なにわ男子、BE:FIRST、INI…11月デビュー組の業界でのリアルな評価とは

 12月に突入し、これから大みそかの『NHK紅白歌合戦』まで、各局で大型音楽特番が次々に放送されていく。アーティストたちにとっては稼ぎ時であり、中でも若手にとっては顔を売る絶好のチャンスだ。

 さまざまなアーティストの中で、今最も注目を集めているのが11月にデビューしたばかりの男性グループ3組。オーディション『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』から誕生したINI (アイエヌアイ)、オーディション『THE FIRST』から誕生したBE:FIRST(ビーファースト)、ジャニーズ事務所からデビューしたなにわ男子の3組であり、いずれもデビュー曲がトップセールスとなったほか、テレビとネットを中心にさまざまなメディアでフィーチャーされ続けている。

 この1カ月間、メディア関係者や音楽関係者などに、3組のデビューに関する感想や評価を聞く機会が何度となくあった。同時期にデビューし、いずれも順調なスタートを切ったように見える彼らだが、関係者たちはどのような目で見ているのか。

熱狂度のINI、潜在ファンのBE:FIRST

 まずINIは、「国民プロデューサーの投票によってメンバーが決まる」というオーディション特性から、ファンの熱狂度は文句なしでトップクラス。そんな熱狂は、セールス、視聴数、物販の強さに直結する手堅いビジネスモデルであり、「失敗は考えにくい」という声しか聞こえてこない。

 ただ、その長所は短所の裏返しでもある。熱心なファンと、そうではない人との落差が大きくなりやすいため、「いかにそのギャップを埋めるか」のマネジメントがカギを握っているのだ。

 日本での活動は吉本興業がマネジメントをしているだけあって、急に露出が減ることは考えにくい。しかし、先輩グループのJO1も一般層への浸透度がなかなか上がらない現状では、「まだまだ時間はかかりそう」という声が目立っている。

 次に同じオーディション組のBE:FIRSTは、明らかに評価が異なる。オーディションの様子を地上波の『スッキリ』(日本テレビ系)が繰り返し放送し、現在も追い続けていることで、「熱心なファン層に加えて、ライトなファン層が控えていることが大きい」という。つまり、デビューシングルを買っていない人の中にも潜在的なファンが多く、伸び代が期待できるという見方だ。

 また、これまではプロデューサー・SKY-HIの人脈と、日本テレビの強い後押しを生かしてきたが、ここに来て個々のメディア出演が増え、キャラクターが浸透し始めている。

 ただ、「もともとクリエイティブ・ファースト、クオリティ・ファースト、アーティシズム・ファーストのチームをつくる」というコンセプトだけに、どこまで人々を驚かせるものをつくれるのか。メンバーたちも楽曲制作や振り付けに関わるだけに、「一つひとつのパフォーマンスが鍵を握る」という最もシビアな目で見られるグループになりそうだ。

「オーディションから、楽曲などの制作、クラウドファンディングまで、ほぼすべてをガラス張りの状態で見せる」というSKY-HI のプロデュース方針もあり、彼らのプレッシャーは想像以上に高い。

好感度抜群のプロデューサーたち

 なにわ男子はデビュー前から10代を中心に圧倒的な人気を誇り、全国放送のテレビ出演も多かった。さらに、デビュー時のプロモーションは、King & Prince、SixTONES、Snow Manをはるかにしのぐ大量露出だったが、「思ったほど『ゴリ押し』という声は少なかったことも含め、上々のスタート」という。

 業界人と、なにわ男子の話になると、「キラキラしている」「かわいい」「いい子たち」とファンのような言葉が返ってくる。前述した先輩グループは、どこかカッコよさや技術の高さを感じさせるが、なにわ男子にはそれがなく、「いつも明るく元気で、ピンクの衣装を着て、かわいいアイドルをやり切っているところが凄い」というのだ。

 また、「それでいて実は歌も踊りもうまく、トークはもっとうまい」という。中には「トークはすでに現役ジャニーズの中でトップクラスではないか」とまで称える声も聞いた。個人技の高いSMAPと、仲の良さや絆を感じさせる嵐という、2大国民的アイドルの長所を併せ持つようなグループになっていく可能性もあるだろう。

 3組は結成の経緯から、まったく別の特徴を持つグループであり、比較することにほとんど意味はない。しかし、ただ1つ現時点で共通点として注目されているのは、BE:FIRST、なにわ男子におけるプロデューサーへの信頼感。

 BE:FIRSTはSKY-HY、なにわ男子は関ジャニ∞・大倉忠義と、プロデューサーの顔がはっきりしているのだ。2人は現役アーティストとしての経験値と技術に加え、メンバーの個性を生かす手法、ファンを大切にする人柄など、信頼できるところが多く、関係者たちの心をも引きつけている。

 とりわけSKY-HYとBE:FIRSTメンバー、大倉となにわ男子メンバーとの良好な関係性がしっかり伝わるところは好感度が高い。そんな愛情にあふれた関係性を見た人々は癒され、「彼らを応援しよう」という気持ちが高まっていくからだ。

 INIも両グループのように実質的なプロデューサーの存在をもっと世に出していくのか。それとも別の方法を考えているのか。嫌韓感情を持つ人々の存在を吹き飛ばすような、アッと驚く方法が求められているのかもしれない。

(文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト)

●木村隆志(きむら・たかし)
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』(フジテレビ系)、『TBSレビュー』(TBS系)などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。