●この記事のポイント
・パナソニック撤退後の五輪TOPパートナーに就いた中国TCL。世界シェア2位の同社が、垂直統合と量子ドット技術を武器に日本市場で信頼獲得に挑む戦略を追う。
・MEMCやMini LED、144Hz対応など高速映像技術を強化するTCL。“見る”から“体感する”へと進化するテレビの価値転換を、平野歩夢との共鳴を軸に読み解く。
・世界では2位、日本ではシェア8%前後。評価差を抱えるTCLが、価格競争力と高画質の両立で“日本での金メダル”を狙う現在地と課題を分析する。
37年間オリンピックを支え続けてきたパナソニックが撤退した。トヨタ、ブリヂストンに続き、日本企業がオリンピックTOPパートナーから姿を消すなか、その座を引き継いだのは中国の家電メーカー・TCLだった。
これは単なるスポンサー交代ではない。テレビ産業の主役交代を象徴する出来事でもある。
市場調査会社Omdiaによれば、TCLは2024年の世界テレビ出荷台数でサムスンに次ぐ第2位。世界市場では確かな存在感を築いている。一方、日本国内ではシェア約8%、順位は5〜6位前後にとどまる。世界と日本の“評価差”をどう埋めるか――それがTCLの現在の挑戦だ。
2025年2月、TCLはIOCとワールドワイドパートナーシップを締結。2032年まで4大会を支援する。同時に、北京五輪金メダリスト・平野歩夢をブランドアンバサダーに起用した。
TCL JAPAN ELECTRONICSマーケティング戦略本部長・久保田篤氏はこう語る。
「世界シェア2位という評価をいただいていますが、現状に満足するつもりはありません。むしろ今だからこそ、さらに高みを目指す。平野選手の“現状に満足しない姿勢”に強く共鳴しています」
●目次
垂直統合という“基礎”
TCLの競争力の源泉は、パネルを自社生産する垂直統合モデルにある。
子会社CSOTがパネル設計から製造までを担い、テレビの原価の約半分を占めるとされるパネルを内製化することで、価格競争力と品質管理の両立を図る。
「最高のパフォーマンスは、最高の基礎から生まれる。平野選手がボードの素材や重心に徹底的に向き合うように、私たちも画質の基礎であるパネルから作り込んでいます」
水平分業が進むなか、再び垂直統合を武器にする。そこにTCLの戦略的な一貫性がある。
“動体視力”に追いつく映像技術
平野歩夢の空中回転や高速ボードさばきは、一般的なテレビでは残像が出やすい。
TCLはMEMC(動き補完技術)、Mini LED、量子ドットを組み合わせることで高速映像への対応を強化する。
MEMCは中間フレームを生成し、ジャンプ中の姿勢や着地の重心移動まで滑らかに描写。Mini LEDは精密なローカルディミングにより、冬季競技特有の強い光と影を再現する。
量子ドットはDCI-P3色域95%をカバーし、雪の白やユニフォームの色を高純度で表現する。
有機ELが黒表現に優れるとされる一方、量子ドット液晶は高輝度と価格帯の広さで競争するポジションにある。
「アスリートにしか見えていない景色に、視聴者を一歩近づける。それが技術チームの誇りです」
“二刀流”のテレビという思想
平野選手はスノーボードとスケートボードという二刀流に挑んできた。TCLもまた、「高画質」と「ゲーミング性能」という二刀流を追求する。
Mini LEDの高コントラストと、144Hz対応・低遅延設計を両立。映画の芸術性とゲームの瞬発性を一台で担う。
「日によって楽しみたいものは違う。映画に浸る日もあれば、ゲームで限界に挑む日もある。そのどちらにも妥協しないテレビでありたい」
日本市場という試金石
もっとも、日本市場は容易ではない。
ソニーやパナソニックのブランド信頼は根強く、中国メーカーに対する心理的な壁も存在する。
「日本は最も品質基準が厳しい市場。その市場で認められることが、世界での評価につながると考えています」
久保田氏は、日本市場を“挑戦の舞台”と位置づける。
開かれた感動
オリンピックは誰もが感動を共有できる“開かれた祭典”だ。TCLが「高品質な大画面テレビを手の届く価格で届ける」ことにこだわる背景には、その思想がある。
「映像体験は、できる限り多くの人に開かれているべきだと考えています。本物の感動をもっと身近にしたい」
ミラノ・コルティナ五輪へ
久保田氏が勧めるのはQD-Mini LED搭載のC8K/C7Kシリーズだ。MEMC、高精度補完技術、Mini LED、量子ドット、Bang & Olufsen監修音響。映像・色・音を総合的に設計する。
「2026年の冬季五輪は、テレビで観るのではなく、リビングが競技会場の特等席になる体験になるはずです」
パナソニック撤退後の五輪パートナーという象徴的ポジション。垂直統合という基礎、量子ドット技術、高速映像対応、そして価格戦略。課題は、日本市場での信頼獲得だ。
世界2位から日本での“金メダル”へ。その挑戦が、いま始まっている。
(取材・文=昼間たかし/ルポライター、著作家)
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