乃木坂46の卒業メンバーの女優進出が目覚ましい。
絶対的エースだった白石麻衣は斎藤工主演のドラマ『漂着者』(テレビ朝日系)に出演中。松村沙友理は二階堂ふみ主演の火曜ドラマ『プロミス・シンデレラ』(TBS系)に、西野七瀬はドラマ『ハコヅメ〜たたかう!交番女子~』(日本テレビ系)に出演している。乃木坂の顔としてグループ初期のイメージをつくった生駒里奈も、舞台「エン*ゲキ」シリーズ第5弾の「-4D-imetor」で主演を務めている。
そんな誰もが知る顔以外にも、乃木坂は実力派女優を続々と輩出している。そこで、今後の有望株を探ってみよう。
続々とオファーが舞い込む堀未央奈
たとえば、今年3月にラストステージに立った2期生の堀未央奈もその1人。現在、ドラマ『サレタガワのブルー』(MBS・TBS)で地上波連ドラ初主演を果たし、夫を翻弄する不倫妻を演じている。さらに、7月31日に放送された土曜ドラマ『ボイスII 110緊急指令室』(日本テレビ系)の第4話ではDV被害者を好演。この秋には『世にも奇妙な物語’21秋の特別編』(フジテレビ系)にも出演予定と、オファーが切れることがない。
「デビュー当初の2014年に『気づいたら片想い』で1列目のフロントを経験するなど、最前線で引っ張る存在として期待された堀ですが、思うように活動できないことも多かったようで、今後に対する不安に襲われたり、自信をなくしたりしたこともあったといいます。
そんな彼女が演技に開眼したのが、19年6月に公開された初主演映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』。脚本・監督は小松菜奈、菅田将暉のダブル主演映画『溺れるナイフ』を手がけ、鮮烈な印象を残した山戸結希。映像表現において山戸監督の作家性にあふれた同作は、漫画原作の実写とは一線を画した実験的青春映画。興行的には振るわなかったものの、堀にとって、山戸監督の感性に触れたことは幸運だったのかもしれません」(テレビ局関係者)
そんな堀は、過去にこう述べている。
「いろんな役を演じて役を輝かせる女優になりたい。堀未央奈という名前より、役名だけ残るような存在に私は私で存在しているので、映画の中ではしっかりと役を生きたい」(「an・an」2019・7/3)
そのたたずまいから、どこか屈折した役柄が似合いそうな堀。果たして台風の目になり得るのか。
ガッツでチャンスをつかむ若月佑美
1期生の若月佑美も、女優として注目の逸材だ。乃木坂在籍当時から舞台やドラマに出演していたが、18年11月の卒業前後から女優活動を本格化。『今日から俺は!!』(日本テレビ系)のスケバン・川崎明美役をはじめ、『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)、『共演NG』(テレビ東京系)と話題作に引っ張りだこだ。
「若月といえば、『今日俺』の演出などで知られる福田雄一との出会いが印象的です。福田はもともと、乃木坂の劇場公演第3弾『16人のプリンシパル trois(トロワ)』の脚本と演出を手がけていました。乃木坂メンバーが配役をめぐって競い合うこの舞台で、若月はいち早く主要10役を制覇。そのガッツを、福田は覚えていたそうです。
その後、たまたま家電量販店で福田を見かけたという若月は、当時取り組んでいたケラリーノ・サンドロヴィッチの戯曲『すべての犬は天国へ行く』のフライヤーを渡し、『あれからもお芝居続けてます』と伝えたそうです。そうした行動が、後の福田作品『スマートモテリーマン講座』や『今日俺』、『親バカ青春白書』(日本テレビ系)につながっていったのです」(同)
役とチャンスは自分でつかみにいくものだ、ということを教えてくれるような逸話だろう。
「卒業したばかりの頃は、実はグループの名前に甘えてしまっている自分もいたんですよね。でも、それでは前に進めない。良くも悪くも、自分1人の時間しかないことを自覚して、その分、勉強に時間を割こうと思って」(「日経エンタテインメント!」2021・3)
