27日、中京競馬場で行われた高松宮記念(G1)は、8番人気の伏兵ナランフレグが最後の直線で馬群を割って差し切り勝ち。2着に5番人気のロータスランド、3着に17番人気のキルロードが入り、3連単の払戻しは278万円を超える大波乱となった。
前日の降雨の影響が残り、3年連続の重馬場開催となった今年の高松宮記念。時計の掛かるタフな馬場になることを考慮して、道悪成績が乏しい人気馬を嫌い、人気薄の馬から馬券を購入したファンも多いはず。
特に前走の阪急杯(G3)で復活優勝を遂げた、6番人気のダイアトニック(牡7歳、栗東・安田隆行厩舎)に期待した人は多かっただろう。
ダイアトニックは同じく重馬場で行われた2年前の高松宮記念にて、最後の直線でクリノガウディーの斜行被害により3着。不利さえ無ければ勝っていたかもしれない惜しいレースだった。
そして、多くの競馬好きタレントや評論家もダイアトニックを本命にしていた。中でも人気お笑いコンビ「霜降り明星」の粗品が扮する「生涯収支マイナス1億円君」はYouTubeにアップした予想動画で本馬を強く推奨し、説得力のある予想を披露した。
そんなダイアトニックだが、阪急杯で見せたロケットスタートから一転。スタートで出遅れた挙句、二の脚もつかず最後方からの追走に。レースへ参加することができないまま、14着とまさかの大敗を喫してしまった。
2走前の京都金杯(G3)でもスタートで後手を踏んでいるように、ゲートは元々得意とは言い難い馬だ。それでも、前走は一時ハナに立つほどのダッシュ力を見せていただけに、残念な結果といえる。
これにはネット上の掲示板やSNSなどで「粗品の本命だからなあ」「粗品の呪い炸裂」と、逆神でも知られる人気芸人が出遅れの原因と推定する声が一部見られた。
管理する安田隆師が「ゲートで気持ちが入り、スタートをうまく出なかったのが全て」と、レース後に話していることから、出遅れが大敗の元凶には違いない。だが、出遅れた原因は「粗品の呪い」では無さそうだ。
「実はダイアトニックの返し馬でとんでもないハプニングが起こっていたんですよ。
馬場へ入場したダイアトニックがスタンド前を歩いている途中に、観客が『オイッ!』と叫ぶ事件がありました。叫び声に驚いた本馬はバランスを崩してしまい、危うく岩田康誠騎手も落馬するところでした。
幸い人馬ともに怪我はありませんでしたが、ダイアトニックはその後気持ちが不安定なように見えました。タラレバになってしまいますが、返し馬のときに何事もなければ、本馬は気持ちが高ぶらず、しっかりゲートを出ていたのではないでしょうか」(競馬誌ライター)
観客が引き起こしたハプニングはフジテレビ系列の競馬中継でも確認されており、その映像はTwitterなどのSNSを中心に拡散。大きな反響を呼んでいる。
この件についてダイアトニックを本命にしていた競馬評論家の水上学氏は自身のTwitter上で「これで調教師のコメントに合点がいった」「これは問題」「馬がかわいそう」と持論を展開。また、「入場できて競馬を楽しめることがどれだけ幸せか」「暴徒のせいで汚点を残された気分」と怒りをぶつけていた。
JRAが「出走馬および関係者への威嚇その他迷惑を及ぼす行為」を断っているように、レースを控えた人馬へ叫ぶのは御法度だ。今後は各観客が観戦マナーを遵守し、叫びたいときは100万円勝負を外して動画内で絶叫した「生涯収支マイナス1億円君」のように誰にも迷惑をかけない形が望まれるだろう。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……