川口春奈が主演を務め、Snow Man・目黒蓮なども出演する連続テレビドラマ『silent』(フジテレビ系)が大きな話題を呼んでいる。
フジ系「木曜劇場」枠で10月6日から放送中の同ドラマは、主人公・青羽紬(川口)と元恋人・佐倉想(目黒)が紡ぐラブストーリー。2人は高校時代に付き合っていた仲だが、別れて8年後、紬が再会した想は、若年発症型両側性感音難聴を患い、聴力をほとんど失っていた。音のない世界でもう一度“出会い直す”ことになった2人と、彼らを取り巻く人々が織りなす、切なくも温かい物語が展開される。
世帯平均視聴率は第1話が6.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、第2話が6.9%と一桁ではあるが、ネット上では初回から「感動した!」「めちゃくちゃ泣いた!」と、ポジティブな感想が飛び交う事態に。ツイッター上では、ジャングルポケット・斉藤慎二やパンサー・向井慧、声優・堀江瞬、漫画家・吉川景都など著名人からの視聴報告も注目を集めた。
なお、同番組を手がける村瀬健プロデューサーも、10月7日付のツイッターで「初回放送後からメールやLINEの通知が鳴り止まないくらい沢山の方から嬉しい感想を頂いています」(原文ママ、以下同)と報告していた。
大反響を呼んでいる『silent』の第2話のコア視聴率は4.0%。コア視聴率とは13~49歳の視聴データを指し、最近テレビ業界で重視されている数字だ。ダウンタウン・松本人志がよくコア視聴率に言及しており、昨年6月には『キングオブコントの会』(TBS系)について、自身のツイッターで「コア視聴率が良かったんです。コア視聴率はスポンサー的にも局的にも世帯視聴率より今や重要な指標なんです」などと投稿していた。
一部報道によれば、『silent』第2話オンエア日(10月13日)、同じ時間帯の『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)のコア視聴率が2.6%、『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)のコア視聴率が2.5%であり、『silent』が上回っている模様。第2話の時点でこれだけ盛り上がっているだけに、今後も世帯視聴率、コア視聴率ともにまだまだ伸びていきそうだ。
「このまま好調が続けば、今年放送された民放の連ドラとしてはコア視聴率1位となる可能性もあるのでは」(テレビ局関係者)
「2人の空気感が素敵」
では、『silent』のどんなところがそんなに視聴者を惹きつけているのか。まず、視聴者が見るドラマを選ぶとき、最初の基準になるのはやはり出演者だろう。
『silent』の主演に抜てきされた川口は、2009年の連ドラ『東京DOGS』(フジ系)で女優デビューしたが、パッとしない時期が続いていた。13年に鈴木砂羽とダブル主演を務めた連ドラ『夫のカノジョ』(TBS系)は、初回世帯平均4.7%でスタート後、3%台を連発するようになって第8話で“打ち切り”に。全話平均3.8%という数字は、2000年以降のプライム帯民放ドラマ(テレビ東京を除く)史上、最低の記録となっている。
しかし、そんな川口の転機は20年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』(長谷川博己主演)にあったとみられる。もともと同ドラマの帰蝶(濃姫)役に起用されていた沢尻エリカが、19年11月に逮捕され、降板。その代役に川口が選ばれると、ネット上にはエールが寄せられ、オンエア時も「川口春奈の濃姫、いいじゃん」と好意的な書き込みが多くみられた。
その後、21年4月クールに主演した『着飾る恋には理由があって』(TBS系)もまた、全話の世帯平均は8.0%と一桁台ではあったが、ネット上では相手役・横浜流星とのタッグが好評で、同ドラマのファンになった者も少なくなかった模様。
