『ちむどんどん』なぜ失敗したのか?低視聴率の裏側&巻き返しが絶望的な理由

 連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK)の視聴率が上がらない。6月30日放送の第59話は世帯15.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、個人8.5%となっている。

「4月11日放送の初回は世帯16.7%、個人9.3%ですから、決して激減しているわけではありませんが、停滞しているといっていいでしょう。一方、前作の『カムカムエヴリバディ』は世帯16.4%、個人9.0%でスタートしましたが、今年1月25日放送の第59話で世帯18.5%と初の18%台を記録、個人は10.3%でした。番組最高では、世帯19.7%、個人11.2%を記録しています」(芸能ライター)

 物語がほぼ折り返し地点を迎えるというのに、『ちむどんどん』は『カムカムエヴリバディ』と比べても“ブーム”といえるほど盛り上がっていない。それどころか、いまだに「打ち切り」を求める声も根強いという。

『ちむどんどん』は誰が見ているのか

 そもそも今作は、いったい誰が見ているのだろうか?

 5月第1週の年齢別視聴率を挙げてみよう。5月9日、第21話の世帯視聴率は14.5%、個人8.1%。その内訳は、男性層を見ると、M1(男性20~34歳)=0.2%、M2(男性35~49歳)=2.0%、M3(男性50歳以上)=11.4%と、50歳以上が圧倒的だ。

 続いて女性層だ。F1(女性20~34歳)=1.3%、F2(女性35~39歳)=5.1%、F3(女性50歳以上)=17.3%と、こちらも、50歳以上が主な“お客様”だ。他の曜日も、同じような推移をたどっている。

「長らく朝ドラを見つめてきた50代以上のファンたちは『しょせん、朝ドラはこんなもの』と割り切っているのかもしれませんが、そんな諦念では片づけられないほど、今作は物語の展開、登場人物のキャラクター、時代考証など、すべてにおいて“お粗末”なのです」(同)

タイムシフト視聴率も『カムカム』に敗北

 さらに検証しておきたいのが「録画組」の存在だ。つまり、タイムシフト視聴率である。5月9日からの週を見てみよう。

「5月9日の第21話は世帯14.5%でした。これにタイムシフト6.5%が加わると、総合視聴率は19.9%と、20%に迫る勢いになります。さらに翌10日、第22話は世帯15.2%。ここにタイムシフト6.6%が加算されると、総合は20.7%と、ゆうに大台を超えるのです。そして、5月13日放送の第25話は世帯16.0%、タイムシフト6.3%で、総合21.2%となっています」(同)

 つまり、低迷しているとは一概に言えない側面もあるわけだが、では『カムカムエヴリバディ』のタイムシフト視聴率はどうだったのだろうか。

「『ちむどんどん』では第21話から見てきたので、公正を期すため、『カムカムエヴリバディ』も昨年11月29日の第21話から検証してみます。世帯視聴率は16.1%、タイムシフト視聴率は7.1%で、総合視聴率は21.9%でした。翌30日の第22話は世帯16.4%、タイムシフト7.4%、総合は22.5%。そして、12月1日の第23話は世帯17.7%、タイムシフト7.1%、総合は23.6%となっています」(同)

 録画したからといって必ずしも再生しているとは限らないが、『カムカムエヴリバディ』は『ちむどんどん』より録画組が多いことがわかる。

『ちむどんどん』は何がダメなのか?

 では、『ちむどんどん』の不評の要因は何なのだろうか。

「これまでもさまざまな媒体で取り上げられてきましたが、脚本が稚拙で、視聴者に訴えかけるものがない。演出サイドにも『王道の朝ドラなんて、こんなものだろう?』という甘えがあるように見受けられます。6月16日放送の49話では、『フォンターナ』のシェフ・二ツ橋(高嶋政伸)が、かつて恋したオーナー・房子(原田美枝子)とのやり取りを一人芝居で再現していました。彼のキャラクターは至ってまじめで、ユーモアにあふれた人物というわけでもない。なのに、なぜ講談師のような軽妙な口調でしゃべらせたのか? 先の7月4日の第61話でも、二ツ橋は“先輩”の話として、自身のエピソードを同じようにコミカルに話していました。

 脚本の段階でそういう指示があったのかは定かではありませんが、もし現場判断で『そっちの方がおもしろい』と単純に考えてしまったのであれば、キャラからいきなり逸脱させるのは軽率ですし、視聴者が戸惑うばかりです」(同)

 ちなみに、比嘉賢秀を演じる竜星涼は、6月10日放送の『あさイチ』(NHK)の「プレミアムトーク」に出演した際、キャラクターを自分なりに膨らませてアドリブを多めにしていること、それが意外にも採用されていることを明かしている。

今後の巻き返しが絶望的な理由

 7月に入り、最終回まで残り約2カ月半。今後の巻き返しには期待できるのだろうか?

「もはや無理でしょう。7月1日放送の第60話が、主演を務める黒島結菜の誕生日である今年3月15日に撮影されていることが、同作の公式ツイッターにアップされているミニラジオ番組『黒島ラヂオ』の中で判明しています。つまり、初回が始まる前に全話のほぼ半分を撮り終えてしまったということになる。まだ撮影は進んでいると思われますが、今の時点で脚本や演出を軌道修正したら、さらにストーリーが混乱する可能性もあるわけです」(同)

 開始当初、制作統括を務める小林大児チーフプロデューサーは、スポーツ紙のインタビューで、前作『カムカムエヴリバディ』との比較において「カムカムの企画との比較は1ミリも考えていない」ときっぱり。「朝ドラは、15分間で息も切らせぬテンションで描くサスペンスフルなドラマでもないですし、それが求められてもいないと思う。毎朝気持ちよく、一人の主人公に感情移入していくというのが見やすい」と語っていた。

 しかし、公式ツイッターにも不満の声が殺到している惨状に、視聴者に感情移入させているという自負はあるのだろうか? いずれにしても、今後も『ちむどんどん』の動向を注視したい。