採用担当者の仕事が変わる——YOUTRUST、AIが自律的にスカウトを完結させる「スカウトAIエージェント」を4月提供開始

 2040年には約1100万人の労働力が不足すると試算される日本で、採用活動はすでに「求人を出して待つ」時代ではなくなっている。

 転職サイトに登録している「転職顕在層」は労働力人口のわずか10%弱。一方、今すぐ転職を考えているわけではないが、良い機会があれば話を聞きたいという「転職潜在層」は実に6割を占める。優秀な人材ほど現職での待遇が良く、転職サイトには現れない——そんな構造的矛盾を解くカギとして注目されているのが、企業側から候補者に直接アプローチするスカウト採用だ。

 しかしスカウトには、莫大な手間がかかる。

 候補者を探し、プロフィールを確認し、一人ひとりにカスタマイズしたメッセージを書いて送る。1通あたり平均10分、100通を送るだけで約17時間の工数が発生する。採用担当者が本来向き合うべき面談やクロージングの時間を、この「作業」が奪い続けてきた。

 この課題に正面から挑んだのが、約50万人のビジネスパーソンが利用する仕事専用SNS「YOUTRUST(ユートラスト)」を運営する株式会社YOUTRUSTだ。友人・知人のつながりを基盤に転職潜在層と企業が出会う「ネットワークリクルーティング」を提唱し、大手からスタートアップまで約2000社に採用支援サービスを提供している。

 同社は3月25日、候補者探索からメッセージ作成・送信までをAIが自律的に実行する新機能「スカウトAIエージェント」のローンチと、2026年に向けたAIエージェント戦略を発表した。自社プラットフォーム上でスカウト業務を自律実行する機能としては、国内初となる(同社調べ)。

●目次

採用業務の99%がAIになる時代

「採用業務の99%は、AIエージェントがやるようになります。残された1%の仕事に、採用担当者は集中できるようになります」

 YOUTRUST代表取締役の岩崎由夏氏は、発表の冒頭でこう言い切った。

 岩崎氏は前職で中途採用担当を長く務めた経験からこの事業を構想した。YOUTRUSTのユーザー企業2,000社近くのうち、採用目標をコンスタントに達成している会社は「ほぼ聞かない」という。求人を出して応募を待つ「待ちの採用」の時代は、すでに終わりを迎えている。

 AIが浸透した採用のあり方を、岩崎氏はこう描く。アナログ時代の「エージェント経由」、インターネット時代の「ダイレクトリクルーティング」に続く第三のフェーズとして、求職者はChatGPTなどに転職の相談をし、採用側もAIエージェントに候補者のリストアップを任せる世界が到来する。そして人間の採用担当者に残されるのは、ネットワークを築き、最終面接で口説く、その一点だという。

「日程調整や候補者リストアップ、メッセージ作成といった作業はほぼすべてAIがやってくれるようになります。採用担当者として本当にワクワクできる、人間関係を構築する仕事だけに集中できる世界が来ます」

「起動してお昼を食べて戻ったら、リストができていました」

「スカウトAIエージェント」は、採用担当者が募集ポジションを選択して「起動」ボタンを押すだけで動き始める。50万人のタレントプールから候補者を自動でリストアップし、マッチ度をスコアリング。さらに一人ひとりに異なる文面のスカウトメッセージを生成し、送信まで完結させる。100通の送信にかかる時間は、従来の約17時間から約20分に——最大98%の工数削減だ。

 トークセッションで、先行してβテストに参加したKINTOテクノロジーズ株式会社の岸真人氏は、初めて使った時の体験をこう振り返る。

「ちょうどお昼休憩の前に、困っている部署を複数選択してエージェントを起動しました。ご飯を食べてのんびり戻ってきたら、スカウト候補者のリストがずらっと並んでいました。これはすごく使いやすいという印象でしたね」

