「なぜトラジャが先に海外進出」キンプリ脱退、ジュリー社長への不満と“燃え尽き”

 4日、人気ジャニーズグループ・King&Prince(キンプリ)の平野紫耀、岸優太、神宮寺勇太が来年5月にグループから脱退し、同時に平野と神宮寺はジャニーズ事務所を退社し、岸も同年秋に退社すると発表された。その背景には、Travis Japan(トラジャ)が10月に世界同時デビューを果たし、自分たちを差し置いて積極的に海外展開を進めていることへの焦りや、現社長の藤島ジュリー景子氏よるジュリー体制への不満があるという――。

 キンプリ分裂の理由をめぐっては、発表直後からさまざまな情報が錯綜しているが

「理由はいたってシンプルで、それを読み解くカギは5人が出したコメントに集約されている」

とテレビ局関係者はいう。4日に公式サイトに掲載されたコメントでは5人連名で、

「グループの活動のことから個人の人生について、時間をかけて本音で話し合った結果、大切にしていることは同じでも、海外での活動をはじめとして、それぞれの目指したい方向が異なることもわかりました」

と説明。さらに、ファンクラブのサイト上で公開された動画では、各メンバーが次のように語っている。

・平野紫耀
「デビュー当時から(ジャニーズ事務所創業者の)ジャニー(喜多川元社長)さんとしていた夢、そしてジャニーさんとしていた約束、そしてファンの皆さんとしていた約束、『海外で活躍できるグループになること』を目指して、がんばってきましたが、メンバーそれぞれが歳を重ねて、それぞれが経験を積んで、活動方針に違いが出てきました」

・神宮寺勇太
「海外に進出することが僕自身と、ジャニーさんと、そして応援してくださっているファンの皆様の大切な夢の1つでありました。その夢を追い続けるために活動をしてきましたが、活動をしていくなかで海外進出のことだけではなく、活動方針の考えが変わっていきました」

・岸優太
「自分が進みたい道でこれからきちんとがんばって、いつか皆さんに理解してもらえるようがんばっていきます。活動を終了した後は、まだ具体的には決まっていないですが、海外に関わる仕事をしてみたいですし、いろいろな挑戦をしてみたいです。いつか皆さんに良い報告ができるよう、がんばりたいと思っています」

ジャニーズ事務所の事情

 3人は共通して「海外」という言葉を使っているが、前出のテレビ局関係者はいう。

「4年前のメジャーデビュー時、キンプリの目標は『世界で通用するグループになる』というもので、それはジャニーさん、そして事務所とも共有できていた。だが、キンプリはグループとしても各メンバーソロでも音楽活動に加えてドラマやバラエティ、映画という舞台で目覚ましい活躍を見せ、さらに3年前にジャニーさんが亡くなり強力なバックボーンを失って以降は完全に活動の場は国内となり、キンプリが抱く海外進出という目標を事務所はすっかりスルーするようになった。

 その一方、今年7月にはTravis Japanがアメリカのワールド・オブ・ダンス(WOD)世界大会に出場し、10月にはシングル曲(『JUST DANCE!』)の全世界配信リリースで世界同時デビューを実現。事務所的には『キンプリは国内、トラジャは海外』というすみ分けで、キンプリのメンバーたちは『なぜ後からデビューするトラジャが』と不満を持っていたようだ。この4年、しゃにむに働いて国内で文句なしの実績を残してきた彼らにとってみれば、『海外に行くなら自分たちのほうが先』という思いを抱くのは当然だろう。デビューからテレビや映画、そして音楽活動と途切れることなく休みなく働き、今年のツアー(「King & Prince ARENA TOUR 2022 ~Made in~」)中から、もうメンバーたちは燃え尽き症候群のような状況だったという話も聞く」

 一方、こうした事務所の方針に理解を示す声もある。芸能事務所関係者はいう。

「すでにキンプリは事務所を売上的、経営的に大きく支える存在となり、数年先まで仕事が埋まるが、もし海外での活動に時間を割くことになれば、国内の仕事をセーブしなければならず、その分、事務所にとっては損失となる。一方、トラジャはまだ“これから”のグループなので、海外進出を前提として全体の仕事を組めるし、もし海外がうまく行かなくても国内活動の注力に方向転換すれば済むので、新たな損失を最小限に食い止めることができるという面もある。

