10日、夏競馬が本格的に始まった7月2週目の中央競馬。大ベテラン横山典弘騎手は騎乗予定がないものの、そんな父とは対照的に、息子たちは精力的に騎乗している。
長男の和生騎手とその弟武史騎手は、共に土日合わせて16レースに騎乗予定。そして、2人とも土日両日とも函館競馬場で騎乗している。つまり、今週の函館は何度も「兄弟対決」が実現するということだ。
同時に、この日までに関東2位で42勝の武史騎手と、関東3位で41勝の和生騎手の対決は、関東リーディング首位の吉田隼人騎手を追いかける熾烈な争いでもあるのだ。
両者の激しいバトルは兄弟対決の“開幕戦”で早くもその火花を散らした。函館4Rである。
このレースは、ダート1700mの14頭で争われる3歳未勝利戦。1番人気は武史騎手騎乗の14番ギャリエノワール(牡3歳、美浦・萩原清厩舎)だった。これまで芝で3戦走り、全て馬券圏内の安定感を買われ、単勝オッズ1.9倍の圧倒的な支持を受けた。
一方、和生騎手は10番デルマタモン(牡3歳、美浦・勢司和浩厩舎)に騎乗した。主に2、3走前に2着を確保していることが評価され、3番人気で単勝オッズは4.6倍だった。
レースは、まずまずのスタートを切った武史騎手のギャリエノワールが、一気にハナを叩き逃げの手に。対する和生騎手のデルマタモンは、出負けした格好で後方5番手からレースを進める。
主導権を握った武史騎手は、淡々とした流れでレースを引っ張る。過去5年における逃げ馬の複勝率が、50%を超えるコースだけに、この時点で武史騎手が快勝するのではと思ったファンも多かったかもしれない。
ただ、それに待ったをかけるように1頭、ギャリエノワールに忍び寄る。
和生騎手のデルマタモンだ。
一気に先頭へ躍り出ようとするデルマタモンに、対抗するべくギャリエノワールも一気にペースアップ。飛ばす2頭に後続はついていけず。デルマタモンとギャリエノワールの一騎打ちになった。
雁行状態で4コーナーを回り、直線に入る。ここで時間にして30秒、横山兄弟の一騎打ちが終わりを告げる。
ギャリエノワールがスパートをかけると、デルマタモンとの差は徐々に広がっていった。デルマタモンも後続に詰められていないため、バテてはいないが突き放しにかかったギャリエノワールには到底及ばず。
オッズが示す通り、このレースはギャリエノワールの勝利で終わった。武史騎手は、レース後に「まだ本気で走っていない。上のクラスでも楽しみです。強いレースでした」と騎乗馬を褒め称えた。
一方の和生騎手は、「この馬のスタイルで競馬をしました。相手が強かった」と脱帽気味であった。レース後のコメントからは、お互いのことを意識していたかは分からなかったが、残り少ない3歳未勝利戦を全力で騎乗していることは確かだろう。
始まったばかりの函館競馬。好調の兄弟同時の対決だけに、まだまだ熱い戦いが繰り広げられそうだ。
(文=寺沢アリマ)
<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。