『邪神ちゃん』富良野市の“不適切”認定にアンケートで反論「真正面から殴り返すスタイル新しい」

 今夏に放送されたアニメ『邪神ちゃんドロップキックX』(テレビ東京ほか)の「富良野篇」の内容が不適切であるとして、ふるさと納税で制作費を募った富良野市がアニメの制作委託費3300万円を盛り込んだ2021年度一般会計決算を「不認定」とした。これを受けて、アニメの公式サイドが当該のエピソードを期間限定で無料配信し、富良野のイメージが上がったか下がったかのアンケートを実施するなど、真っ向から反論していくスタイルが関心を集めているようだ。

 同アニメはユキヲ氏のコミックを原作に、下半身はヘビで上半身はギャルの悪魔・邪神ちゃんと中二病でちょっぴり残酷な心を持った女子大生・花園ゆりねの同居生活を描いたコメディ。これまで3期にわたってアニメシリーズが放送され、3期の『邪神ちゃんドロップキックX』ではクラウドファンディングの実施や、富良野市、帯広市、釧路市、南島原市との自治体コラボが行なわれた。

 ぶっ飛んだ内容でカルト的な人気を誇っていたが、今月15日に「富良野篇」について同市の決算審査特別委員会で佐藤秀靖市議が「社会通念上許されない表現があり、富良野市のイメージを落としかねない」と指摘。別の議員から「あくまでアニメの中の話。一部分だけを切り取って議論するのはよくない」との意見もあったが、採決では認定と不認定が7対7の同数となり、委員長裁決で制作委託費3300万円を含む決算が「不認定」となった。

 同エピソードでは、ギャンブルでの損失を補填するために「10日で10割の福利」という超高金利で3000万円の借金をしてしまった邪神ちゃんに対し、親友のメデューサが「内臓売ろ」と提案。最後の思い出づくりのために富良野を訪れ、観光スポットなどを巡るストーリーが展開された。この「臓器売買の提案」の描写が不適切とされた。

 これを受けてか、アニメの公式サイドはYouTubeとニコニコ動画で「富良野篇」を16日から23日までの期間限定で無料公開。さらに、公式Twitterが「富良野編を見て富良野のイメージはどうなった?」とアンケートを実施し、17日午前までに8万件以上の投票があり、「とても上がった」「上がった」が合計で90%以上に達した。ある意味、議会での「イメージとを落としかねない」という指摘を“論破”したともいえる。

 これにネット上では「速攻で無料配信してアンケート取るって、邪神ちゃんの公式強すぎ」「邪神ちゃん公式が富良野市議会にドロップキックしとる笑」「よくわからない批判に対して真正面から殴り返しにいくスタイルが新しい」などと好意的な声が集まっている。最近はアニメや漫画の公的機関などとのコラボに「不適切」と批判が起きて炎上するケースが多発しているが、今回は真っ向から反論する姿勢に反響が広がっている。

富良野市長は「表現の自由への介入は遺憾」

 富良野市によると、ふるさと納税で制作費を募ると約6700万円が集まり、制作委託費3300万円を差し引いた分は観光予算に回されているという。そうした背景もあって、「邪神ちゃんのおかげでふるさと納税が集まったのに、放送後になってこんな仕打ちをするとは」といった見方が強まっているようだ。

 ただ、その一方で「邪神ちゃんは好きだけど、実際のところ自治体とのコラボとしては不適切だった」「邪神ちゃんなら議会側の反応も仕方ない」「もともとが面白いけど不謹慎という漫画だからなあ」といった意見も少なからずあり、賛否両論となっている。

 先述したように市議会にも「あくまでフィクション」と理解を示す議員はおり、同市の北猛俊市長も北海道新聞で「不認定は非常に残念な結果。表現の自由に介入して指摘するのは遺憾だ」というコメントを発表している。アンケートの結果やネットの声を受けて、市が今後どのような判断をするのか注目だ。