JRA池添謙一「代打成功」でも補欠扱いにサヨナラのチャンス! 武豊不在で舞い込んだメイケイエールの依頼、現役屈指の職人がレギュラーゲットに求められる条件

 先週のキーンランドC(G3)で7着に敗れたメイケイエール(牝3歳、栗東・武英智厩舎)が、池添謙一騎手を新たな鞍上として、スプリンターズS(G1)へ向かうことが分かった。

 同馬は武豊騎手とのコンビで重賞3勝を挙げた一方で、その前進気勢の強さがウィークポイントともなっている。

「難しいですね。返し馬までは上手くいったのですが、輪乗りの時点で気が入りすぎていました。ゲートを出たので先行しましたが、4コーナーで手応えもない感じでした」

 レース後、武豊騎手がそう振り返ったほどの乗り難しさを見せていた前走の敗戦。折り合いに定評のある名手の手腕を以てしても、乗りこなすことはできなかった。

 大目標であるスプリンターズSに向けて、巻き返しが急務となるが、頼みの武豊騎手は同日にフランスで行われる凱旋門賞(G1)へ騎乗予定で不在。主戦騎手が騎乗出来ないメイケイエール陣営は窮地に陥った。

 そんな状況下、現役馬の中でも乗りこなすことが屈指の難易度であろう同馬の鞍上として、白羽の矢が立ったのは大舞台に強いことで知られる池添騎手だ。「代打騎乗」に定評のある騎手の確保に成功したことは明るい材料である。

 2019年のマイルCS(G1)では、主戦の福永祐一騎手が騎乗停止により鞍上が空席だったインディチャンプに代打騎乗した。
 
 直線でソラを使うなど癖のある馬ということで、テン乗りでは厳しいという声が多かったものの、好騎乗で見事1着へと導いた。

 音無秀孝調教師も「(池添騎手の騎乗は)満点でしたね。インディチャンプの今後のお手本になるような騎乗」と、手放しで褒めちぎったほどの完璧エスコートを披露している。

 また、記憶に新しいのは昨年の安田記念(G1)だろう。池添騎手は、このときは、主戦のC.ルメール騎手がアーモンドアイに騎乗する関係で鞍上が空席となっていたグランアレグリアの代役を任され、こちらも陣営からの期待に一発回答で応えている。

 大きなプレッシャーの懸かるG1の舞台でも、度胸満点の騎乗が出来る池添騎手のこういった“強心臓” ぶりが、武豊騎手の代打という大役ゲットの後押しをしたのだろう。

 だが、そんな池添騎手にもほろ苦い記憶がある。

 ルメール騎手のアーモンドアイを負かす大金星を挙げた安田記念。戦前、グランアレグリアを管理する藤沢和雄調教師から「アーモンドアイを負かすつもりがないのなら、乗せないから」と発破をかけられていた。

 意気揚々と引き揚げてきた池添騎手と藤沢師が熱い握手を交わすシーンも見られた。コンビを組んだきっかけは代打でも、最高の結果を出したならコンビ続行もあるのではないか?池添騎手の脳裏には、そんな想いも過ったはずだ。

 しかし、待ち受けていたのはスプリンターズSでルメール騎手と復縁という悲報だった。 “代打”とはいえ結果を出したにもかかわらず、乗り替わった事実に納得できなかったファンもいたようで、ネットの掲示板やSNSで、池添騎手の続投を望む声も多かった。

 そして今回、代打を任されたメイケイエールは、もしかしたらこれまで以上に難しい相手かもしれない。

 だが、名手と言われた武豊騎手や横山典弘騎手も悩ませた「暴走娘」を、池添騎手が、テン乗りで乗りこなして見せれば、コンビ続行に大きなアピールとなることは間違いない。

「能力は素晴らしいものがあると思う」

 絶好のチャンスが舞い込んだパートナーを評し、手応えを感じているコメントを出した池添騎手。 “主戦”騎手となるためにも、大一番に向けて、一際気合が入っているのではないだろうか。

(文=寺沢アリマ)

<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。