珍名馬ママママカロニ(牡2歳、大井・森下淳平厩舎)の3連勝に沸く、大井競馬にさらなる怪物が登場した。
22日、大井競馬場で行われた3Rの2歳新馬を、1番人気のランディスシティ(牡2歳、大井・森下淳平厩舎)が圧勝。2着ヴァイオイルステラとのタイム差は4.1秒、着差にすると約20馬身差という“異次元”のデビューを果たしている。
ママママカロニがゴールドジュニア競走(S3)を9馬身差で圧勝してからわずか2日後、大井競馬場が再び若き新鋭の登場で衝撃に包まれた。
この日、単勝1.0倍という異例の支持を集めたランディスシティは道中こそ2番手だったが、最後の直線で抜け出すと後続を大きく突き放して独走。鞍上の笹川翼騎手の手綱がほぼ動くことなく、2着に4.1秒という大差をつけてゴール板を通過した。
「元々、能力検定の段階でズバ抜けた動きを見せており、関係者の前評判では『ママママカロニよりも上かも』という声もあったほど。ただ、それでも想像以上の強さでした。
それも単純にスピード任せに押し切ったというわけではなく、道中はいつでも抜け出せる手応えがありながら、あえて逃げ馬の前に出ない2番手からの競馬。落ち着いて走れていましたし、高いレースセンスを感じました。今回は1400mでしたが、これなら距離が伸びても十分にやれると思います。
ママママカロニとは同じ森下厩舎で、今から同厩対決が注目されていますが、正直、ランディスシティの方が上かもしれません。まだキャリア1戦だけなので、今後どうなるかという部分はありますが、それでも今日のパフォーマンスは驚異的でした」(競馬記者)
記者曰く、そもそも父Runhappy、母Involved、その父Speightstownという米国血統のマル外が地方でデビューしていること自体が非常に珍しいという。確かに、父がホッコータルマエで“如何にも地方馬”という血統のママママカロニとは、あまりに対照的だ。
「実は昨年から、大井競馬場を始めとする南関東を主戦場にしたトラヴァーズサラブレッドクラブという一口馬主クラブが始動しており、ランディスシティはその所属馬になります。
トラヴァーズサラブレッドクラブの最大の特徴は、従来なら中央デビューが既定路線となっていた海外の2歳馬、つまりはマル外をあえて地方でデビューさせるというもの。ランディスシティにしても、普通ならJRAでデビューしてもおかしくない馬ですが、大井でデビュー戦を迎え、あのような圧勝劇になりました。
ランディスシティら第1期は募集された4頭中2頭が必要口数の応募が得られなかったことで、日本ではなく米国でデビューすることになるなど、やや苦しい印象だったトラヴァーズですが今後、間違いなく注目を集めることになりそうです」(別の記者)
タイキシャトルやグラスワンダーといった怪物級が幅を利かせた1990年代と比較すると一時の勢いはなくなったものの、今年のフェブラリーS(G1)を制したカフェファラオなど、今なお日本競馬に小さくはない存在感を示している外国産馬。
ただ、海外の一流のセリで取引されている以上、地方競馬でデビューさせていては採算が合わないのではないかという先入観があることも確かだ。
「近年はセレクトセールが毎年のように売上記録を更新しているように、日本産の競走馬が非常に高値で取引されています。一方で、例えばカフェファラオが米国のOBSマーチセールで47万5000ドル(約5000万円)で取引されたように、近年は比較的リーズナブルな価格で走るマル外の活躍が目立っています。話題になっているランディスシティも募集額は合計1600万円ですからね。
また、地方競馬も馬券のインターネット発売の普及で売上は右肩上がり。特にその代表格となる南関東では、売上好調に伴うレース賞金の増額も目立っています。トラヴァーズサラブレッドクラブはそういった時代の流れにマッチしたクラブだと思いますし、今後新たに似たような試みを行う流れが生まれても不思議ではないですね」(同)
「当オーナーズの発足により、オーナー様・競馬関係者・ファンの皆様が、大きな夢と希望を持つ一助となれば、これ以上の喜びと『存在価値』はないものと考えております」
公式HPで、そう語っているのはトラヴァーズサラブレッドクラブの沼本光生代表だ。時代の流れを敏感に汲み取って誕生した“異端”の新鋭クラブから、さっそく「規格外の怪物」が名乗りを上げた。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。