JRA「馬なり調整」グランアレグリアにアーモンドアイの悪夢再び!? 安田記念(G1)コントレイル、ソダシ、エフフォーリア……、大本命馬連敗の春競馬で次なる刺客は?

 6日、東京競馬場では春のマイル王決定戦・安田記念(G1)が行われる。昨年はヴィクトリアマイル(G1)を楽勝のアーモンドアイが、単勝1.3倍の圧倒的支持を集めたが、2着に敗退。同馬は19年にも3着に敗れており、無類の強さを誇った名馬も安田記念を勝てないまま現役生活に別れを告げた。

 その安田記念で絶対女王を完膚なきまでに叩きのめしたのが、2馬身半という決定的な差をつけて勝利したグランアレグリア(牝5、美浦・藤沢和雄厩舎)だ。

 今年の始動戦・大阪杯(G1)では、コントレイルに次ぐ2番人気に推されたが、集中的な雨でぬかるんだ馬場に自慢の末脚を封じられ4着に敗退。陣営が最大目標に掲げる秋の天皇賞(G1)を見据えた初の2000mで勝利は叶わなかった。

 だが、ホームグランドともいえるマイルに戻った前走のヴィクトリアマイルは、モノの違いを見せつける大楽勝。東京芝1600mは最も得意とする条件である。同じ舞台の安田記念参戦なら、絶対的な存在ともいえるだろう。

 にもかかわらず、どこか危うさを感じてしまうのは、これまで大事に使われてきたからだ。

 本格化前の3歳だったとはいえ、桜花賞(G1)勝利から中3週で臨んだNHKマイルC(G1)は5着(4位入線からの降着)、昨年の高松宮記念(G1)は2着(3位入線2着繰り上がり)からヴィクトリアマイルを予定していたものの、熱発により回避した経緯がある。

 能力を発揮するには「十分な間隔」を空ける必要があるというのは精神面、体質の弱さを物語る内容だ。中間に左前脚を気にして、馬場入りを休んだことからも、状態への不安は少なくともありそうだ。美浦の坂路で行われた2日の最終追い切りは、ほぼ馬なりの軽い内容にとどまった。

 勿論、このクラスの馬ともなれば絶好調である必要はない。出走を予定しているメンバーは、ほぼ勝負づけの終わっている相手。不気味な存在といえば、3歳のシュネルマイスターくらいか。

 唯一、この最強マイラーに一矢報いる可能性があるとすれば、それはインディチャンプかもしれない。

 2頭が直接対決した昨年のマイルCS(G1)は、完璧なレース運びをしたインディチャンプに対し、スムーズな進路を取れなかったグランレグリアがねじ伏せるように差し切り。昨年の安田記念に続いて連勝中なら分が悪いようにも感じる。

 しかし、女王に体調の不安が付きまとうのなら、展開次第で負かせる可能性は出て来る。何しろ、昨年のアーモンドアイのときも、大方の見方は確勝級での敗戦。さらにヴィクトリアマイル経由だったのは今年のグランアレグリアも同じ。

 そして、昨年のグランアレグリアと同じくインディチャンプは、高松宮記念経由での参戦。2頭の臨戦過程はアーモンドアイが敗れたときと奇しくも一致するのだ。

 馬優先の藤沢厩舎だけに、出走してくるからには問題なしということは、十分にあり得る。とはいえ、大阪杯は三冠馬コントレイルですら疲れが抜けず、宝塚記念(G1)回避に追いやられた雨中の大激戦。これは牝馬のグランアレグリアとて例外ではないだろう。

 ヴィクトリアマイルの楽勝で、確勝ムードに益々拍車が掛かったこの状況ゆえに、かえってそれが盲点とならないだろうか。

 今年の春競馬は1倍台の支持を受けた大本命馬にとって受難続き。大阪杯は1.8倍のコントレイルが3着、オークス(G1)は1.9倍のソダシが8着、日本ダービー(G1)は1.7倍のエフフォーリアが2着と裏切ったばかり。

 例外はヴィクトリアマイルで1.3倍に応えたグランアレグリアのみ。

 はたして女王は、この悪い流れに抗うことが出来るか。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。