13着、7着、7着、9着、13着……。
これはリアアメリア(牝4歳、栗東・中内田充正厩舎)の直近5戦の着順だ。昨年9月のローズS(G2)で勝利したのを最後に掲示板すら載れないレースが続いている。
2年前に誰がこんなリアアメリアの姿を予想しただろうか。単勝オッズ1.2倍という大きな期待を背負ってデビューしたのは2019年6月1日。阪神・芝1600mを1頭だけ違う次元の脚で、2着に8馬身差をつける衝撃的な世代一番星を飾った。そして、このレース後に鞍上・川田将雅騎手が残したコメントがファンの間でも話題となった。
「今日は意識的にスタートを遅らせて後方からのレースを練習させました。無事に初戦を終えることができて良かったです」
同世代では格が違うと確信していた川田騎手。将来を見据えたこの作戦に、一部のファンからは「練習台扱いした」と批判の声も上がった。
「当時は『こんなこと(意図的な出遅れ)をしたら、出遅れ癖がついてしまうのでは』とリアアメリアを心配する意見もありました。そして、そんなファンの不安は的中することになります」(競馬誌ライター)
2戦目のアルテミスS(G3)でもスタートで立ち遅れ、後方からの競馬となったリアアメリア。このときは前残りの展開を大外豪快に差し切って薄氷の勝利を手にした。
しかし、その後は歯車が狂い、阪神JF、桜花賞、オークスとG1の舞台で3連敗。不完全燃焼のまま3歳春を終えた。
「結果論ですが、後方待機策が仇となった可能性もありそうです。オークスは中団から上位(4着)に食い込み、力のあるところを見せていましたが、勿体ない競馬だったようにも感じられます」(同)
そんなリアアメリアが復活を遂げたのは、昨年のローズSだった。
このときはまずまずのスタートを決めると内枠を生かして果敢に先行。これまでとは違い、2番手を進む積極策を見せた。直線を向くと、早め先頭からそのまま押し切り勝ち。2着ムジカに2馬身差をつける快勝だった。
このとき川田騎手は「元々こういう競馬をやっていきたいというところ」とコメント。この時点で、リアアメリアにとって後方からの競馬は“本来の姿”ではないと、暗に認めた形となった。
ところが、秋華賞(G1)とエリザベス女王杯(G1)はどちらも先行策を取ったが惨敗。休養を挟み、今年春の3戦はスタートに定評がある福永祐一騎手が手綱を取った。
今年の始動戦となった中山牝馬S(G3)では、スタートこそ決めたものの、不良馬場に苦しみ7着。そして続く阪神牝馬S(G2)とヴィクトリアマイル(G1)では再び出遅れ癖が顔をのぞかせ、結果を残せなかった。
「3-0-0-8という戦績が示す通り、全てがかみ合えば強いのですが、そうでないときは脆さが出てしまいます。新潟記念(G3)でも取捨が難しい1頭ですね」(別のライター)
リアアメリアにとって、今回も発馬が特に重要になるという。
「この馬にとって左回り、良馬場、スローペースが好走の条件。アルテミスSとローズSはまさにこれに一致しています。ここで復活の可能性は十分あると思いますよ」(同)
エリザベス女王杯以来となる久々の騎乗となる川田騎手。理想の展開に持ち込むためにもまずはスタートをしっかりと決めたいところだろう。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。