさいでブドウ状になっており、大当りが消化できない状態でお客様が困っていたのです。
「すぐに玉を取らないとアタッカーが閉まって出玉が少なくなる」と判断した私は、急いで玉を取り除いて扉を閉めたのですが…。
勢いよく閉めてしまった影響で「振動検知エラー」を誘発させてしまい、遊技台が不正な大当りと判断して「大当りが消滅」する事態となったのです。
ホール店員がお客様の大当りを消してしまうのは「一番やってはいけないミス」です。いくら土下座して謝罪を重ねたところで大当りは戻ってきません。お客様の楽しみを奪ったという事実が覆る事はないのです。
この時は、該当機種の確変突入時に見込める獲得玉数を補償する事で、お客様に納得していただくことができましたが…。
実を申し上げますと、私は「大当りを消滅」させた時と「同じレベルの衝撃」を受けたミスをしてしまった事がございます。今回は「ホール店員をクビ」になる事すら覚悟したエピソードをご紹介しましょう。
あれは今のように日が沈むのが遅く、夕方の時点では外がまだ明るい夏の日の出来事でした。私は遅番で、ホールリーダーとして責任のある仕事を任されておりました。
勤め先の会社では、精算機の現金やカウンターの機械に特殊景品を収める業務は、ホールリーダーのみが行っていたのです。その他にも色々と責任の伴う業務があるのですが、中には意外な作業も存在しております。
それは、店舗内と外の照明の切り替えです。
「そんなの誰でもできるじゃないか」と思われるかもしれません。ただ、そんな簡単な行為が思わぬ事態を招いてしまったのです。
私は日が暮れて外が暗くなってきたのを確認して、いつものように店舗外の照明のスイッチを入れました。するとホールを巡回していたスタッフから思いもよらない一言がインカムで入ってきたのです。
「銀次さん何か変なボタン押しましたか?」
これを聞いた私は、何を言っているのかさっぱり意味が分かりませんでした。「自分は外の照明を付けただけなのに」と思いながら、不思議に感じてホールの様子を覗いてみました。
すると、そこには真っ暗な空間の中で遊技台の筐体ランプと、液晶だけが光り輝いている異様な光景が目に入ってきたのです。
思いがけない衝撃的な光景を前に、私は完全にテンパってしまいました。「何だか分からないけどやばい!」と感じ、脳内は完全に混乱し「触れてはいけないスイッチを入れてしまったのか?」や「まさか台の電源を落としてしまったとか…」という考えたくもないシチュエーションを思い浮かべてしまったのです。
仮に間違って遊技台の電源を落としてしまった場合、お客様全員が遊技できない状況となってしまいます。それだけならいいですが、万が一大当り中にタイミング悪く落ちてしまった際は、「大当りが消滅」するという最悪の事態となる事もあり得るでしょう。
悪意がないとはいえ、業務を妨害する行為をしてしまったという罪悪感は半端じゃありませんでした。正直「終わった…」と全てを諦めた感情さえ芽生えていたのですが…。
とりあえず、訳も分からず走り出したその時でした。
「銀次さん早く電気付けてください!暗くてお客様が歩けません」という言葉を投げかけられ、私はふと我に返ったのです。
よく考えれば分かる事でした。遊技台の電源は事務所にあるため、間違って落とす事などあり得ません。そもそも真っ暗な空間の中で遊技台が光り輝いていたのですから、冷静に考えれば分かります。
結論を申し上げると、完全に早とちりでした。私は外の照明を付けずに、間違ってホール内の照明を消してしまっていただけの話です。恥ずかしながら、混乱状態で正常な判断ができていなかったようです。
もし最悪の事態になってしまっていたら…クビすらも意識しなければならなかっただけに、心から安堵したのを今でも覚えております。
無論、ホールを真っ暗にしたことでお客様や他のスタッフに迷惑を掛けた事は事実ですので、このあとホール中を謝罪して回った事は言うまでもございません。
ミスをしない完ぺきな人間はこの世にいないと思いますが「ミスをした時こそ冷静に対処する」ことの重要さを改めて認識したエピソードでございました。
(文=ミリオン銀次)