「オレが好きやったタイプ」元JRA安藤勝己氏が“G1級”と大絶賛!? 父のイメージ覆す走りに底知れぬ可能性、セリフォスがなぜダイワメジャー産駒「最後の大物」候補と呼べるのか

 もしかしたら相当な大物なのかもしれない。

 そう思わせる走りを見せたのは、29日の新潟2歳S(G3)を勝利したセリフォス(牡2、栗東・中内田充正厩舎)だ。

 6月の中京でデビュー勝ちを決めたダイワメジャー産駒は、前走から2か月半ぶりの休み明け。2戦目で見事に重賞勝利を飾り、2歳チャンプの座も視野に入る前進を見せた。

 ここまでなら例年と変わらないのだが、今年は異なるかもしれない。

「セリフォス。アドマイヤマーズなんかに似てて、走るダイワメジャー。今の馬場で内から併せてグッと来とるからね。オレが現役時代に好きやったタイプで、マイルならいいところまでいける」

 能力の高さを感じるレースぶりに、元JRA騎手の安藤勝己氏は自身の公式Twitterで即座に反応。「現役時代に好きやったタイプ」と評し、香港マイル(G1)を含むG1・3勝馬アドマイヤマーズの名前も出すほどの大絶賛だった。

 では、セリフォスの走りがいかに目を引いたのか、安藤氏とは別の角度で振り返ってみたい。

 新潟2歳S(G3)は、2歳馬による新潟・芝1600mのマイル重賞。外回りの最後の直線659mは、ほぼ平坦となっている。長い直線で有名な東京競馬場をも凌ぐ日本最長を誇るだけに、差し馬が末脚を活かしやすいコース設定だ。逃げ馬が苦戦しやすい傾向も、このコースの特徴である。

 その一方、今年は谷川岳S(L)を逃げたシュリ。関屋記念(G3)を2番手からロータスランドが抜け出したように、むしろ前残りする馬場状態でもあった。内側が荒れていれば外差し馬場になるため、それほど内も悪くなかったということだ。

 そして、デビュー戦を2番手から押し切ったセリフォスは、父ダイワメジャー同様に先行抜け出しがベストの戦法と思われていた馬。イメージされたのは、父同様に早め先頭から押し切る形が勝ちパターンだっただろう。コンビを組む川田将雅騎手もおそらくそう考えていたのではないか。

 ところが、スタートしてすぐに3番人気に支持されたコンビを襲ったのは出負け。その結果、好位につけるどころか、中団前目とやや後ろのポジションでのレースを強いられることとなる。

 それでも冷静な手綱捌きを見せたのは、川田騎手がトップジョッキーたる所以か。1枠1番という最内枠を引いた幸運も味方した。パートナーをインピッタリに走らせ、ポジションを上げる。最後の直線でも安易に外へ出さず、最短距離を走れる最内を狙ったのは好判断だった。

 ただ、川田騎手の好騎乗が光ったにせよ、勝利したのはセリフォス自身の能力ということは間違いない。なぜなら、同馬が計時した上がり3ハロン32秒8というメンバー最速の切れ味を見せたからに他ならない。

 ここでもう一度ダイワメジャー産駒の特徴を思い出してみたい。

 現役時代のダイワメジャーがそうだったように、産駒の多くに見られるのは、一瞬の切れより長くいい脚を使えるという武器。芝のG1タイトルを取った産駒のカレンブラックヒル、コパノリチャード、メジャーエンブレム、レーヌミノル、アドマイヤマーズ、レシステンシアなどは、いずれも先行力が持ち味の馬だった。

 その多くは、どちらかといえば勝つときは後続の差し脚を凌ぎ切り、負けるときは差される側のタイプ。上がり最速で差し切ったセリフォスは、父の産駒にありがちな“切れる脚のない”イメージを覆した勝ち方といえる。

 同世代のキングカメハメハや一つ年下のディープインパクトがこの世を去った現在。今年で20歳を迎えたダイワメジャーの種牡馬生活の終焉もそう遠くはない。

 今年の2歳世代は、陣営も「底知れない走り」と驚いたトップキャストが、デビュー戦の函館・芝1800mを歴代2位の好時計で圧勝。ダイワメジャー産駒最後の大物かと注目を集めていたが、父の産駒らしくないセリフォスもまた、候補として恥ずかしくないだけの走りを披露した一戦だったのではなかったか。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。