JRA宝塚記念(G1)ファン投票1位クロノジェネシスは大苦戦!? ドリームレースは「下剋上」が大量発生…… 「あなたの夢」も「私の夢」も無残な結果に

 24日に枠順が確定した宝塚記念(G1)。過去10年で7勝を記録している8枠の話題や、10年間未勝利の5枠に入ったクロノジェネシスの取捨は?といった具合に、上半期最後のG1レースを待ちわびる競馬ファンの間では、過去のデータ・傾向分析がさっそく行われている。

 しかしこうした予想は、往々にして裏切られるのが博打の常。誰もが知り得る情報は、あまり意味を持たないことは、博打を打ち続けているギャンブラーなら「言わずもがな」だろう。

 そこで今回は、上半期を締めくくるグランプリレースだからこそ、ひと味違った角度から予想をしてみたい。長い歴史を持つドリームレースを振り返りながら、「ファン投票」にクローズアップした傾向分析をしてみる。

 宝塚記念といえば、年末の有馬記念(G1)と同じく、ファン投票で出走馬が決定。ドリームレースとよばれる所以であり、元関西テレビ杉本清アナウンサーが残した「あなたの、そして私の夢が走ります」の名実況を覚えているファンも多いだろう。

 JRAの公式発表では、今年の宝塚記念ファン投票の有効票数は1,605,151票。去年から約20万票も増加している点は、昨今の競馬ブーム再燃の影響だろうか。

 ところが近年、競馬ファンの「夢」が詰まったファン投票1位馬の成績は、その夢を裏切る結果となっているのだ。過去10年、ファン投票1位に選ばれた馬は全部で6頭。2020年、19年と2年連続で1位となったアーモンドアイのように、2年連続でファン投票1位になった例は1頭で集計した。

 そのアーモンドアイは、残念ながら2年連続で不出走。18年にファン投票1位のサトノダイヤモンドは6着。17年、16年と2年連続1位のキタサンブラックは、それぞれ9着、3着に敗れた。

 さらに14年、15年も2年連続でゴールドシップが1位で選出も、15年は15着に惨敗。前年14年は優勝していただけに、当時の競馬ファンは大きな衝撃を受けた。

 そして12年、13年は、こちらも2年連続でオルフェーヴルが1位。12年は優勝も13年は不出走。最後に10年前の11年のファン投票1位はブエナビスタで、6番人気アーネストリーの2着に敗れている。

 結果、過去10年のファン投票1位馬の成績は、年単位で集計するとわずか2勝。2着・3着はそれぞれ1回で、残りは6着、9着、15着と、不出走が3回。近年のファン投票1位に選ばれた馬たちは、競馬ファンの「夢」を叶えることに大苦戦している。

 一方で、その「夢」を打ち砕く、ファン投票1位馬に土をつけた馬たちは、どのくらいの票を集めていたのか。

 18年、ファン投票1位のサトノダイヤモンドを撃破したのは、同28位のミッキーロケット。和田竜二騎手の好騎乗で、見事に「下剋上」を果たしたといえる。

 16年と17年のファン投票1位キタサンブラック。16年の優勝馬マリアライトは、同7位。17年、同馬を9着に退けたサトノクラウンは同8位だった。

 ファン投票1位馬を撃破した例で印象深いのが、ゴールドシップが15着に惨敗した15年の宝塚記念。当時66,123票を集めた前年優勝馬ゴールドシップに対して、ラブリーデイはわずか5,467票で27位。6万票以上の差を覆す「下剋上」をみせてくれた。

 さらに前出のブエナビスタを破ったアーネストリーは、ファン投票12位。このように、ファン投票では2桁順位に終わった馬たちも、意地を見せている。

 今年の宝塚記念に話を戻せば、堂々のファン投票1位は昨年優勝馬のクロノジェネシス。しかしこれまで紹介した例から、ファン投票下位の馬が、ディフェンディング・チャンピオンを倒す「下剋上」の可能性は十分にあるといえるだろう。

 対抗はやはりファン投票4位のレイパパレか。同6位カレンブーケドール、同8位キセキ、同12位アリストテレス、同15位モズベッロ、同29位メロディーレーンまでは「圏内」といえる。

 一方で、ファン投票45位のカデナ、同57位のシロニイあたりは厳しいか。

 ほか、ユニコーンライオン、ワイプティアーズ、アドマイヤアルバ、ミスマンマミーアは、ファン投票100位以下での出走となる。

 ちなみに宝塚記念の過去の歴史を調べると、1986年にはファン投票165位のパーシャンボーイという馬が出走して、見事優勝。こうした例もあることから、ドリームレースに選ばれし全13頭には、最後の最後まで諦めず、ぜひとも好勝負を演じてもらいたい。

(文=鈴木TKO)

<著者プロフィール>
野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。