JRA競馬ファンが知ってそうで知らない「米国芝3冠」って何? 社台ファーム・吉田照哉氏の挑戦が日本競馬の「脱・菊花賞(G1)」に拍車?

 社台ファーム代表の吉田照哉氏が、所有馬トウキョウゴールド(牡3歳、仏・小林智厩舎)を、現地時間10日に行われる米国芝3冠競走初戦ベルモントダービー(G1)へ出走させるプランがあることがわかった。

 米国の「3冠競走」と言えば、16年に日本のラニが3冠全て出走したことが記憶に新しい。また、19年にもマスターフェンサーが2冠に挑戦したため、身近に感じるファンも少なくないはず。

 だが、今回トウキョウゴールドが挑戦するのは、お馴染みの米国ダート3冠ではなく、耳慣れない「芝3冠」である。

 ダート3冠競走を手本に、2年前の2019年に創設されたのが、いずれのレースも、総賞金100万ドル(約1億1000万円)の米国芝3冠競走である。同時に米国芝牝馬3冠競走も創設され、どちらも同日に同競馬場で行われる。

 今回は、トウキョウゴールドが挑戦予定の米国芝3冠競走について取り上げていく。

 1冠目は、ベルモントダービー。

 正式名称を、ベルモントダービーインビテーショナルSと呼ぶ。このレースは、歴史が古く1929年に1回目が行われた。創設以来、度々競走条件が変更され、現在はベルモントパーク競馬場の芝10Fで行われる3歳馬限定戦になっている。

 ベルモントパーク競馬場は、左回りのコース形態。直線の長さは約330mであるため、東京競馬場や中京競馬場と比べて短い。

 2冠目は、サラトガダービー(G1)だ。

 8月上旬に、サラトガ競馬場で行われる芝9.5Fのレースである。左回りで行われ、直線の長さは約350m。創設当初は格付け無しであったが、今年になってG1に昇格した。

 3冠目は、ジョッキークラブダービー(L)だ。

 9月に開催されるこのレースは、グレード格付けを取得していないため、扱いはリステッドである。距離は3冠最長の12Fで、舞台は1冠目と同じベルモントパーク競馬場だ。

 以上が米国芝3冠競走である。最長距離が2400mであることと、3レースが約2カ月間で行われることから、トウキョウゴールドのような海外馬にとっても皆勤賞を狙いやすい競走体系になっている。

 また、ベルモントパークとサラトガの2場は競馬場と厩舎地区が隣接しているため、滞在競馬が可能だ。海外からの遠征馬を受け入れる態勢や環境が整っている。

 総賞金は日本のG1競走と比べ低いが、これまでダートしか3冠競走がなかったように、米国競馬は芝の番組が整備されていなかった。そのため米国は、全体的にダートよりも芝の方がレベルが低い。

 それを裏付けるように、日本馬も勝利例こそ少ないが、アメリカの芝レースで好成績をあげている。シーザリオが制したことで有名なアメリカンオークス(G1)では、過去4頭が出走し1勝2着2回、全頭掲示板である。他にも近年では、ダンスインザムードやヌーヴォレコルトなどが米国で勝利している。 

 日本の3歳牡馬にとっては近年、2400mの日本ダービー(G1)には出走しても、3000mの菊花賞(G1)を嫌う傾向が如実だ。そういった陣営にとっては、中距離で戦える米国芝3冠路線が今後、選択肢に浮上しても何ら不思議はないだろう。

 現在、コロナ禍で海外遠征が難しい状況であるが、終息すれば日本からも米国芝3冠に挑戦する馬が現れてくるかもしれない。

(文=寺沢アリマ)

<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。