先週の安田記念(G1)は、8番人気ダノンキングリーが優勝。単勝1.5倍の1番人気グランアレグリアは2着に敗れた。
同G1でグランアレグリアに投じられた単勝票数は4,984,229票。金額にすると約5億円が“吹っ飛んだ”ことになる。
思い返せば、3月28日の高松宮記念(G1)から先週の安田記念まで、今春のG1レースで1番人気に支持された馬たちは、ことごとく2着以下に沈んでしまった。
高松宮記念は2番人気ダノンスマッシュが勝利。1番人気レシステンシアは2着に終わった。4月4日の大阪杯(G1)も、単勝1.8倍で圧倒的人気のコントレイルは3着。優勝したのは4番人気レイパパレだった。
続く3歳クラシックロードを振り返れば、桜花賞(G1)1番人気のサトノレイナスは2着、皐月賞(G1)のダノンザキッドは15着に惨敗。
5月に入っても、春の天皇賞(G1)は1番人気ディープボンド2着、NHKマイルC(G1)ではグレナディアガーズが3着。記憶に新しい、オークスとダービーの両G1ではそれぞれソダシが8着、エフフォーリアは2着と、牡馬牝馬ともに1番人気の馬が2着以下。そして冒頭の安田記念の例に繋がった。
結果的に今春のG1レース10戦のなかで、1番人気で勝利したのは5月16日のヴィクトリアマイルを制したグランアレグリアただ1頭。着度別成績は1着1頭、2着5頭、3着2頭で着外2頭。勝率はわずか10%、連対率60%、複勝率80%という結果に終わった。
昨春と比較すると、その違いは一目瞭然だ。
2020年春のG1レース10戦で、1番人気に推された馬の着度別成績は1着5頭、2着3頭、3着1頭で、着外は高松宮記念のタワーオブロンドンが12着に惨敗しただけだった。
勝率は50%で、連対率80%、複勝率は驚異の90%と、「1番人気を買っていればほぼ、間違いない」現象が起きていた。これに比べると、昨春シーズンとはあまりにも異なる今春のG1シリーズだったといえる。
“呪われた1番人気”と揶揄したくなるほど、とにかく、1番人気が負けまくった今春のG1シリーズ。冒頭の安田記念では、1番人気グランアレグリアに土がついたことで、投じられた単勝売上約5億円が“死に金”と化した。
1番人気が勝利したヴィクトリアマイルを除く、10戦のうち9戦で2着以下に沈んだ1番人気に投じられた単勝売上を集計すると、いかに大量の“死に金”が発生したかわかる。
各9戦の単勝売上の時系列データから、1番人気に投じられた単勝票数を調べると、ダービーでエフフォーリアに投じられた単勝は6,501,347票。1票100円として約6.5億円と計算できる。
同様にオークスは3,573,500票で3.5億円、大阪杯では4,961,830票で約5億円と、それぞれ奇跡の白毛馬ソダシと、無敗の三冠馬コントレイルら、人気馬が1番人気に推されたレースでは、その金額はさらに高額となった。
一方で、混戦が予想されたNHKマイルCのグレナディアガーズには1,557,949票で約1.5億円、春の天皇賞ではディープボンドに1,967,491票で約2億円。高松宮記念はレシステンシアに1,596,767票で約1.6億円と集計。
牡馬と牝馬、それぞれクラシック一冠目の皐月賞ではダノンザキッドに2,225,212票で約2.2億円。桜花賞はサトノレイナスに2,343,264票の約2.3億円が集まった。
しかし結果はご存知のとおり。前述した安田記念の約5億円と合わせると約30億円が、文字通り“死に金”へと変貌してしまったのだ。
さらに上半期最後のG1レースとして待ち受けるのが、宝塚記念。6月27日、阪神競馬場で開催予定の同G1の1番人気は、昨年の覇者クロノジェネスだろうか。
グランプリレースとよばれるだけに、1番人気へ投じられる金額は、さらに高額になることは間違いないだろう。
果たして、宝塚記念の1番人気馬は、負け続けた今春のG1レースの1番人気の“呪い”を解くことができるか。これ以上の“死に金”を生み出さないためにも、その動向に今から注目したい。
(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。