JRA武豊も心配した「熱中症」の恐ろしさとは? 死に至る最悪のケースも……、アイビスSD(G3)12着惨敗モントライゼを襲った症状とは…

 連日猛暑日が続いている日本列島。梅雨も明け、日中に限らず夜も熱気を帯びているため、いつも以上に体調管理に気を付けなければならない時期となっている。

 それは、人に限らず競走馬も当てはまっている。

 25日に行われたアイビスSD(G3)でも、暑さが原因で不本意な結果に終わったと考えられている馬がいる。

 川田将雅騎手とのコンビで3番人気に支持されていたモントライゼ(牡3歳、松永幹夫厩舎)だ。

 同馬は、昨年の京王杯2歳S(G2)優勝馬。前走の葵S(OP)は出遅れが響き5着に敗れているが、昨年の朝日杯FS(G1)を前半1000mを56秒9のハイペースで逃げていた快速の持ち主。結果、10着に敗れたとはいえ、グレナディアガーズのレコード勝利を演出した陰の立役者でもあった。それだけに、スピード自慢が集結するアイビスSDの舞台で好走を期待されたのも当然だったといえる。

 レース前、モントライゼを管理する松永幹師は、「直線競馬への対応は鍵になりますが前走は序盤にゴチャついて不完全燃焼。スムーズに運べれば違う」と、直線のみの1000mという特殊なコースに対応できるか、懸念はしているものの自信を見せていた。

 陣営からは「上がりをビシッと追って、この馬らしい動き。坂路主体に乗り込んで仕上がりました」というコメントも出ていたように、状態に問題はなかったはずだった。

 53キロと軽い斤量で出走することも相まって、モントライゼを単勝オッズ4.9倍の3番人気にファンは支持した。

 ロジクライの取消で16頭立てとなったレース。3枠6番からスタートしたモントライゼはゲートの出が今ひとつだったが、スピードに乗るとグングン加速し前へ。逃げる6枠2頭を射程圏内に入れた4番手でレースを進める。

 長かった直線も残り半分となり、各馬がスパートを切るところで鞍上の川田将雅騎手がゴーサインを出す。

 しかし、隣にいたオールアットワンスが凄まじい反応を見せたのに対し、モントライゼの反応は鈍く、射程圏に入れていた先頭集団との間は見る見る離れていった結果は、16頭中12着と惨憺たるありさまだった。

 そして、同馬に騎乗していた鞍上の川田騎手から出たのは、「勝ち馬の近くで進められたのですが、レース後に熱中症っぽい症状が出ました。無事に終わってくれればと思います」というコメント。

 新潟競馬場がある新潟市の当日の最高気温は31.1度。また、当日の湿度は熱中症警戒レベルの70%前後を行ったり来たりを繰り返していため、熱中症のリスクが高かった。

 JRAの公式Facebookアカウントによると、夏競馬における熱中症の発症頭数は年々増加傾向にあるとのこと。また、馬は人間と異なり汗から塩分を再吸収できないため、発汗による塩分喪失が大きい。そのため、熱中症になるリスクが非常に高いという。

 JRAは、各所にミスト機械やホース設置し、馬の熱中症対策に効果的な馬体冷却を行える環境を整えるなどして対策している。

 だが、モントライゼはレース前後で熱中症と見られる症状を発症してしまった。レースと直接の関係はないが、19年に重賞2勝馬ウインムートが放牧先で熱中症と思われる症状が原因で急死したケースもある。

 当然ながら騎手の中にも馬の熱中症を心配する声がある。武豊騎手は、19年8月の週刊大衆の自身のコラムにて「35度近くまで上がると、馬の熱中症が心配になります」と述べている。

 武騎手は同コラムにて、「少しでも馬にとって、いい環境でレースができますように……それがすべてのホースマンの思いです」と切実な願いを述べている。

 ウェザーニュースによると、今年は日本列島の広い範囲で気温が平年並みか平年より高くなるとのこと。炎天下で開催される夏競馬だけに、今後も熱中症のリスクは高いことが予想される。

 “暑い”レースではなく“熱い”レースが夏競馬で繰り広げられることを切に願う。

(文=寺沢アリマ)

<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。