31日、東京競馬場では3歳馬の頂点を決める競馬の祭典・日本ダービー(G1)が行われる。皐月賞(G1)で強い競馬を見せたコントレイル、2着のサリオスに人気が集中しそうだ。
だが、皐月賞の2000mから距離が2F延長するダービーの2400mでは、中山から東京へのコース替わりとなる。これらが皐月賞で好走した馬のダービー凡走に大きく影響していることは確かだ。
過去、皐月賞で好走した馬が、ダービーで崩れた事例は多数存在する。距離の誤魔化しが利きやすい小回りの中山2000mに対し、直線が長く底力を要求される大箱の東京2400mでは、やはり本質的な距離適性が明確に出やすいのではないか。
それは今年のコントレイル、サリオスにとっても例外ではない。いずれの陣営からも距離については懐疑的なコメントが出されていることからも、やってみないとわからない本音が見え隠れしている。
皐月賞で馬場の悪いところを通ったとはいえ、ほぼ完璧な競馬で2着に敗れたサリオス。対するコントレイルは当初予定していた先行ではなく、後方から外を回す想定外の競馬で差し切っている。2頭の着差はハナ、アタマ、クビの「僅差」ではなく半馬身差がついていることも気になる材料だ。
これを踏まえると2頭の距離延長への不信感はサリオスの方が強く映る。そしてサリオスにとっての距離延長の不安は意外なところにも存在していたことも注目したい。
同馬の手綱を取るD.レーン騎手は、初来日となった昨年春に短期免許を取得するやいなや、G1・3勝を含む重賞7勝をあげてレーン旋風を巻き起こした。リスグラシューに騎乗した有馬記念(G1)でアーモンドアイを撃破するなど、今や押しも押されぬトップジョッキーの一人である。
だが、今年の重賞勝利は京王杯SC(G2)ダノンスマッシュの1勝のみ。G1では皐月賞でサリオスの2着があるものの、それ以外のG1・3鞍では馬券に絡んでおらず、重賞勝ちすらない。
これに追い打ちをかけるのが、昨年よりも好成績をあげている距離が短距離にシフトしていることだ。
芝のレース26勝のうち、1400~1600mで11勝、2000mで7勝をあげた昨年に対し、今年は18勝のうち、1400~1800mで16勝と極端に勝ち鞍が集中している。昨年10戦して未勝利だった1800mを今年は8戦6勝と克服したのはさすがだが、得意だった2000mは1勝と大きく勝率を下げることとなった。
「これについては、レーン騎手が日本の競馬に慣れて来たことに関係がありそうです。昨年は中団より後ろからの競馬で半数以上の勝ち星をあげていましたが、今年は逆に前々の競馬で半数以上の勝ち星をあげています。
トップジョッキーには有力馬の騎乗依頼が多くありますが、取りこぼしを減らすには好位での競馬が好まれます。そのために、昨年よりも前々で競馬することが多くなったのかもしれませんね。
はっきりとした因果関係はわかりませんが、現実に中距離以上の勝ち鞍が激減していることは、2400mのダービーで不安要素となる可能性も出てきます」(競馬記者)
以下はレーン騎手の芝2000m以上の成績である。
2020年【2.4.3.9/18】勝率11.1%、連対率33.3%、複勝率50.0% ※5月24日現在
2019年【13.3.5.10/31】勝率41.9%、連対率51.6%、複勝率67.7%
全体の騎乗数に違いはあれど、昨年は41.9%を誇った勝率が11.1%と大きく成績を下げている。
対する芝1800m以下の成績が以下となっている。
2020年【16.4.3.10/33】勝率48.5%、連対率60.6%、複勝率69.7% ※同現在
2019年【13.3.8.21/45】勝率28.9%、連対率35.6%、複勝率53.3%
約30%勝率を下げた2000m以上に比して、こちらは逆に20%近く勝率をアップさせている。
ただでさえ、距離不安を囁かれているサリオスにとって、歓迎できないデータではないだろうか。
昨年のダービーでは圧倒的1番人気に支持されたサートゥルナーリアで致命的な出遅れを犯し、“波乱の立役者”となったレーン騎手。今年のダービーも厳しい見通しとなるかもしれない。