8日、今年の阪神大賞典(G2)で3着だったナムラドノヴァンがJRA登録を抹消した。
2019年2月に左前肢屈腱炎を発症後、低迷が続いていたが、今年1月の万葉S(OP)に格上挑戦し見事1着。その後も先述の阪神大賞典や天皇賞・春(G1)に出走するなどの活躍を見せていたが、今月1日に屈腱炎の再発が判明したことが抹消理由となっている。
しかし、ナムラドノヴァンは現役引退したわけではない。JRAでの復帰を諦めただけで、地方競馬で再起を図るようだ。なぜなら、翌9日に楽天が主催している「サラブレッドオークション」へ出品されたからである。
本オークションは、その名の通りサラブレッドを取引するオークション。インターネットという公の場を通じて、競走馬に新たな活躍の機会を与えることを目的として行われている。現役馬と繁殖馬の2部門に分かれているが、特に現役馬の取引が盛んだ。
基本的に毎週木曜日の12時よりオークションが開始される。ノーザンファームや社台ファーム系列の一口クラブの馬やG1馬の仔などの良血馬が出品されることも珍しくない。
そのため、これまで様々な大物の実績馬が出品され落札されてきた。その中でも、1番の大物として挙げられるのがダイワマッジョーレだろう。
同馬は、13年京王杯SC(G2)優勝など重賞を2勝し、G1で2番人気に支持されたことがあるほどの実績馬だった。成績不振により、オークションへ出品され、当時の最高額約1700万円で落札されたことでも話題となった。
落札後、地方競馬で唯一芝のある岩手競馬へ転入したが9戦して1勝のみ。稼いだ賞金は僅か100万円ほどで、競走中の事故による予後不良と、悲しい最期となった。
ダイワマッジョーレに限らず、オークションへ出品される馬の多くは、近走で不振が続くなど、競走馬としてのピークを過ぎた感のある馬もいることは否定できない。そのため、地方競馬へ移籍しても思うような結果を残せないケースも多い。
しかし、中には地方競馬へ移籍後も、衰えを見せず活躍を続けている馬もいる。その中の代表格がランガディアだろう。
JRAでオープンクラスまで到達したランガディアは、20年3月にオークションへ出品され、573万円で落札された。そして、岩手競馬へ移籍した初戦で早速、重賞を圧勝すると、その後も地元強豪を圧倒し重賞3連勝を達成した。また、マーキュリーC(G3)に出走した際は、古巣のJRA勢相手に3着と健闘した。
ここまで紹介した馬は、JRAで実績を残した馬ばかり。一方で、JRAでは目立った成績をあげていないが、同オークションで落札された後に急成長し「お買い得品」となった馬もいる。その代表格がアスティ(セ5歳、美浦・堀口雅広厩舎)である。
09年エリザベス女王杯(G1)優勝のクィーンスプマンテを母にもつ良血馬も、3歳未勝利戦期間内に勝ち星をあげられず大井競馬へ移籍する。移籍後はダートが合わないのか、JRA時代よりも悪い成績となったためオークションへ出品された。
良血馬が61万円という格安で落札された後、笠松競馬へ移籍。ここでJRA復帰条件を満たす3勝をマーク。得意の芝のレースがあるJRAへ復帰すると2月の小倉1勝クラスで待望のJRA初勝利をあげた。昇級後もコンスタントに賞金を加算しており、新たな馬主になってから約1700万円稼いでいる。
そういう意味では、第2の活躍の場を得られるオークションは、サラブレッドの活躍の場を広げる「競馬界の潤滑油」の存在を果たしているともいえる。ナムラドノヴァンも新しい馬主に迎えられることになるが、JRA時代に見せた末脚を発揮し、再び活躍することを期待したい。
(文=寺沢アリマ)
<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。