 キンプリに確実にお金になる国内の仕事を蔑ろにさせて、成功するかもどうかも分からない海外進出に時間とお金を費やすなどというバクチは、経営的には難しく、正しい判断ともいえる」

タッキー退任との関係

 今月1日には副社長だった滝沢秀明氏の退任と退所が発表されたばかりであり、それとキンプリ脱退を関連づける見方もあるが、テレビ局関係者はいう。

「直接的には関係ないが、根っ子となる原因は同じという言い方が正しいのでは。ジャニーさんは、何かとメリーさん(メリー喜多川<藤島メリー泰子>元副社長)・ジュリーさん親子のやり方に否定的だったが、タッキー(滝沢氏)もキンプリもそのジャニーさんの“申し子”といえる存在。しかもジュリーさんが、ジャニーさんが重視していた若手の育成や海外進出、舞台の仕事にあまり前向きではないとくれば、水が合うはずはなく、ジュリーさんが経営の実権を握る状況に、タッキーもキンプリも不満を抱くのは当然」

 そんな事務所内の現状について、別のテレビ局関係者はいう。

「タッキーには“ジャニーさんから事務所の将来を託された”という自負が強く、200人以上のジャニーズJr.が所属するジャニーズアイランドの社長として若手の育成を一手に引き受け、20年にはSnow ManとSixTONESの同時デビューを成功させ、昨年は『なにわ男子』もデビューさせた。また、舞台の演出も手掛け公演にも足しげく出向き、自らテレビ局をはじめとするメディアの幹部を接待するなどの営業活動にも勤しんでいた。ジュリーさんとは対照的にスタッフに高圧的な姿勢も見せないという物腰の軟らかさも加わり、社内ではどんどん“タッキーシンパ”が増えていた。

 一方、藤島ジュリー景子社長としては、そういう状況は面白くなく、もともとテレビ局とのコネクションづくりやドラマをはじめとする番組へのタレントのブッキングはジュリーさんの仕事だということもあり、『タッキーに自分の仕事領域を侵されている』『経営基盤を脅かされている』という思いを抱いていたとしても、おかしくはない。

 また、『ジャニーズ事務所は喜多川家の会社』という認識のジュリーさん的には、Snow ManとSixTONESをはじめデビューしたグループが自分の管轄下になるのは当然という考えだが、タッキー的にはこれまた面白くないし、いくら骨身を削って働いても、ジュリーさんからはいつまでの“一マネージャー扱い”で、肩書こそ副社長だが経営にはタッチさせてもらえない。特に昨年以降、ジュリーさんとタッキーの不協和音は社内では隠せないほどになっていた」

マネジメントという域を超えた管理

 キンプリ脱退の背景にもジュリー体制の手法が影響していると、芸能事務所関係者はいう。

「事務所の稼ぎ頭でジュリーさんが担当していた嵐が活動休止に入り、数年前から主要タレントの退所が相次ぎ、“次の退所候補者”の名前も複数取り沙汰されるなど、今後も退所ラッシュが続くという見方もある。さらに実母であるメリーさんも昨年亡くなり、社長就任から4年目に突入したジュリーさんとしては、大企業となったジャニーズ事務所を存続させていかなければならないというプレッシャーを抱えている。それだけに社内への引き締めがよりいっそう強まり、強権的な面も目立つようになり、社内ではそれに反発する声も少なくない。

 そうした状況のなか、特に経営的にも事務所の支柱となったキンプリについては、マネジメントという域を超えて監視ともいえるほど警戒して管理しており、もともとジュリーさんに良い印象を抱いていなかったメンバーが、徐々に不満を募らせていたといわれている。それだけにグループ分裂は当然の帰結といえなくもないが、こんなに早く事実上の解散を迎えるとは、メンバー当人たちも含め誰も予想していなかったのではないか」

(文=Business Journal編集部)