海外帰りもなんのその。先週の宝塚記念(G1)はパワフルな末脚を炸裂させたクロノジェネシスが制し、“絶対女王”の誕生を予感させた。また、同時に2021年上半期のG1レースが終了した。
2月のフェブラリーSからこの宝塚記念まで、今年上半期のG1は12レース。
その優勝騎手の内訳は、C.ルメール騎手が最多の4勝。続いて川田将雅騎手が3勝、福永祐一騎手が2勝をマーク。それ以外に吉田隼人騎手、横山武史騎手、M.デムーロ騎手が、それぞれ1勝ずつ挙げている。
そして2021年上半期を終えた時点の全国リーディング上位3人の顔ぶれは、実力どおりというべきか、G1レースで2回以上優勝した3人の騎手たちが占める結果となった。
今回は3人の“勝利数”のほか、彼らが獲得した“賞金”をクローズアップしてみたい。ここでは地方競馬は含まず、あくまでもJRA限定の着順に応じた騎乗馬の賞金を合計したものが対象だ。
さらに、調べていく過程で“勝利数”と“賞金”が必ずしも比例しないケースがあるなど、興味深い結果となった。さっそく、今年上半期の全国リーディング1位に輝いたルメール騎手から紹介していく。
冒頭の宝塚記念では、ルメール騎手は北村友一騎手の「代打」で優勝。直後の最終レースは4着で大台到達はならなかったものの、上半期で挙げた99勝は立派のひと言。残り半分の下半期で100勝して、早くも年間200勝を「確実視」させるところが、ルメール騎手の恐ろしさだ。
獲得した賞金は、圧巻の22億1816万円。上半期は401回騎乗したルメール騎手の賞金から計算すると、1走あたりの賞金は553万円也。勝っても負けても、1走あたり553万円の賞金が発生したことになる。
続いてリーディング2位は川田騎手。79勝をマークするも、ルメール騎手との差は20勝。そして気になる賞金は、18億8317万円。ルメール騎手との差は、なんと3億3千万円以上もあった。
ジャパンC(G1)優勝賞金である3億円もの差をつけられた川田騎手。上半期は274回の騎乗数を記録していたが、実は1走あたりの賞金は687万円と、逆にルメール騎手を100万円以上もリードしていたのだ。
「乗鞍を絞って、確実に勝つ……」というと、見方によっては選り好みしているかのようなネガティブな印象もある。しかし、騎乗数を選べる立場にあるのは、川田騎手が関係者からその手腕を高く評価されているからだろう。少ない騎乗数で「確実に勝つか、上位入線しなければならない……」ともいえる。
そんなプレッシャーに耐えて、好騎乗を連発した川田騎手。現在の騎手界のなかでは「打倒ルメール」の一番手といえるだろう。
上半期3位は、63勝の福永騎手。こちらはルメール騎手と36勝差、川田騎手と16勝差。印象としては、川田騎手との差はそれほどないが、やはりルメール騎手の“壁”は高いというところか。
福永騎手の賞金は16億6457万円で、ルメール騎手との差は5億5千万円以上。ここでもルメール騎手の“高すぎる壁”が立ちはだかる。ちなみに上半期は392回騎乗した福永騎手。1走あたりの賞金は424万円だった。
上位3人のスーパージョッキーに対して、2021年上半期は苦しい時期を過ごした騎手もいる。
2020年はデアリングタクトの主戦騎手として、無敗で牝馬三冠ジョッキーとなった松山弘平騎手。昨年の上半期は59勝をマークしていた。
偶然にも今年上半期の勝利数も同じ59勝で、前出の福永騎手に次ぐリーディング4位に位置している。
ただし、その賞金では大きな差が生じた松山騎手。昨年上半期はデアリングタクトの活躍もあり、稼いだ賞金は13億8636万円。1走あたりの賞金は314万円を記録していた。
しかし、今年上半期で稼いだ賞金は10億1385万円。約4億円もダウンしたほか、1走あたりの賞金も227万円まで下落している。
深刻なのが、松山騎手を超える“爆下がり”をみせている武豊騎手だ。
武豊騎手の今年上半期の勝利数は21位の団野大成騎手と並ぶ30勝。2着の差でリーディング22位となった武豊騎手の賞金は5億5293万円。1走あたりの賞金は260万円と、ルメール騎手ら上位3人には遠く及ばず……というのが、レジェンド・武豊騎手の今年上半期の成績だ。
一方で昨年の成績を調べると、武豊騎手は上半期だけで今年の倍の60勝をマーク。賞金合計は12億424万円で、今年上半期はなんと約6億5千万円もダウンしている。
1走あたりの賞金も、昨年上半期は334万円だったが、今年上半期は260万円に下落した武豊騎手。
3月20日の阪神10Rで馬がゲート内で暴れて右足甲を骨折した武豊騎手は、5月1日まで騎乗を見合わせるなど、確かに「ノーカウント」の上半期だったという背景もあるが、この“爆下がり”は、かなり衝撃的な金額差だ。
しかし、レジェンド・武豊騎手だからこそ、7月からスタートする下半期は、驚異の“末脚”で勝ち星を量産し、勝利数はもちろん、賞金面でも怒涛の追い込みに期待したい。
(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール>
野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。