 同社では採用目標の達成に苦労が続き、スカウトの工数確保が大きな課題だったと岸氏は言う。「みんなで強制的に時間を取って打ちましょう、という時間を作らないと回らない状態でした」。求人票の内容が具体的なポジションほどAIのマッチング精度が高く、逆に曖昧なポジションは精度が落ちる。「自社の求人票がいかに曖昧だったかが分かった」という副次的な気づきも得られたという。

 同じくトークセッションに登壇した、株式会社ナハトの田口弦矢氏は自身がAIエージェント開発に携わった経験を持つ。そのうえで今回の機能を使ってみて、2つの発見があったと語る。

「1つは、人間が見落としていた候補者をAIが拾ってきてくれる点です。もう1つは、メッセージの冒頭にAIが送っていることを明示している点。これが意外なほど効果的でした」

AIが送るから、深夜でも「ブラック」じゃない

 AIによるスカウトの「明示」は、YOUTRUSTの意図的な設計だ。岩崎氏はこう説明する。

「人間のふりをしてAIで送るのか、AIがAIのまま送るのか。私たちはユーザー体験を最重要視していますので、後者を選びました。変に人間らしく振る舞って”不気味の谷”のテキスト版みたいになるより、最初からAIと分かっていた方が受け取り手に誠実だと思っています」

 田口氏もこの設計を高く評価する。

「人間が打つと思うと、間違えたらどうしよう、失礼があったらと心理的ハードルが生まれます。でもAIだからという割り切りができる。思い切って送れますし、受け取り手もそういう出会い方もあるかと捉えてくれます」

 深夜にスカウトが届いても、AIが送っているなら「この会社はブラックじゃないか」とはならない。人間では不可能な時間帯でも自動送信できるのも、AIならではの利点だ。

 βテストの結果(先行10社、9日間)では、返信率6.5%を記録。一般的な転職サイトでのカスタマイズスカウトの返信率(1〜5%程度)を上回った。YOUTRUSTプラットフォーム上での人間によるスカウトの返信率(約30%)には届かないが、同社は精度改善を続け「早期に10%以上を目指す」としている。またAIが生成したスカウト文章への修正率は0%——採用担当者がそのまま送信できるクオリティがすでに実現されている。

採用担当者に残される「たった1%」の仕事

 今回のローンチは、YOUTRUSTが描く「YOUTRUST TALENT AI構想」の第二フェーズにあたる。2023年にスカウト文面作成を支援する「さくさくメッセージビルダー」、2025年に候補者リストアップを自動化する「AIタレントリクエスト」を展開した実績の上に、今回初めて複数のAIを統合して自律実行する機能が生まれた。最終的には採用計画立案から内定承諾まで、採用プロセス全体をAIで完結させるPhase3を目指す。

 田口氏は、AIによって浮いた時間の使い方こそが各社の差別化になると見る。

「7人いた採用担当のうち、スカウトや媒体対応は今や1〜2人でこなしています。残りのメンバーは候補者のコミュニティ作りやSNS発信など、本来の人事にしかできない仕事に全振りしました。AIが工数を引き受けてくれた分、人間は人間にしかできないことに集中できます」

 岸氏はさらに先を見据える。

「採用担当者だけでなく、現場のマネージャーやエンジニアが自らこのエージェントを使って仲間を探しに行く。そんな世界にしていきたいです。自分と一緒に働きたい人を、自分で見つけに行く採用の形です」

 岩崎氏もこの方向性に目を細めながら、こう締めくくった。

「採用担当という専任がいなくなる日が来るかもしれません。でもそれはむしろ良いことだと思っています。スカウトを打つ作業者ではなく、候補者に会社の魅力を伝えて口説ける人間として採用に関わる。それが本来あるべき採用の姿ではないでしょうか」

「スカウトAIエージェント」は2026年4月より提供開始予定。料金は定額制の基本プランに組み込まれる形を想定しており、詳細は正式発表時に公開される。

 スカウトという膨大な作業をAIに任せることで、人間にしかできない採用の本質が、ようやく問われる時代が始まろうとしている。

(取材・文=昼間たかし)

※本稿はPR記事です。