「どの台が高設定か教えてくれよ」
このような話題は、ホール店員とお客様の間で交わされる「あるある」でございますが、店員の立場からすると「詳細は把握しておりません」とお答えするしかありません。
無論、これは全てのお客様へ公平に遊技台を提供するためですし、仮にどの台が「高設定」か分かっていたとしても、お客様には絶対に公言する事はないのです。
ただ、ホールにいらっしゃる全員に対してマイク案内などを通じて、間接的に「オススメ機種」をお伝えする事があるのは、以前のコラムでご紹介した通りです。
故に、「店員はどの台が高設定か知っている」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、少なくとも私の勤めていたホールで「設定状況」を把握していたのは、「店長」と「役職者」の2名だけでした。
朝礼で、店長から「今日は○○がオススメだからマイク案内をこまめにしてください」と言われてお客様へアピールする事もありますが、ホール店員は設定状況も分からずにオススメしているというのが実情だったのです。
確かに、オススメしていた機種に関してはホール側が赤字となる場合もありましたが、まったくの期待外れで「全然出なかった」という結果も多々あり、高設定を疑う事もありました。
一番印象に残っているのは『ジャグラー』シリーズの稼働が落ち込んできた時期に「今日から3日間、全力でオススメしてくれ」と指示があった時のお話です。確かに、この時期はお客様から「最近ジャグラー全然出してない」「高設定を使わなくなった」という声が多く、稼働が下がっておりました。
私は「稼働を上げるために高設定を使っている」と思い、必死になって『ジャグラー』をマイク案内しました。その甲斐あってか、寂しかった『ジャグラー』の島に再び活気が戻っていったのです。
しかし、『ジャグラー』の島でお客様が黒字となった台は僅か2台。ほとんどのお客様が負けてしまう散々な結果となってしまったのです。無論、高設定を打っても勝てない場合もあります。ただ、この結果は予想外でした。それでも店長を信じて3日間『ジャグラー』をマイク案内し続けたのですが…。
結果的に、お客様側が黒字となる事は1日もありませんでした。
常連様も「サッパリ出ない」「期待外れだよ」と呆れ果てた様子。その姿を見た私は、「本当にオススメするべき台だったのだろうか」という疑念と、店長に対する不信感を抱いてしまったのです。
「高設定でもなんでもない台をオススメさせられていた」と思うと怒りがこみ上げ、考えている内に憎しみすら覚えてしまいました。
居ても立ってもいられなくなった私は、「本当にオススメするに値する設定だったんですか!」と店長に問い詰めてしまいました。無論、スタッフが自店の設定を知ろうとするのはタブーですが、この時ばかりは納得いかなかったのです。
店長は困った様子で「うーん…本当はこういう話は駄目なんだけど、今回は銀次君も納得いってないみたいだから正直に話すよ」と前置きして話を続けました。
「実はね、この3日間ジャグラーは毎日全台5or6だったんだよ」
私は耳を疑いました。その場しのぎのウソを言っているとしか思えません。「何も知らないからって口から出まかせを言っている」と思った私は、「そんな事を言われて信じると思いますか!」と強い口調で言い放ったのです。
すると、店長はおもむろに席を立ち、「ちょっと落ち着いて。こっちへ来なさい」とセキュリティルームへ私を案内しました。
セキュリティルームのパソコンには、過去の設定状況の一覧表が保存されており、この3日間『ジャグラー』の設定が「5or6」で構成されていたという確たる証拠を見せつけられたのです。
「これだけ設定使って出てくれないと困るんだよね。3日目なんて全台6にしたのに約半数がマイナス差枚だし…」と神妙な面持ちで語る店長。私は不信感を抱いた自分を恥じながら「大変失礼な事を言ってしまい、申し訳ありませんでした」とひたすらに謝ったのです。
「今回は残念な結果になったし無理もないよ。ただ、自分が根拠もなくオススメしてくれと指示している訳ではない事は理解してほしい」と店長はおっしゃいました。
店長に疑いの目を向けてしまって落ち込む自分…。そんな私を気遣ってか「ホール運営は大変なんだよ。出なさ過ぎて頭にきたから、お客様に分かってもらえるまで『ジャグラー』に高設定使い続けるからよろしくね」と笑いながら去っていきました。
それからというもの、私は自信を持ってマイク案内するように努めました。そうすることによって、高設定らしい出玉を記録する日が徐々に増えてきて「設定入れてくれるいい店だよ」「遊べるホールだね」という声をいただくようになり、稼働も徐々に上がっていったのです。
ホール毎に力を入れている機種が違うと思いますが、私のいたホールのようにお客様に認知してもらえるまで高設定を使い続けているお店もあると思います。マイク案内や店内装飾など、間接的にオススメしている機種を積極的に狙ってみるのもいいかもしれませんね。
(文=ミリオン銀次)