JRA武豊が“あぶり出した”課題克服で期待度「◎」!? ルメールから“チェンジ”など好走条件そろったタイムフライヤー!

 8日、函館競馬場では夏の古馬ダート重賞、エルムS(G3)が行われる。札幌開催だった昨年の覇者タイムフライヤー(牡6歳、栗東・橋口慎介厩舎)が、前走12着大敗からの巻き返しを図る。

 大敗を喫した前走は、今回と同じ舞台(函館ダート1700m)のマリーンS(OP)。トップハンデ58kgを背負ったタイムフライヤーは、堂々1番人気に支持された。

 大外枠から好スタートを決め、道中2番手を進む横綱相撲。しかし、4角手前で手応えが怪しくなると、直線で伸びを欠き、勝ったスワーヴアラミスから0秒9差の12着に敗れた。

「スタートからスピードを出してくれました。前々走が1400m、前走が1600mだったので、我慢できずエキサイトしてしまいました。息を入れられませんでした。力を使ってしまいました」

 これはレース後にC.ルメール騎手が語った敗戦の弁だ。その言葉通り、道中は折り合いを欠き、直線を向いたときには脚が残っていなかった。距離延長がマイナスに働いたというルメール騎手の分析だが、それを裏付けるデータが存在する。

【タイムフライヤーの前走からの距離変動別成績、通算】
同距離 4-0-0-3/7(57.1%/57.1%/57.1%)
延長 0-1-0-8/9(0.0%/11.1%/11.1%)
短縮 1-1-1-4/7(14.3%/28.6%/42.9%)
※()内は左から勝率、連対率、複勝率

 芝ダート問わず、これまでタイムフライヤーが「距離延長」で臨んだレースは9戦。2歳時のラジオNIKKEI杯京都2歳S(G3)こそ2着に好走したが、その後はすべて6着以下に沈み、8連敗中だ。

 逆に、タイムフライヤーの好走パターンは「前走と同じ距離」を走ったときで、全5勝のうち4勝を挙げている。今回は前走と同じ函館ダート1700mが舞台。好走必至の条件といえるだろう。

「距離変動」以外にもタイムフライヤーを後押しする要素を2つ挙げておきたい。

 今回タイムフライヤーに騎乗するのは武豊騎手。今年52歳を迎えたレジェンド騎手の存在が、タイムフライヤーにとってプラスになるという。

「今回は、主戦のルメール騎手がアメリカンシードに騎乗するため、武騎手が代打騎乗する形になります。今年110勝のルメール騎手から38勝の武騎手への乗り替わりは、数字だけ見ると確かにマイナスかもしれません。

しかし、ルメール騎手に代打・武騎手という乗り替わりは悪くありません。むしろG3なら大きなプラスになるかもしれませんよ」(競馬誌ライター)

 武騎手がルメール騎手から引き継いで騎乗した重賞レースは通算23回。その成績は「4-1-6-12」で、47.8%という高い複勝率を誇る。特に好相性なのがG3戦の「4-0-2-2」で、複勝率は75.0%に上る。G3における「ルメール→武豊」の乗り替わりは隠れた好走パターンといえるだろう。

 最後にタイムフライヤーの好走を後押しするのが、最終追い切りに騎乗した調教助手のコメントだ。

「先週(武)豊さんに乗ってもらって内にささったので、ラチに頼らないように走らせました。手前をスムーズに替えてくれたし、いい動き。確実に上向いています」

 これは『スポーツ報知』の取材に答えた橋口厩舎の五十嵐助手の発言だ。同助手によると、1週前追い切りに騎乗した武騎手から、タイムフライヤーが直線で内にささった分、手前を替えなかったという指摘があったという。それを受けて、同助手は最終追い切りでその課題をしっかり矯正。「今回は本来のタイムフライヤーの強い競馬を見せられればと思っています」と力強いコメントも残している。

 距離延長、乗り替わり、そして武騎手があぶり出した課題の矯正。この3つの要素を追い風にタイムフライヤーが連覇を狙う。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。