これまで多くの視聴者を失望させてきた、バラエティ番組の“ヤラセ”や“捏造”問題。今回、過剰演出が取り沙汰されているのが、ちびっ子たちを熱狂させている人気番組『アイ・アム・冒険少年』(TBS系)だ。
「同番組は特にC層(男女4~12歳)に大ウケで、とりわけ頻繁に出演している芸人・あばれる君の支持が断トツです。それまで、くすぶっていたとは言いませんが、あまり目立たなかった彼の知名度を上げたのが、同番組の企画『脱出島』への挑戦です。これは、タレント数組が無人島から有人島に脱出するタイムを競うというものですが、彼は驚異のサバイバルテクニックを次々と披露しながら脱出を繰り返し、過去10回も優勝してきました」(芸能ライター)
あばれる君が、そこまでサバイバルの達人だということは、業界的には周知の事実だったのだろうか?
「リサーチ不足かもしれませんが、正直あそこまでさまざまな知識と技術を持っていることは知りませんでした。坊主頭でビジュアル的にもわかりやすく、やたら熱いキャラクターなので、当初は良いタレントを発掘したな、という感じで見ていました。それが、あんなことになっているとは……」(テレビ局関係者)
暴露された「脱出島」ロケの裏側
すでに「文春オンライン」で大々的に報じられている通り、「脱出島」の撮影の裏側では、あばれる君が漕ぐイカダが小船に牽引されたり、タレントが自作するはずのイカダや小道具をスタッフがつくったりしているという。
それらはすべて、“番組スタッフ”を名乗る人物からの告発がきっかけだという。その告発によると、無人島を脱出するためにつくるイカダは、番組のルールでは島にあるものでつくると決められているものの、実際はスタッフが材料を持ち込み、タレントが上陸する数日前から、サバイバルの専門家がメインとなって作成しているという。そして、そのイカダを漕ぐシーンをある程度撮影し、“撮れ高”ができたら船で引っ張っているという。
こうなると、あばれる君が披露していたサバイバル術が“仕込み”である可能性も浮上するが、一方ではこういう声もある。
「これは、まだ許容の範疇でしょう。あばれる君だけでなく、土もさわったことのないような有名女優や都会出身の芸人などの挑戦者が、水のろ過や高度な火起こしをしているくらいですから、監修がついていることは明白。『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)の人気企画『DASH島』でも、TOKIOのメンバーが専門家を招いて意見を仰いだり、綿密な事前リサーチのもとでロケが進行しています。また、同企画では、番組スタッフも総出で協力してさまざまな建築物をつくっていることを、正直に伝えています。
ちなみに、『脱出島』では挑戦者は無人島に寝泊まりすることになっていますが、実際は近くのホテルに宿泊していたそうです。『鉄腕DASH』のかつての人気企画『福島DASH村』でも、TOKIOはロケを終えたら現地のホテルに泊まっていたという話もあります」(同)
では、今回の「脱出島」の疑惑では、何が最もいけなかったのだろうか。
「ロケが行われているのは、奄美大島のある無人島だそうです。そもそも、島に流れ着いた廃棄物だけで毎回イカダをつくれるはずはありませんし、安全面への配慮から、イカダを小船で牽引していたことも言い訳がつく。しかし、最もやってはいけなかったのが、有人島へのゴールシーンを先に撮影していたことです」(同)
「文春オンライン」では、タレントのスケジュールの都合上、「先に到着するシーンを撮影していた」という記述がある。
「それなら、誰が優勝するかはスタッフの“さじ加減”次第ということになってくる。つまり、あばれる君の10回の優勝も怪しくなるというわけです。そもそも、無人島から脱出するタイムを競うのであれば、わざわざ島に1泊しなくても、着いた瞬間から船をつくり始めればいいわけですから。そのあたりのルールも、曖昧といえば曖昧でした。そう考えると、ロケで起こることはすべて“予定”されていた、と捉えられても仕方ありません」(同)
視聴者の中には「バラエティ番組なんてそんなもん」「気にすることはない」「子どもが楽しみにしている番組なのだから、イチャモンつけるな」という声もあるが、なぜここまで過剰演出が横行してしまったのだろうか。
「『文春オンライン』の記事にもありますが、ロケ場所が人目につかないということが大きいでしょう。限られた人数でやれば隠蔽できますから。さらに、最も大きいのは制作会社主導の番組作りだったということです。『DASH島』のように局のプロデューサークラスが現地に行けば演出の可否をジャッジできますが、下請けの制作会社の社員だけでロケが行われていた『脱出島』では、こうしたことがまかり通ってしまうわけです」(同)
とはいえ、行き過ぎた演出が問題になることは目に見えている。なぜ止められなかったのだろうか。
「もちろん、撮れ高のためです。下請けは局の意向に逆らえませんから、よりおもしろく、よりドラマチックに、と思うあまり一線を超えてしまうのです。また、イカダをつくるための資材を有人島から運搬しているなど、“細工”がかなり大がかりなので、局ぐるみで把握し、目をつぶっていた可能性もあるでしょう」(同)
打ち切りに追い込まれる番組も
制作会社の暴走は、過去にもたびたび問題になっている。
『鉄腕DASH』の裏番組で一時期人気だった『ほこ×たて』(フジテレビ系)では、「絶対に捕らえられないラジコン」VS「どんな物でも捕まえる猿軍団」という企画の際、猿がラジコンカーを怖がって逃げてしまうため、釣り糸を猿の首に巻き付けてラジコンカーで猿を引っ張り、猿が追いかけているように見せるなどの“捏造”が発覚し、打ち切りになっている。
『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)でも、タイやラオスなどで、本来は開催されていない現地の祭りをコーディネーターとの話し合いのもとで“捏造”していた。
『冒険少年』と同じTBSでは、特に多い。
「『クレイジージャーニー』では、メキシコで発見された珍しいトカゲが事前に用意されたものだったことがわかって打ち切りに。また、『珍種目No.1は誰だ!?ピラミッド・ダービー』もわずか2年で幕を閉じています。同番組は、各方面のプロフェッショナルが独自のルールによる珍種目の頂点を目指して競い合うという内容でした。しかし、入れ替わった双子を見極めるコーナーに解答者として顔相鑑定士・池袋絵意知氏が出演したのですが、収録では正解していたにもかかわらず、オンエアでは不正解扱いにされ、番組途中からCGで姿を消されてしまったことが判明したのです。
さらに『消えた天才』では、リトルリーグ全国大会で全打者三振の完全試合を達成した少年投手の投球映像を早回しすることで、ストレートの球速を実際より速く見せる細工を行っていました」(同)
前述の『ほこ×たて』から『消えた天才』まで、いずれもBPO放送倫理検証委員会に「放送倫理違反」と判断され、『イッテQ』以外は打ち切りに追い込まれている。『冒険少年』は1月31日に2時間スペシャルが放送されるが、今後、番組はどうなるのだろうか?
(文=編集部)