JRAセレクトセール「高額落札馬」はダービーを勝てない!? 日本ダービー(G1)サトノレイナスを “おねだり”した国枝栄調教師を襲う「不吉なジンクス」とは

 競馬の祭典・日本ダービー(G1)が30日、東京競馬場で行われる。2018年に生まれた7398頭の頂点を決める一戦に1頭の牝馬が参戦する。桜花賞2着馬のサトノレイナス(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)である。

 オークス(G1)に出走していれば“確勝級”とまで言われたが、あえて一線級牡馬相手に挑むことを選択した。国枝調教師はその胸の内を今月20日に発売されたスポーツ総合雑誌『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で次のように語っている。

「“ダービー”というのは世界中のホースマンに名の通るレースだし、競馬をやらない人でも知っていますから……」

 詳細はぜひ同誌を手に取ってご覧頂きたいのだが、サトノレイナスを預かることになった経緯についても記述がある。

「2018年のセレクトセール。上場される仔馬の名簿に、厩舎に縁のある名があった。『サトノフラッグの全妹でした』

サトノフラッグは当時1歳で、後に弥生賞を勝つ。良い馬だったのでその妹も……とオーナーに進言、『購入してもらった』のがサトノレイナスだった」

 そのオーナーとは『サトノ』の冠名で知られる里見治氏。毎年のようにセレクトセールで“爆買い”する大物個人馬主として知られる。ダービーオーナーの称号に並々ならぬ情熱を持っている里見氏。そんな里見氏が国枝調教師の助言のもと、当時当歳だったサトノレイナスを何と1億800万円(税込)で落札。この年の当歳セレクトセールで取引された69頭の牝馬の中で2番目という高額だった。

 しかし、サトノレイナス陣営にとってこの高額取引が裏目に出るかもしれない。

「1998年に創設されたセレクトセールは当初から多くのG1馬を輩出しています。ディープインパクト、ジャスタウェイ、アドマイヤムーンなど、数えればきりがありません。現役のG1勝ち馬だけでもデアリングタクト、ワールドプレミア、ラヴズオンリーユーなど6頭に上ります。

2年前には16年の当歳セレクトセールにて8424万円で取り引きされたロジャーバローズがダービーを勝っていますね。ただし、取引額が1億円以上の高額馬はこれまでダービーを勝っていません」(競馬誌ライター)

 これまでダービーに出走したセレクトセール出身馬は約20年間で合計77頭。これを取引価格帯別で見ると、ある傾向が浮かび上がってきた。

【セレクトセール取引価格帯別ダービー成績】
5000万円未満 「1-1-0-25/27」
5000万~1億円未満 「3-3-3-15/24」
1億円以上「0-3-2-21/26」

 5000万円未満という比較的リーズナブルな価格で取り引きされた馬は27頭が出走し、勝ったのはディープブリランテ(3255万円)のみとやや苦戦傾向だ。好走ゾーンは5000万から1億円未満で、24頭中9頭が馬券に絡んでいる。ところが、最も期待値が高いはずの1億円以上の高額馬は26頭が出走して2着は3回あるが、勝ち切れていない。

 今年のダービーに出走予定の17頭中、セレクトセール出身の馬は7頭。この中で最高額で取引されたのはグラティアスで2億4840万円。これに続くのがサトノレイナスである。

 思い起こせば昨年のダービーにも1億円以上で取り引きされた馬が3頭出走。ワーケア、サトノフラッグ、そしてアルジャンナはそろって人気を大きく裏切る惨敗を喫している。

 セレクトセール出身の牝馬としては初めてダービーに駒を進めるサトノレイナス。この“不吉なジンクス”を断ち切ることはできるだろうか。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。