朝のワイドショーで視聴率トップをひた走る『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)に激震が走ったのは、10月5日。看板コメンテーターでテレ朝局員である玉川徹氏の10日間の出勤停止が、司会の羽鳥慎一から告げられたのだ。
「玉川氏は9月28日放送の同番組の中で、安倍晋三元首相の国葬で菅義偉前首相が読み上げた弔辞についてコメント。『国葬の政治的意図』について映画を例に言及し、作品のクオリティ向上のために『胸に響くように作る』と語りました。その上で、自身のテレビディレクター経験に基づいて『そういうふうに作りますよ。当然ながら。政治的意図が匂わないように制作者としては考えますよ。当然これ、電通入ってますからね』と、さも見知ったように言い切ったのです」(芸能ライター)
これに対して羽鳥は「そこまでの見方をするのか……」と疑問を呈していたものの、玉川氏に根拠を問いただすことはなかった。しかし、この発言がネットニュースで取り上げられると騒動になり、玉川氏は翌日の同番組で「事実ではありませんでした」と陳謝したものの、さらに舌禍が広がっている。
15日前には電通の今後を憂慮していたが…
そんな玉川氏は、失言事件を起こす15日前の9月13日の同番組で、東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー契約を巡る汚職事件に関して、電通を案じていた。
この事件は、大会のスポンサー選定を委託された組織委員会の元理事で電通出身の高橋治之容疑者が、自ら経営するコンサルタント会社を通じて、スポンサー数社に便宜を図ったものだ。これが明るみになり、高橋容疑者が受託収賄容疑で逮捕されると、元社員の不祥事に電通の榑谷典洋社長が「痛恨の極み」と怒りをにじませた。
これについて、玉川氏は「電通、何十年も知ってますけど」と切り出した上で、電通社内に長い間流布していた「鬼十則」を取り上げた。これは同社の過去の企業体質を象徴する、仕事を獲得する上での格言をまとめたもので、中には「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……」といった過激な表現も見られる。
玉川氏は「今までの電通の文化というふうなことにどっぷり浸かってきた人たちが今、変わろうとしている電通の足を引っ張っている」と高橋容疑者を糾弾し、電通の将来に寄り添っていたように見えたのだが……。
「地雷は全部知ってる」「踏み外しちゃダメ」
さかのぼること3年前、2019年7月28日の「日刊スポーツ」に玉川氏のインタビューが掲載された。その記事には「社員らしからぬ発言が何かと話題になるが、“大炎上”しないのには理由があった」と書かれており、玉川氏はコメンテーターとしての規範と気概について語っている。
玉川氏がもともと番組を制作するディレクターだったことは『モーニングショー』視聴者ならおなじみだが、その記事でも、玉川氏は自身のキャリアを振り返りつつ、「初めてコメンテーターをやる人はテレビの文法を知らないんです。変に踏み込んだことを言うと、何らかの地雷に触れてしまう可能性があるわけです。でも僕の場合、地雷は全部知ってるんですね、作っている側だから。体で知っている。そういうところが評価されたのかも知れないです」と豪語している。
そして「やっぱね、ギリギリのところが面白いんですよ(笑い)。踏み外しちゃダメなんです」と語っていた。
「今回の『電通入っている』発言の原因は、先の東京オリンピック・パラリンピックを例に取るまでもありませんが、大規模な国家的行事には電通が関わっているに違いないという安易な先入観を検証せずにしゃべってしまった、というところでしょう」(芸能関係者)
「ポスト玉川」の意外な名前とは?
“予定”では10月19日に番組復帰するという玉川氏。だが13日、「NEWSポストセブン」が降板の意向を固めたと報じた。記事によると、19日の出演もあくまで「謝罪」のためだという。その場合、『モーニングショー』は代わりに看板となるレギュラーコメンテーターを育てられるのだろうか?
「最近、同番組には、国際情報誌『フォーサイト』(新潮社、現在はウェブに移行)元編集長の堤伸輔氏も出演しています。同氏は、かつては『あさチャン!』、現在は『まるっと!サタデー』と、TBS系のワイドショーに不定期出演しています。また、『モーニングショー』と同じテレ朝系では『中居正広のキャスターな会』にも出ています。玉川氏に比べると“穏健派”で、コメントは的確ではありますが、凡庸な印象です。
他にも、水曜コメンテーターを務める安部敏樹氏は“ポスト玉川”の急先鋒と見られています。安部氏は社会問題の現場を学ぶ旅行『スタディツアー』を提供する一般社団法人リディラバの代表理事。35歳という若さながら、切れ味鋭いコメントをします。ただ、早口で何を言っているのかわかりづらいときがあり、またジャケットの下には常に自身の法人のロゴ入りTシャツを着ているため、年配の視聴者からは軽く見られてしまうかもしれません」(同)
玉川氏はツイッターを開設しているが、つぶやくタイミングは一点のみ。それは毎年初頭、前年度の『モーニングショー』の年間平均視聴率が民放トップだったことに対し、視聴者に感謝の念を述べるときだ。今年の1月4日に更新されたツイッターでも、5年連続民放トップとなったことを報告しながら「今年も引き続き皆様に選ばれる番組を目指し励みます」と決意表明していた玉川氏。次に投稿するときは、いったいどんな文章を綴るのだろうか? そして、19日の復帰ではどんなコメントをするのだろうか?