春のグランプリ・宝塚記念は2番人気クロノジェネシスの圧勝に終わった。上位人気馬の優勝だったが、3連単は18万馬券と荒れる宝塚記念は今年も健在の結果だった。
まず、2着となったのは6番人気のキセキ。近2走は長距離レースで不振が続いていたが、2200m戦で改めて存在感を示した結果だ。
そして何より、馬券的な妙味を生み出したのが12番人気ながら3着のモズベッロ(牡4歳、栗東・森田直行厩舎)だろう。
今年の日経新春杯(G2)で重賞初勝利を挙げたモズベッロ。続く、日経賞(G2)では直線で不利がありながらも2着とし、充実ぶりを見せた。3走目の天皇賞・春(G1)はスタートの出遅れ、長距離が堪えて7着に敗れた。
好メンバーが揃った宝塚記念では、初G1となった前走の敗戦により評価を落としたが、得意の距離で実力発揮となった。最後の直線では1番人気サートゥルナーリアの猛追を振り切って、抜かせなかった勝負根性は評価に値する走りだ。
レース後、池添謙一騎手は「勝負どころで離されたのが痛かったですが、外から来たらもうひと踏ん張りしてくれました。これからまだ良くなると思います」と、更なる成長に期待した。
秋に向けてパートナーに好感触を掴んだ池添騎手。やはり宝塚記念でのモズベッロの激走を語る上で、「G1請負人」の手腕は大きく作用しただろう。
宝塚記念3勝、有馬記念(G1)4勝でグランプリ7勝を誇る池添騎手は、大舞台での活躍に定評がある。2005年の宝塚記念は11番人気のスイープトウショウで優勝。また、勝ち星には数えられていないが、2014年の同レースでは9番人気カレンミロティックで2着、翌年も11番人気ショウナンパンドラで3着と穴を空けてきた。
昨年のマイルCS(G1)では騎乗停止の福永祐一騎手に代わり、インディチャンプに騎乗し見事優勝に導いた。まさにG1請負人の仕事ぶりである。
今年のG1レースでも、10番人気ヴェルトライゼンデで3着に入った日本ダービー(G1)も印象深い。その中でもグランアレグリアに騎乗し、アーモンドアイを破った安田記念(G1)がベストバウトだろう。
3コーナーでキックバックを受けて右目を負傷してしまい、視界不良の中でのレースとなった。だが、早めに抜け出しを図ると、アーモンドアイの追撃を抑えて2馬身半差の勝利。レース後のインタビューで、右目を腫らしながら受け答えをしたシーンが印象的だ。
そんな池添騎手について、レジェンド武豊騎手も一目置いている。
詳細については本サイトを確認いただきたいのだが、『netkeiba.com』にて連載中の対談コラム『with 佑』にて、藤岡佑介騎手と池添騎手が対談を行っている。
その中で、藤岡佑騎手は武豊騎手と阪神競馬場で安田記念を観戦した際、「謙一はホンマに代打強いな」と武豊騎手が言っていたと明かしている。また、「トータルの勝ち鞍とG1の勝ち鞍が見合ってないな」とも言ったようだ。これには池添騎手も「よう言われるわ」と苦笑いした。
「代打に強い」「G1の勝ち鞍に見合っていない」というのは、「勝負強さ」があってこそのもの。通算4000勝を超える名手が認めるほど、大一番に強い騎手といえるだろう。
そんな池添騎手だからこそ、宝塚記念で伏兵モズベッロを3着に食い込ませられたはずだ。
9月のスプリンターズS(G1)までG1は中休みとなるが、夏競馬でも池添騎手は勝負強さを発揮することだろう。