女優の橋本環奈が大みそかのNHK『紅白歌合戦』の司会に抜擢された。本命といわれていた黒島結菜は“落選”となり、その意外な人選の裏側にはNHKの危機感があったようだ。
NHKは10日、今年の『紅白』の司会を務める4人を発表。3年連続3回目となる大泉洋、橋本、同局の桑子真帆アナ、さらにスペシャルナビゲーターとして櫻井翔が出演することが明かされた。
ビッグサプライズとなったのは橋本の初起用だ。誰もが知る人気女優であるものの、橋本は朝の連続テレビ小説や大河ドラマといったNHKの看板番組に出演した経験なし。歌手やゲスト審査員として『紅白』に登場したことすらなく、初出演にしていきなりの司会の大役となった。『紅白』の人選において“貢献度”が重視されるのは周知の事実で、ここ最近の女性司会者は同局の朝ドラや大河ドラマ、スペシャルドラマの出演者から選ばれている。だが、橋本が今年のNHK番組で出演したのは1月の『あさイチ』と5月の『ふたりのディスタンス』における「千と千尋の神隠しスペシャル 橋本環奈・上白石萌音」のみだ。
NHKが通例を覆してきた理由としては、長年の課題となっている若年層へのアピールという狙いがあるとみられる。昨年、人気歌い手・まふまふが出場するなど近年の『紅白』は明らかにネット世代の若者を意識した出演者を起用している。出場歌手だけでなく司会の人選でも若者層の注目を集めるため、10代~20代からの人気・知名度が抜群の橋本に白羽の矢が立ったようだ。
だが、それにしても唐突感は否めない。当の橋本本人ですらTwitterで「お話を伺った時にまず、え?司会?私が?そもそも何で私なんだろう。と耳を疑いました」とコメントしているほどだ。
当初の大本命は黒島結菜だったが…
この驚きの人選に至った背景には、大本命の「アテが外れてしまった」という事情がある。当初、今年の『紅白』の女性司会者として本命視されていたのは、9月末に最終回を迎えた朝の連続テレビ小説『ちむどんどん』のヒロインを務めた黒島結菜だった。同ドラマは本土復帰50周年を迎えた沖縄を舞台にした作品で、NHKとしてはドラマの盛り上がりをそのままに『紅白』で大々的に沖縄をクローズアップする計画だったといわれている。沖縄出身でもある黒島は、これ以上ないほどの適役のはずだった。
ところが、肝心の『ちむどんどん』は登場人物たちの理解しがたい言動やご都合主義的なストーリーに批判が殺到。毎週のようにネットで炎上し、あまりの空気の読めなさから「KY暢子」と呼ばれたヒロイン・暢子を演じた黒島の好感度まで下がってしまった。極度の評判の悪さによって『ちむどんどん』色を強めるわけにはいかなくなり、そうしたNHKの危機感によって黒島は司会の人選から除外されたと業界内で指摘されている。朝ドラヒロインから『紅白』の司会という流れは「国民的女優」の王道コースだが、黒島は作品に恵まれずにそのチャンスを逃してしまったといえそうだ。
ある意味では“棚ぼた”的に司会の大役が舞い込んだともいえる橋本だが、来春スタートの朝ドラ『らんまん』でヒロインを務める浜辺美波、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で大泉と夫婦役を演じた小池栄子、昨年司会を務めた川口春奈、放送中の朝ドラ『舞いあがれ!』の主演である福原遥といった他の有力候補を押しのけて抜擢されたのだからNHKからの期待は大きい。SNS上での若者層からの反応もよく、NHKとしては「ちむどん紅白」からの路線変更がケガの功名となるかもしれない。