自分の居場所を求め続けた結果が、今の若月を形づくっているのかもしれない。
女優として開眼した深川麻衣
若月と同じく1期生メンバーだったのが深川麻衣。彼女が女優の道を考え始めたのは、初の選抜メンバーとなった3rdシングル『走れ!Bicycle』(2012年)のミュージックビデオを撮影した中島哲也監督との出会いがきっかけだったという。
卒業後の進路について明言していない時期もあったが、16年から、高良健吾や中条あやみ、井浦新といった役者を抱える人気事務所・テンカラットに所属。その後はワークショップに通い、演技を一から勉強し直したという。
そして、18年公開の初主演映画『パンとバスと2度目のハツコイ』で第10回TAMA映画賞の最優秀新進女優賞を受賞。18年度後期の『まんぷく』でNHK連続テレビ小説初出演、19年の『日本ボロ宿紀行』(テレビ東京系)で連ドラ初主演を飾る。さらに、現在放送中の『青天を衝け』ではNHK大河ドラマ初出演で皇女・和宮役を演じている。
「立て続けにオファーがあるのは、事務所の力が大きいことも影響しているでしょう。これからは、制作側から指名される女優を目指したいところですね」(同)
そんな深川は、こんなことを言っている。
「卒業ライブの翌朝、すごく清々しかったんですよ。『ああ、乃木坂でやり切ったんだな。心置きなく次の道に行ける』ってほっとしました」(「an・an」2018・1/31)
そんな深川と同じように悔いなく次のステップに進めたのは、彼女と仲良しコンビとして親しまれていた伊藤万理華だ。
伊藤万理華は“悩めるアイドル”から脱皮?
1期生として加入し、17年末に卒業した伊藤。先日、新型コロナに感染したことが報じられたが、現在放送中の『お耳に合いましたら。』(テレビ東京系)で地上波連続ドラマ初主演を飾り、8月6日に封切られた主演映画『サマーフィルムにのって』もスマッシュヒットしている。
もともと絵画などが得意な伊藤は、アーティスティックな部分でグループの底上げに貢献してきたといえる。一般的にはあまり知られる存在ではなかったが、6年間の活動では選抜入りも果たすなど、ファンには「まりっか」として親しまれた。それでも、アンダー(選抜以外のメンバー)で何をすべきか、また選抜に入ってもどう個性を出せばいいのかと、悩んだことも多かったという。
一方で、乃木坂在籍時に初主演を務めたホラー映画『アイズ』の福田陽平監督からは「今作の見どころは、伊藤さんの天才的な芝居。この作品に出会い、彼女の才能を世に出す使命を受けて逆にプレッシャーで怖かったです」と絶賛されている。
「また、西野七瀬主演の映画『あさひなぐ』では、なぎなた部の部長・野上えりを好演。同作に出演した他のメンバーは、伊藤以外は選抜の常連組だったそうです。彼女たちに負けないためにどうすればいいかを考えた伊藤は、ほとんどメイクをせず、なぎなたの試合で汗がだらだら流れているのもそのままにして、“アイドルの伊藤万理華”というイメージは全部捨てようとしたとか。その演技はケンドーコバヤシも絶賛したそうです」(同)
悩めるアイドルといえる伊藤だったが、乃木坂の活動を通して一生の仕事を見つけられたのかもしれない。
「乃木坂での6年間で、自分はこれが好きだなとか自分には合うなって思えるものを、たくさん見つけることができたんです」(「クイック・ジャパン」2018・2)
そんな伊藤の評判が今、ますます上がっているという。グループではセンターの座をつかむこときはできなかったが、今度は“女優の世界でセンター”を実現してほしい。
8月21日で結成10周年を迎える乃木坂46。7月からは新メンバーの募集をスタートし、12月に合格発表が行われる予定だという。
乃木坂というグループが一過性のブームで終わらず、常に新鮮でいられるのは、前述のようにメンバー個々人が現在地に安住することなく巣立ち、新陳代謝が機能しているからかもしれない。卒業メンバーたちの今後の活躍に期待したい。
(文=編集部)