夏の福島競馬の風物詩・七夕賞(G3)。すでに枠順も決まって、11日にゲートが開く瞬間を待つばかりとなった。
七夕賞といえば、毎年のように数字の「7」に関心が集まるレース。JRAの数ある重賞のなかでも、これほど「7」という数字を気にするレースは、七夕賞だけだろう。
七夕の夜に彦星と織姫が天の川を渡り、一年に一度の逢瀬を果たすロマンチックな伝説を、誰もが一度は耳にしたことはあるはずだ。
その七夕は7月7日であり、さらに七夕賞に含まれた「七」の数字から、サイン好きの競馬ファンは「7枠」や「7番」といった数字に大注目。その願いを短冊ではなく馬券に託すかのごとく、七夕賞では毎年、数字の「7」に関心が集まっている。
実際に過去の七夕賞の枠連と馬連の売上を比較すれば、競馬ファンがいかに「七夕の願い」を馬券に託しているかわかる。
昨年の七夕賞の枠連オッズをみると、7枠には人気薄(7番人気・13番ブラヴァスと11番人気・14番オセアグレイト)が同居。にもかかわらず7月7日にちなんだ「7−7」のオッズは、43.7倍を示していた。
そしてこの「7−7」と同じ馬を選ぶはずの馬連「13−14」のオッズは92.2倍。つまり同じ組み合わせにも関わらず、枠連のゾロ目は50倍を切るオッズで、一方の馬連オッズは100倍近くと、倍以上の差がついていたのだ。
このように、同じ買い目の枠連「7−7」と同じ組み合わせの馬連のオッズを比較しても、七夕賞にとっていかに「7−7」が“異常な人気”なのかわかるだろう。
ところが「七夕の願い」も虚しく、過去に7枠のゾロ目で決まったのは35年も昔の話。1986年7月6日、3番人気サクラトウコウと8番人気ダイヤモンドラーンで決まった七夕賞の枠連「7−7」は、3,350円の好配当だった。
実に今年で57回を迎える七夕賞だが、なんと「7−7」で決まったのはこの1回だけ。データ的にまったく裏付けがない点は、覚えておいたほうがよいだろう。
ゾロ目でなくとも、七夕賞で「7枠」が馬券に絡むかといえば、これも懐疑的だ。
2011年から昨年まで、過去10年の七夕賞の結果を調べると、「7枠」が絡んだケースは1度だけ。昨年のブラヴァスが2着に入ったのみで、残り9年間は壊滅的な成績となっている。
特に2018年の「7枠」10番レイホーロマンス、2017年の「7枠」9番マルターズアポジーの2頭は2番人気に推されながら、それぞれ6着と11着に沈むなど「七夕の願い」を大きく裏切ってしまった。
馬番「7番」はどうか。過去10年の「7番」に入った10頭のうち3頭が3着に入るも、優勝馬と2着馬はなし。勝率・連対率が0.0%では、枠順や馬番からの優位性は感じられない。
過去データからは「7枠」や「7番」は、決して縁起がよいとはいえない七夕賞。さらにしつこく、七夕賞と「7」の因果関係を掘り下げよう。
過去10年の七夕賞に出走した馬は、のべ153頭。2年連続出走するなどリピーター馬もいたが、「7歳」で出走した馬は24頭いた。
しかしこちらの成績も頼りなく、優勝馬は2018年のメドウラークただ1頭。勝率4.2%では、「七夕賞では7歳が来る」ジンクスは、ないに等しい。
さらに「7文字」の出走馬は、過去10年で34頭が出走。こちらも優勝したのは、2015年のグランデッツァただ1頭。2着も2015年のステラウィンドがいるだけ。
ほかの「7文字」馬では、パワーポケットとタガノエルシコがそれぞれ3着。つまり34頭のうち、馬券に絡んだのはたったの4頭。ここまでくると、七夕賞にとって「7」という数字は、むしろ呪われているのでは……とすら思える。
過去10年の七夕賞にとっては、不吉な数字ともいえる「7」という“忌(い)み数”。最後に視点を変えて考察しよう。
七夕の夜に逢瀬を許される彦星と織姫のように、過去の七夕賞では牡馬・牝馬のワンツーフィニッシュは実現したのだろうか。
結論からいうと、2011年の1着馬イタリアンレッドが過去10年で唯一の優勝牝馬で、2着には牡馬タッチミーノットが入線。牡馬と牝馬が逢瀬を果たしたのは、過去10年でこの1度だけと、冒頭のロマンチックな伝説を“台無し”にする結果が残っている。
今年の七夕賞で唯一の出走牝馬となるのが、M.デムーロ騎手が騎乗する1枠2番のロザムール。2着以内に入らなければ、七夕賞の牡馬・牝馬のワンツーフィニッシュは10年間も実現せず……という“悲しい”結果となるが、果たしてどうなるか。
もちろん、紹介した「7」にまつわる馬たちの結果にも注目したい。(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール>
野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。