VTuberグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLOR(エニーカラー)が8日、東証グロース市場に新規上場した。9日終値ベースの時価総額が当初の想定を3倍以上も上回る1652億円に達するなど話題を呼んでいる。
上場初日、ANYCOLORは買い気配のまま値付かずとなっていたが、9日の午前10時ころに公開価格1530円の約3.1倍となる4810円の初値をつけた。終値は公開価格の約3.6倍となるストップ高の5510円で時価総額は1652億円に達した。ヒカキンらが所属するYouTuber事務所「UUUM」の時価総額が約300億円ということを踏まえると、その勢いは理解できるだろう。
10日も買い注文が殺到してストップ高の6510円を記録し、時価総額は約1950億円に。東証グロース市場の時価総額ランキングで2位(15:00時点)に躍り出た。同社の代表・田角陸氏は26歳の若さで、最年少クラスでの上場が華々しいスタートとなった。
このロケットダッシュの大きな原動力になったとみられるのが、上場の約2週間前に彗星のごとく登場した新人VTuberの壱百満天原(ひゃくまんてんばら)サロメだ。
「上場人型決戦兵器」の投入が好材料に
壱百満天原サロメは5月21日にデビューし、同24日の初配信で同時接続数9万人を記録。独特のお嬢様口調やマシンガントーク、黒塗りにした住民票やマイナンバーカード、胃カメラの写真まで公開するカオスぶりが反響を呼び、初配信のアーカイブ動画がYouTubeの急上昇1位を獲得するなど大きな話題となった。
ネット上で一大ブームの様相を呈し、通常のゲーム実況配信で同時接続数11万人を記録。チャンネル登録者も急増し、初配信からわずか14日後の今月7日に登録者数100万人を突破した(6月10日時点で117万人)。
これまでVTuberの100万人達成の最短記録は、カバーが運営する英語圏向けVTuberグループ「ホロライブEnglish」に所属するGawr Gura(がうる・ぐら)の39日だったが、それをはるかに上回るスピード記録。VTuber史上最短となっただけでなく、女優の本田翼や元乃木坂46の白石麻衣らよりも早い達成となったことで「女性YouTuber」としても史上最短記録となった。
この驚異的な記録でネットが大騒ぎとなった翌日、ANYCOLORが新規上場したのだから買いの好材料になったことは想像に難くない。一部の投資家から「上場人型決戦兵器」と呼ばれるなど、市場でもサロメのブレイクは買い気配に大きく影響したとみられているようだ。
また、世界的企業が続々と参入するメタバースとも親和性が高いVTuber市場への投資家筋からの期待の高さや、22年4月期の営業利益予想が前期比160.7%増の37.85億円と大幅な増益を見込む業績見通しなどが評価されたことも大きい。
ご祝儀相場であることを差し引いても「勢いが異常」と騒がれており、今後も投資家や市場関係者から注目されそうだ。