吉沢亮、主演ドラマ『PICU』のリアル路線に思わぬ反響 自治体が「医療過疎の印象与える」と抗議

 吉沢亮が主演するフジテレビ系“月9”ドラマ『PICU 小児集中治療室』の「リアル路線」が話題になっている。近年のフィクション作品で避けられがちな「子どもの死」を正面から描き、ネット上で「つらいけど現実の重みがある」「ストーリーがシビアだけど良作」などと評判だ。その一方、リアルすぎるために「自治体からの抗議」が起きるなど波紋も広がっている。

 今月10日にスタートした同ドラマは、北海道にある15歳以下の患者を対象にした“子どものためのICU”こと小児集中治療室(PICU)を舞台にした物語。若手小児科医・志子田武四郎(吉沢)らが過酷な環境で奮闘し、1秒でも早く子どもを搬送するための医療用ジェット機の運用を目指す。吉沢にとって昨年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』以来の主演ドラマということもあって注目度は高く、初回の平均世帯視聴率10.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で二桁発進となった。

 「子どもを救う医療モノ」は鉄板の題材といえるが、ある意味で初回冒頭から視聴者は予想を裏切られた。物語は志子田の学生時代から始まり、幼なじみの矢野悠太(高杉真宙)らとのサイクリング中に体調不良で苦しんでいる女の子を発見。女の子は7歳の天才子役で、搬送中に吐血してそのまま亡くなってしまった。これがメディアで大きく取り上げられたことがきっかけとなり、3年後に志子田もメンバーに加わるPICUが立ち上げられる。

 いきなりショッキングなシーンが展開されて驚く視聴者を尻目に、設立されたばかりで人出不足にあえいでいるPICUに「急性腹症を発症した5歳の少女が転院先を探して4時間も待機している」との連絡が入る。PICU科長の植野元(安田顕)は体制が整わないながらも少女の受け入れを決断し、医師や看護師らが懸命に命を救おうと奮戦。通常ならここは助かるパターンだが、すでに少女は手術に耐えられる状態ではなく命を落としてしまった。

 直後、植野は治療にかかわった医師らを集めて淡々とした様子でカンファレンスを実施。志子田は「さっき女の子が亡くなったんですよ」と突っかかるが、植野は「亡くなったから話すんです。みんなの記憶が新しいうちに、次に同じことが起きたら確実に助けられるように、僕たちは経験を自分の血と肉にするために話すんです」と目を赤くはらしながら諭し、徹底して「命を救うこと」に向き合う姿勢を見せた。

 いきなり初回から子どもが2人も亡くなる衝撃の展開。17日放送の第2話では、幸いなことに死者は出なかったが、歌が大好きで合唱をやっている9歳の女の子が気道熱傷を負って元のように歌えなくなる可能性が高まる……といった心苦しくなるシビアな内容だった。

 これにネット上では「重い話だけど演技や演出のクオリティが高い」「ご都合主義じゃないところが心に刺さる」「久々に見ごたえのあるドラマ」といった称賛の声が相次いだ。一方で「子どもが亡くなる展開は無理」「子どもがいる人にとっては内容がしんどすぎる」といった意見もあるが、それもドラマにリアリティがあるからこその反応ともいえそうだ。しかし、リアルすぎるがゆえに思わぬ問題も起きているようだ。

リアリティありすぎで自治体から抗議

 初回では、急性腹症を発症した5歳の少女が美瑛町の病院から旭川市の大学病院に転送後、ドクターヘリで札幌市の大学病院に運ばれたが、間に合わずに亡くなってしまうというシーンが描かれた。

 これに対し、美瑛町の町議が医療体制への誤解を招くとして「実態と異なる」とフジテレビに抗議。18日付の北海道新聞によると、12日に番組関係者が来町し、角和浩幸町長が「フィクションとはいえ、(美瑛町に)医療過疎、住みにくいという印象を与えて残念だ」と関係者に伝えたという。フジテレビ側は「対応を検討する」としている。

 この問題については賛否ありそうだが、舞台となった自治体が看過できないほどドラマがリアルで影響力が大きいと判断されているともいえる。今作の骨太な展開は近年のドラマの中でも異彩を放っているだけに、今後もさまざまな意味で注目を集めそうだ。