今年のノーザンファームは例年になく、3歳G1レースで苦戦している。
2014年以降、ノーザンファーム生産馬が桜花賞・皐月賞・NHKマイルCのいずれも勝てなかったことはなく、2019年は7つある3歳G1レースのうち6つを勝利したほどだ。それが今年は、桜花賞・皐月賞・NHKマイルCのいずれも2着が最高、非ノーザンファーム生産馬が勝利しているのだ。
さらに秋の秋華賞と菊花賞を加えると、ノーザンファームは2007年以降必ず勝ち馬を輩出しており、仮にデアリングタクトとコントレイルがそれぞれ三冠を達成するようであれば、ノーザンファームの3歳G1レース全敗を意味するものとなってしまう。
1994年に創業したノーザンファームは、もともと存在していた社台ファーム早来が、設立した吉田善哉氏が死去したことで名称を変更して誕生した。つまりまったくゼロからのスタートではなかったのである。
特に社台ファーム早来の繁殖牝馬を引き継いだことが大きく、アドマイヤベガの母ベガや、アドマイヤグルーヴの母エアグルーヴは社台ファーム早来で生産、さらに輸入繁殖牝馬でフサイチコンコルドの母バレークイーンも、分割によってノーザンファームが引き継いだ馬であった。その生産馬が初めて3歳G1レースを勝利したのは、1999年の日本ダービー(アドマイヤベガ)。その後の活躍は周知のとおりで、下記のような圧倒的な実績を記録している。
■ノーザンファームの3歳G1勝利一覧
2019 桜花賞、皐月賞、NHKマイルC、オークス、秋華賞、菊花賞
2018 桜花賞、オークス、日本ダービー、秋華賞、菊花賞
2017 皐月賞、NHKマイルC、日本ダービー、秋華賞
2016 NHKマイルC、オークス、日本ダービー、秋華賞、菊花賞
2015 皐月賞、オークス、日本ダービー、秋華賞
2014 桜花賞、NHKマイルC
2013 菊花賞
2012 桜花賞、NHKマイルC、オークス、秋華賞
2011 NHKマイルC、秋華賞
2010 桜花賞、オークス、秋華賞
2009 桜花賞、皐月賞、オークス、日本ダービー
2008 オークス、秋華賞、菊花賞
2007 皐月賞
2006 なし
2005 桜花賞、皐月賞、NHKマイルC、オークス、日本ダービー、菊花賞
2004 NHKマイルC、日本ダービー、菊花賞
2003 なし
2002 なし
2001 日本ダービー
2000 なし
1999 日本ダービー
ここまで桜花賞7勝、皐月賞6勝、NHKマイルカップ8勝、オークス9勝、日本ダービー9勝、秋華賞9勝、菊花賞7勝で3歳G1レースだけで合計55勝。
2005年にはディープインパクトがクラシック三冠を達成し、2010年アパパネ、2012年ジェンティルドンナ、2018年にはアーモンドアイが牝馬三冠を成し遂げた。オークスは通算9勝、日本ダービーも通算9勝、今年オークスと日本ダービーを勝てば、ともに前人未到の10勝に到達する(ちなみに秋華賞も9勝)。
しかしオークスはデアリングタクト、日本ダービーはコントレイルといった大きな壁が立ちはだかっている。
そのオークスにノーザンファームが出走させるのは、桜花賞でデアリングタクトに完敗したサンクテュエール、ミヤマザクラ、リアアメリア、そしてトライアルのフローラSで2着ながら、鞍上のレーンがデゼルを選択したことで格付けが済んでしまった感があるホウオウピースフルと、かなり厳しいメンバーだ。
実際に多くのマスコミの報道を見る限り、デアリングタクト(長谷川牧場)とデゼル(社台ファーム)に人気が集中、現時点でノーザンファームの生産馬は脇役の存在に過ぎない。
一方、来週の日本ダービーには皐月賞2着でレーンが騎乗するサリオス、弥生賞の勝ち馬で武豊の騎乗が決まったサトノフラッグ、ルメールが騎乗するワーケア、そしてヴェルトライゼンデ、マイラプソディ、レクセランス、マンオブスピリット、ヴァルコス、アルジャンナなど、こちらはオークス以上に粒ぞろい。
鞍上は文句なしのトップジョッキー達でもあり、コントレイルを逆転できるかは枠順や距離適性、仕上がりや天候がカギとなりそうだ。
ノーザンファームは今年もJRAの収得賞金1位、勝利数1位と生産者リーディングを独走している。しかしこれまでの実績を考えると、3歳G1レースの勝利がなければその成績も色あせてしまうことだろう。
今週のオークス、そして来週の日本ダービーへ向けたノーザンファームの巻き返しに注目したい。