リメイク批判が一転、称賛される『六本木クラス』最終回は“ザ・韓国ドラマ”炸裂か

 放送前から嵐のような批判にさらされたほか、香川照之のスキャンダルなど、何かと先行きが危ぶまれたドラマ『六本木クラス』(テレビ朝日系)が9月29日夜、いよいよ最終話を迎える。

 放送前から批判を受けた原因は、「韓国ドラマ『梨泰院クラス』のリメイクをしたこと」にほかならない。そのいわば、リメイク批判は「なぜ韓国ドラマなのか」という単なる嫌韓の人から、「原作超えは無理。劣化版になるだけ」という原作ファンまで、強烈な否定で埋め尽くされていた。

 その状態は放送開始後も「リメイクではなく原作のコピーだった」「日本版の意味は?」などと変わらなかったが、中盤に入った頃からムードが一変する。視聴率が右肩上がりになったほか、録画や配信の数値が好調であることが明らかになり、SNSにも称賛の声が目立つようになった。

批判が「おもしろい」に変わった理由

 中盤に入ってリメイク批判がほぼ消えたのは、主に原作ファンが批判の声をあげなくなったことが大きい。「原作のコピー」と揶揄されるほど忠実にリメイクしたことで、原作ファンとしては叩く要素が薄れ、徐々に沈黙していった。

 そもそも「ヒットした」といっても、そこは特定の有料会員だけが見るNetflixでの話。「原作を見たことがない」という人の方が圧倒的に多いのだが、原作ファンが批判しなくなったことで、彼らが「おもしろい」という声をあげやすいムードが生まれた。

 その「おもしろい」という評価の大半を担っているのは、復讐劇、ラブストーリー、若者群像劇という3つのエンタメ性を併せ持つストーリーにほかならない。

 宮部新(竹内涼真)と長屋茂(香川照之)の下克上バトルにはヒリヒリとした緊張感が漂い、その新をめぐる楠木優香(新木優子)と麻宮葵(平手友梨奈)の三角関係はドキドキと切なさを感じさせ、「二代目みやべ」に集う新、葵、内山亮太(中尾明慶)、綾瀬りく(さとうほなみ)の絆には心が熱くなる。特に原作を見ていない視聴者たちは、純粋にこれら3つの連続したストーリー性を楽しんでいた。

 また、俳優たちのやや過剰なくらい熱を込めた演技が夏にフィットしていたこと、葵を演じる平手への称賛が急激に高まったこと、他の夏ドラマが一話完結の無難な構成ばかりであることなども追い風になった感がある。

 韓国ドラマを忠実にリメイクしたことで、前述した3つのエンタメ性を持つストーリーの魅力を損なうことがなかった反面、「悪人の描き方が大げさで単純すぎる」「暴力的なシーンがムダに多い」などの弊害があった。さらに、香川照之のスキャンダルが無用な批判を招いたことは間違いないが、ストーリーへの興味は、それらでは揺るがないレベルにまで高まっていたのだろう。

 終盤に入ると原作を見た人々からも、俳優の好みや放送話数の短さなどから、「私は『梨泰院クラス』より『六本木クラス』の方が好き」という声も見られるようになるのだからわからないものだ。

最終話で新が長屋に土下座する理由

 最終話は、長屋の息子・龍河(早乙女太一)の暴挙からスタート。葵と長屋龍二(鈴鹿央士)の拉致に留まらず、意識不明の重体から意識を取り戻したばかりの新に殺意が向けられる。新は2人を救い出し、龍河との決着をどうつけるのか。やはり原作同様に、最後まで暴力的なシーンが前面に出ることになりそうだ。

 さらに、土下座をめぐって新と長屋が対決。これは「『二代目みやべ』と『長屋』のどちらに軍配が上がるのか」を意味しているが、その基準は、もはや料理対決や売り上げ・店舗数などではなく、どちらがどちらを支配するか。

 ただ、龍河がさらなる犯罪を重ねた上に、優香が「長屋」の脱税・裏金・癒着・賄賂などの不正告発を匂わせただけに、すでに「二代目みやべ」完勝のフラグが立っている。予告映像では新が長屋に土下座するシーンがあるが、これは最終回前によくある“フリ”であり、葵を助けるための土下座の可能性が高い。

 そしてもう1つのクライマックスは、三角関係の決着。これまでは終始、優香がリードしてきたが、第12話で大きく動いた。新は葵に思いを寄せる龍二に「お前に何を言われようが構わない。俺は葵が好きだ」と宣言しただけに、龍河から救い出せば何の障害もなく、2人の恋は成就するのだろう。むしろ、「同級生として長く深い縁がある新と優香がどんな別れ方をするのか」の方が興味深い感がある。

テレ朝スタッフが求める確かな勲章

 ここまで原作に忠実なリメイクをしてきた制作サイドが最後の最後に、日本版ならではの大幅な脚色をすることは考えづらい。そもそも「原作に忠実」という保守的な戦略を選んだスタッフだけに、クライマックスで今さら冒険はしないはずだ。

 その意味で最終話は、これまで以上に「ザ・韓国ドラマ」な展開が予想される。めまぐるしい場面展開、感情とバイオレンスの爆発、特大のハッピーエンド……これまで刑事・医療のシリーズ作などの超保守的な作品が大半を占めてきたテレビ朝日にしてはレアな最終回になるだろう。

 テレビ朝日にとって『六本木クラス』は局を挙げた大型プロジェクトだけに、最終話の反響は今後への影響必至。「韓国ドラマのヒット作リメイクをどんどん狙っていくのか」「原作に忠実なリメイクというプロデュースは正しかったのか」「何を得て何を得られなかったのか」。

 原作に忠実なリメイクをした分、プロデューサー、演出家、脚本家らは手応えや充実感を得られにくいだけに、最終回は視聴率と配信再生数の大幅アップや、ツイッター世界トレンド1位などのわかりやすい勲章がほしいのではないか。