“物言う株主”オアシス、フジテックとの泥沼バトル…擁立した社外取締役候補の醜聞

 エレベーター大手のフジテックと、“物言う株主”として知られる香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントによる経営権をめぐるバトルが激しくなるなか、新たな問題が浮上している。

 経営権の取得をもくろむオアシスがフジテックに送り込む社外取締役候補者のうち、筆頭に挙げられている浅見明彦氏が、愛人と思しき女性とのトラブルを抱えているのだ。

 東証プライム市場に上場するフジテックをめぐっては、オアシスがフジテック株の17%強を保有。2022年の定時総会では、フジテック創業家の内山家とフジテックに「疑わしい関連当事者取引がある」として、当時社長の内山高一氏の再任反対を訴えた。

 これを受けて、フジテックは内山氏を取締役からは外したが、株主総会後の取締役会で内山氏を会長に就任させており、両者の対立は激化している。

 2022年12月には、オアシスが臨時株主総会の招集を請求。現在の社外取締役6人全員を解任し、オアシス側が用意した社外取締役に入れ替えるという株主提案を出している。事実上の経営権の取得だ。臨時株主総会は2月24日の予定となっている。

 しかし、このオアシスの株主提案の雲行きが怪しくなっている。

 株主提案は2022年12月に行われたが、その後4回も修正が入っている。フジテックによると、当初の株主提案では社外取締役の候補者は7人いたが、修正により1人が変更された。その後、1人が撤回されるなど、取締役候補者の意思確認や身体調査が甘い印象を受ける。

社外取締役候補に愛人トラブルが浮上

 なかでも問題となりそうなのが、社外取締役の筆頭に挙げられている浅見明彦氏(62歳)。マサチューセッツ工科大学経営大学院修士課程を修了し、ゴールドマン・サックス証券のマネージング・ディレクターを経て、ドイツ証券に転籍し、2015 年には投資銀行部門の副会長になっている。その後、東京大学協創プラットフォーム開発のパートナー特別顧問になっており、経歴を見れば投資の分野では最前線で働いてきた人物だ。

 だが、問題は女性関係にある。現在、東京地裁で、愛人と思しき女性と訴訟を繰り広げているのだ。

 浅見氏は仕事で知り合ったアジア出身の女性Aさんに猛烈にアプローチ。「あなたとデートしたい。Aさんが僕の会った中で一番!」(2人がやり取りしたSNSの画面から作成。名前はイニシャルに変更済み。以下同)などと頻繁にメッセージを送っている。

 その後、Aさんは浅見氏が“金づる”になると判断したのか、以下のように送っている。

「そういえば、最近日本で台湾デザートの店やるつもりで、今店舗さがしているけど、初期投資2500万円の予定。だしてもらえるなら」
「笑い」
「投資するなら考えとくよ」

 それに対して、浅見氏は以下のように返している。

「愛人になってくれるならいいよ」
「最初は嫌いでもいいよ」
「OK」
「Deal done」

 こうして、2019年にAさんが経営するW社に2500万円を出資。タピオカ店の出店資金として投資した。

タピオカ店に2500万円出資

 しかし裁判記録によると、Aさんはその後、愛人としての“お勤め”はなく、出店したタピオカ店はわずか100万円で売却してしまった。慌てた浅見氏は、出資した資金を取り戻すべく、詐欺的行為であるとして裁判に訴えたのだ。

 裁判のなかで浅見氏は「愛人ではない」と主張しているが、メッセージを見ると、少なくとも自分がそう考えていた時期があったことがうかがえる。まだトラブルになる前には、以下のようなメッセージがあった。

「愛人になってエッチするときは化粧して一番キレイにしてね」

 それが、なかなか”お勤め”が実現しなかったため、怒って以下のようなメッセージも送っている。

「早くエッチしろ!」

 なお、浅見氏は医療法人を経営する医師の妻がおり、娘もいる。性的行為自体は未遂で終わったようだが、既婚者でありながら女性トラブルを起こしている人物が、東証プライム上場企業の取締役としてふさわしいのか、疑問が残るところだ。

 フジテックの現在の取締役は9人。臨時総会でオアシスの議案だけが可決すれば、社外取締役6人がすべて入れ替えとなり、取締役のうち3分の2をオアシス推薦者が占めることになる。ただし、取締役候補者が4回も修正となったり、身体検査の甘さなどを見たりすると、オアシス側の脇の甘さが目につく。このバトルはまだまだ長期化することになりそうだ。

 さらに、オアシスの株主提案に対し、議決権行使助言会社 Institutional Shareholder Services Inc.(ISS)が賛成を推奨。これに対し、フジテックが遺憾の意を表するなど、経営権をめぐる対立は泥沼化している。

 オアシスに、浅見氏が女性問題でトラブルを抱えている件について、事実確認および事実を知ったうえで推薦しているのかなどについて問い合わせを行ったが、回答はなかった。オアシスはフジテックのガバナンス意識の低さや倫理観の欠如を厳しく追及し、“優秀な社外取締役候補者”を立てたと胸を張っている。その人物の倫理観はいかなるものか。

(文=石井和成/ライター)