JRA福永祐一「秋華賞はファインルージュ」か。大器アンドヴァラナウトを断念せざるを得ない事情と「超大物2歳」の存在とは

 先週19日のローズS(G2)を快勝したアンドヴァラナウト(牝3歳、栗東・池添学厩舎)の評価がうなぎ登りだ。

 先月末に他界した2015年の二冠馬ドゥラメンテと7/8同血という超良血馬は、キャリア5戦目に1勝クラスを勝ち上がったばかりでありながら秋華賞トライアルで4番人気に支持されるなど、元々ファンの期待の高い存在だ。

 さらに、そのローズSを上がり3ハロン最速の末脚で春の実績組を一蹴すれば、評価が急浮上するのも当然か。鞍上の福永祐一騎手が「G1の舞台でも勝負出来るだけの能力がある」と評したこともあって、下馬評では大本命馬ソダシに次ぐ2番人気に予想する声もあるようだ。

 ただ、その一方でアンドヴァラナウトの秋華賞(G1)制覇の大きな鍵を握るのが、主戦・福永騎手の動向だろう。

 というのも、福永騎手はもう1つの秋華賞トライアル・紫苑S(G3)をファインルージュとのコンビで勝利。こちらは桜花賞(G1)、オークス(G1)と春のクラシックでコンビを組んでいた間柄である。

 ローズSのレース後には、池添学調教師から「秋華賞も乗ってほしい」とラブコールがあったが、あれから3日、正式な発表はまだないようだ。今秋の秋華賞を占うと言っても過言ではない重要な選択だけに、多くのファンが注目しているが、その後の進展はあったのだろうか。

「レースまで時間があるので、まだ正式な発表は先になりそうですが、どうやらファインルージュとのコンビ継続が濃厚な状況です。というのも、紫苑Sの段階でファインルージュ陣営からは秋華賞までの依頼があったようですね。

福永騎手は、師匠の北橋修二さんや瀬戸口勉さんらの教えもあって、昔から義理堅いことで有名です。特に先約を大事にしていて、過去にはエイシンチャンプとネオユニヴァースで、先約だった瀬戸口厩舎のエイシンチャンプを優先し、ファンから『選択ミス』などと揶揄されたこともありました。

他にもラインクラフトとシーザリオの桜花賞は有名ですし、今年なら毎日杯(G3)で後のダービー馬シャフリヤールではなく、ルペルカーリアを選択しています。その経緯から考えても、今回もファインルージュを優先する可能性が高そう。下馬評ではアンドヴァラナウトの方が評価が高いかもしれませんが、よほどのことがない限り乗らないと思いますね」(競馬記者)

 確かにファインルージュとアンドヴァラナウトを比較すると、ローズSよりも紫苑Sの方が先に行われたという日程的な理由だけでなく、春にフェアリーS(G3)を勝っていたファインルージュは仮に紫苑Sで優先出走権を獲れなくとも、秋華賞に福永騎手と出走できる背景があった。

 その一方、1勝クラスを勝ち上がったばかりのアンドヴァラナウトは、ローズSで結果を出さなければ秋華賞出走が不透明な状況。福永騎手に連続騎乗を依頼するには、立場に明確な差があったというわけだ。

「ファインルージュは現在、岩戸孝樹厩舎の管理馬となっているが、実質的には調教停止中の木村哲也厩舎の管理馬。

木村厩舎と福永騎手はプリモシーンなどを通じて良好な関係ですし、なにより先月のデビュー戦を福永騎手で圧勝したステルナティーアが木村厩舎(岩戸厩舎)の管理馬です。ステルヴィオの全妹として、すでにクラシック級との評価ですし、福永騎手とのコンビで10月のサウジアラビアロイヤルC(G3)に出走予定。

デビュー戦で騎乗した福永騎手も『非常にレベルが高い。初戦としては満点』と惚れ込んでいる様子ですし、この関係にヒビが入るようなことはしないと思いますね」(別の記者)

 ファインルージュとアンドヴァラナウト、どちらもトライアルの覇者だけに甲乙つけ難い有力馬だが、ファンの中には「福永騎手が選んだ方が上」という声も。渦中の鞍上がどのような結論を出すのかは未定だが、いずれにせよ単純な強さの比較だけには留まらない複雑な事情がありそうだ。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。