JRA父譲りの「天才的」センス見せた横山和生の存在感! 神騎乗は「マイネルデムーロ」だけにあらず、サマー2000シリーズ最終戦でファミリー最先着

 新潟競馬場で夏の新潟最終週を飾る新潟記念(G3)が行われた先週末、17頭立てのハンデ戦を制したのはM.デムーロ騎手が騎乗したマイネルファンロン(牡6、美浦・手塚貴久厩舎)だった。

 サマー2000シリーズ最終戦の勝者は、単勝オッズ42.8倍の12番人気。2017年9月にデビューしたマイネルファンロンは、これがキャリア30戦目。6歳夏を迎えて待望の重賞タイトルを手に入れた。

 そして、この勝利に大きく貢献したのがデムーロ騎手。手塚貴久調教師も「勝因は騎手」と大絶賛したほどの“神騎乗” を披露したことも、競馬ファンの大きな関心を集めた。

 何を以て“神騎乗”と評価するのかは十人十色かもしれないが、第一にいえることは先入観を覆した道中のポジション取りと、極端な脚質転換だったのではないだろうか。マイネルファンロンはこれまで柴田大知騎手、丹内祐次騎手が主に手綱を取っていた馬。好走した際の決め手は、先行策からの粘り込みが大半だった経緯がある。

 凡庸な騎手ならまず考えられるのは無難な騎乗だ。スタートを決めたらとりあえず好位につけ、いつも通りの粘り込みを選択しておけば、仮に大敗したとしても特別大きな騎乗批判に晒されることはないだろう。

 しかし、時に“常識”に捉われないマジックを見せるのが、デムーロ騎手の真骨頂である。

「スタートで出負けして後ろからになりましたが、離れた後ろでもリズムはとても良かったです」

 デムーロ騎手がそう振り返ったように、後方からの競馬を強いられたマイネルファンロンだが、鞍上との折り合いはピタリ。最後の直線で外ラチ一杯まで移動する距離のロスがありながらも、道中のタメがラストの豪脚炸裂へと繋がったことは明白だ。

 その一方で、デムーロ騎手の陰に隠れて見逃されがちなのが、トーセンスーリヤ(牡6、美浦・小野次郎厩舎)で2着に入った横山和生騎手もまた、好騎乗をしていたことではないだろうか。惜しくも敗れはしたが、パートナーをサマーシリーズ2000王者へと導いた。

 55キロの勝ち馬に対し、2.5キロ重い57.5キロのトップハンデを背負って1/2馬身差の接戦を演じたのだ。トーセンスーリヤもマイネルファンロン同様、先行策からの粘り腰が持ち味。昨年5月の新潟大賞典(G3)、今年7月の函館記念(G3)と重賞を2勝しているが、いずれも好位からの抜け出しが決め手となっている。

 そのどちらにも騎乗していた横山和騎手なら、迷わず先行策を採ったとして不思議ではなかったはず。にもかかわらず、道中は10番手という後方待機策からの差す競馬で結果を残したことは、横山和騎手もまた見事なモデルチェンジでパートナーの新味を引き出したといえる。

 これが単に偶然だったのかどうかの答えは、レース後に横山和騎手が残した「こういう競馬を試してみたいと思っていた」というコメントにある。この内容から、予想外と思われた今回の後方待機策も、横山和騎手の選択肢には入っていたことがわかる。

 思えば父の横山典弘騎手も、ときには度肝を抜くマジックでファンを驚かせる名手だ。

 福永祐一騎手とのコンビでG1を勝てなかったカンパニーを、それまでの追い込み一辺倒から先行脚質へとモデルチェンジ。効果抜群だった乗り替わりは、秋の天皇賞(G1)で女傑ウオッカの撃破、引退レースとなったマイルCS(G1)での有終の美を飾った立役者でもあった。

 クラヴェルの父は3着、パルティアーモの武史騎手は11着と敗れたレースで、ファミリー最先着の2着と抜群の存在感。現在は三男の武史騎手により多くのスポットライトが当たっているとはいえ、天才のDNAが長男にもしっかりと受け継がれていたことが垣間見えた一戦だった。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。