一方、『silent』で川口の相手役を務める目黒蓮は、Snow Manとしても爆発的人気を得ているが、個人では期待の“若手ジャニーズ俳優”の一人といえるだろう。昨年1月には、ジャニーズ事務所の先輩にあたる木村拓哉の主演ドラマ『教場II』(フジ系)にも出演。今月からスタートしたNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』にもキャスティングされている。
『教場』シリーズには川口も出演しており、今回の『silent』では目黒と元恋人同士の役を務めることになったが、ネット上では
「2人の空気感が素敵」
「素朴な感じで、透明感もある」
「2人とも可愛い」
「表現力がすごい」
「最高傑作」
「川口春奈と目黒蓮じゃなくて、紬と想という人間として実在するかのように錯覚してしまうくらいの演技力」
などと大好評。
同ドラマにはそのほか、紬の現在の交際相手・戸川湊斗役として鈴鹿央士、想に寄り添う聴覚障害者の女性・桃野奈々役として夏帆などが出演するが、第2話の放送後には、夏帆による手話の演技も「自然すぎる!」と話題に。同ドラマには今のところ、「この人の演技は、ちょっと……」という指摘がないので、その分、視聴者を物語に引き込むことができているのだろう。
「毎回、最終回かってくらい泣いてる」
また、「出演者のファンだから見始めたけど、ドラマそのもののファンになった!」という声も多い。同ドラマは、昨年の「フジテレビヤングシナリオ大賞」を受賞した脚本家・生方美久氏によるオリジナル作品。そして、プロデューサーの村瀬氏は13年に山下智久が主演した連ドラ『SUMMER NUDE』(フジ系)や、17年公開の映画『帝一の國』(菅田将暉主演)などでも知られる人物。また、演出に名を連ねる風間太樹氏は、これまでヒットドラマや映画の監督も務めている。
このような面々で作り上げられているドラマの世界観に対し、ネットユーザーからは
「丁寧に描かれている感じがする」
「じっくり見たくなる作品」
「何気ない日常を描いたドラマだけど、美しい映画を見ているような感覚になる」
といった声が寄せられている。なお、ドラマの主題歌はOfficial髭男dismの「Subtitle」(10月12日リリース)だが、作中ではスピッツの曲も使用され、「スピッツはズルい。泣くしかない」「絶妙なタイミングでスピッツが流れてヤバい」などと視聴者の心を揺さぶっているようだ。
「身体に障害がある人と健常者の恋愛モノといえば、古くは社会現象となった大ヒットドラマ『愛していると言ってくれ』(TBS系/1995年)をはじめ、『オレンジデイズ』(TBS系/2004年)、『愛し君へ』(フジテレビ系/04年)、『僕のいた時間』(同/14年)、『パーフェクトワールド』(同/19年)など数多く、ストーリー設定としては珍しくない。『silent』も“数年ぶりに出会った元恋人同士の男女が惹かれ合い、それぞれの現恋人が葛藤を強いられる”というドラマとしてはベタな話といえなくもないが、それでも『silent』がこれだけ共感を得ているのは、登場人物一人ひとりの心の揺れがとても丁寧に表現されていて、さらに第1話の紬と想の再開シーンで見られた川口春奈と目黒蓮の迫真のラストシーンに代表されるように、とにかく演者全員の演技が素晴らしい。特に川口春奈なんかは“川口ってこんなに良い女優だったっけ?”と思わせるレベルで、監督や演出担当との意思疎通が十分にできている結果ではないか。
川口に限らず、全キャストの演技が押しつけがましくなく、かといって物足りなくもなく絶妙な熱量が維持されていて、演出の妙が冴えわたっている。加えて、今のところ“悪い人”が出てこず、登場人物たちはどこか皆“優しいまなざし”を持っている点も、見ている側が安心して見られることにつながっているのでは」(映画制作スタッフ)
10月20日の放送で第3話を迎える『silent』。手話教室講師・春尾正輝(風間俊介)のレッスンを受ける紬は、“聞こえる人”と“聞こえない人”との間にある距離を感じ、一方で想は、あることのために紬の家へ向かうが……という内容。ネット上には「今のところ毎回、最終回かってくらい泣いてる」との声もあるだけに、第3話もタオルやティッシュ必須かもしれない。
(文=Business Journal編集部)