7日、東京競馬場で行われたアルゼンチン共和国杯(G2)は、1番人気のオーソリティ(牡4歳、美浦・木村哲也厩舎)が57.5kgのトップハンデを跳ね返す勝利。1983年のミナガワマンナ以来38年ぶり、史上3頭目となる連覇を達成した。
「道中、流れが遅くても冷静に走ってくれました。向正面でいいポジション(4番手)を取れたので勝つ自信あったね」
レース後、そう冷静に振り返ったC.ルメール騎手。最後は後方から追い上げたマイネルウィルトスに2馬身半差をつける圧勝だったが、過去10年で最も遅いペースで、1番人気馬が楽に好位を追走できた時点で勝負あったか。誰もが納得するルメール騎手の好騎乗だった。
ただ、その一方、レースを見守ったファンを混乱させてしまったのが、日曜の競馬中継でお馴染みの『みんなのKEIBA』(フジテレビ系)だったようだ。
「間もなく先頭が前半の1000mを通過する」
レースが向正面に入った際、そう告げたのが実況を担当したフジテレビの倉田大誠アナだった。昨年の天皇賞・秋(G1)や今年の安田記念(G1)でも実況を担当するなど、競馬ファンにとってもお馴染みアナウンサーだが、この日は何故かいつもの冷静さを欠いてしまったのかもしれない。
逃げたボスジラが間もなく1000mを通過しようとした際「前半の1000m通過は1分を切っています」と切り出した倉田アナ。さらに「今年はそこまでスローになっていない」と、1番人気オーソリティや2番人気アンティシペイトら先団を形成した馬たちを応援する視聴者へ警鐘を鳴らしている。
ところが、そこからわずか数秒後、突如「1000mの通過は63秒4でした」と事後報告。それも1000m通過63秒4といえば、超が付くほどのスローペースである。
そんな“手のひら返し”もあって、レースは4番手を追走したオーソリティが楽に抜け出して勝利。一時、肝を冷やした競馬ファンも胸を撫で下ろす平穏決着となった。
ただ、レース後には『みんなのKEIBA』を見ていたであろう競馬ファンからSNSや掲示板などで「結局、スローだったの?」「実況がよくわからなかった」と疑問の声が続々……。
中には「これだからフジは信用できない」「間違ったんなら謝罪してくれ」という厳しい声もあった。
「アルゼンチン共和国杯は2500mなので、最初の計測は200m通過ではなく、100m通過で行います。おそらくその影響で、倉田アナは1000m通過ではなく、900m通過のタイムを確認してしまったのではないでしょうか。
レースは刻一刻と状況が変化するので、実況する方もイチイチ間違いを訂正して謝罪していては、さらに間違いが連鎖するリスクが高まりますからね、間違えたことは倉田アナも気付いていると思いますし、冷静な対応だったと思います」(競馬記者)
しかし、この日の倉田アナの負の連鎖は、これで収まらなかったようだ。
オーソリティが先頭でゴールした直後、「道中1000m通過は63秒4とスローに持ち込まれましたが、末脚光ったオーソリティ! 34.1の末脚!」と実況。さりげなく1000m通過63秒4がスローだったことを伝えることには成功したが、掲示板に表示された34.1秒はレース全体の上がり。オーソリティは、それを上回る33.9秒の“末脚が光って”いた。
レース後、解説を務めた『競馬エイト』松本ヒロシ記者が「今年は超スローだった」と話した通り、900m通過タイムは過去10年で最も遅い57.2秒。これでは1000m通過タイムと勘違いしてしまっても仕方がなかったか。
いずれにせよ、過去にも様々な失態を演じた『みんなのKEIBA』にとっては“小事”だったようで、放送中には謝罪もフォローもなし。歴史的スローだったことも、倉田アナにとってはなんとも皮肉な結果となってしまった。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。