今期の2歳戦初日となった5日、東京競馬場にて行われた芝1600mの新馬戦。POG(ペーパーオーナーゲーム)などでも大きな注目を集めたコマンドライン(牡2歳、美浦・国枝栄厩舎)が、単勝1.1倍の圧倒的支持に応えデビュー戦を圧勝した。
レースは、少頭数の11頭立て。好スタートを切ったコマンドラインは、抑えて先行馬群の中を追走する。
最後の直線に入り外に持ち出すと、残り400mから追撃開始。鞍上C.ルメール騎手のムチに応え一気に加速すると、逃げ粘るコンクパールに3馬身差をつけて快勝した。
騎乗したルメール騎手が「跳びの大きな馬で、今日はちょっと反応が遅かったですし、まだ呼吸も大きかった。でも最後はよく伸びてくれましたし、楽勝でしたね。レース後も全然疲れていませんし、今後へ向けていい勉強ができました」と話したように、あくまでここは通過点。
「これからだと思いますし、距離が延びて2000mになっても問題ないでしょう」との言葉からは、すでに年末のG1に照準を合わせているのかもしれない。
『東京スポーツ』によるデビュー前の取材では、ルメール騎手が「(来年の)ダービーも(騎乗の)予約をしておきます」と話していたが、強ち冗談とも言い切れない新馬戦の勝ちっぷりだった。
そんなコマンドラインだが、血統的に見ても日本ダービー(G1)制覇の可能性は十分。コマンドラインの全兄・アルジャンナは、一昨年の東京スポーツ杯2歳S(G3)でコントレイルの2着。昨年の日本ダービー(G1)はコントレイルが無敗で制したが、共通する血を持ち合わせている。
コマンドラインの母父は、ティズナウ産駒のティズワンダフル。コントレイルも母母父がティズナウ(2000年の米年度代表馬)であり、母系に同じ血が入っているのだ。ともにディープインパクト産駒であることも、コマンドラインと共通している。
ディープインパクトのニックスと言えばストームキャットが有名ではあるが、ティズナウの系統(インリアリティ系)もストームキャットと同じように「仕上がりの早さ」が売りの米国血統だ。
「日本でも、カルストンライトオやサニングデールを出したインリアリティ系ですから、やはりスピードとパワーがありますよね。コントレイルもティズナウの血が入っているように、日本のクラシックを狙うならディープインパクトには合いそうです。インリアリティ系は遡ればゴドルフィンアラビアンに行き着く貴重な血統。それだけでも注目に値します」(競馬記者)
サラブレッドの父系祖先を可能な限り遡った場合、辿り着くのはダーレーアラビアン、バイアリーターク、ゴドルフィンアラビアンの3頭。これらの種牡馬を「三大始祖」というが、ダーレーアラビアンが90%以上もの占有率を誇る大父系に発展しており、日本で有名なサンデーサイレンスもダーレーアラビアンの系統に属する。
つまり、バイアリーターク、ゴドルフィンアラビアンはマイナーな系統であり、頭数も多くはないのだ。
そこで最後に、母父にティズナウ系の血を持った2歳のディープインパクト産駒を紹介したいと思う。
母父にティズナウ系を持つ、2歳のディープインパクト産駒は全部で4頭。母コンドコマンドの他では、タイタンクイーン、ティズウインディ、ティズトレメンダスがティズナウの血を持ち合わせている。
母タイタンクイーンは、セレクトセール2019にて当歳セッション最高額の5億760万円(税込)で近藤利一氏が落札。近藤氏が死去したことによりワールドプレミアのオーナーでもある大塚亮一氏が引き継ぎ、リアドと命名されるようだ。
母ティズウインディは、北海道セレクションセールにて6380万円(税込)。オーナーは2017年の菊花賞を制したキセキを所有する石川達絵氏で、馬名はロールアップに決定している。
母ティズトレメンダスは、セレクトセール2020の1歳セッションで7040万円(税込)。キャロットクラブで総額6400万円で募集され、ティズグロリアスと命名された。
■母父にティズナウ系を持つ2歳ディープインパクト産駒
コマンドライン(母コンドコマンド)
リアド(母タイタンクイーン)
ロールアップ(母ティズウインディ)
ティズグロリアス(母ティズトレメンダス)
因みに、新種牡馬であるアメリカンペイトリオットは、父がダンチヒ系のウォーフロント、母父がティズナウという血統。逆に母父ディープインパクト産駒という馬も4頭いる。
■母父にディープインパクトを持つ2歳アメリカンペイトリオット産駒
スペイスフォース(母スターライト)
サザンステート(母ディープサウス)
パワーブローキング(母ピクシープリンセス)
ルチア(母エレーデ)
無論、これらが走るとは限らない。ただ、母タイタンクイーンの5億760万円(税込)にしても、デキが良かったことに加えディープインパクトとティズナウの配合に魅力を感じたことが要因の1つだったのではないだろうか。
ディープインパクト×ティズナウ。コントレイルのような、未来のG1馬誕生に期待したい。(文=北野なるはや)
<著者プロフィール>
某競走馬育成牧場で働いた後、様々なジャンルの仕事で競馬関連会社を転々とする。その後、好きが高じて趣味でプログラミングを学習。馬券には一切のロマンを挟まないデータ派であるが、POG(ペーパーオーナーゲーム)では馬体派という奇妙な一面も持つ。