JRA 「逃げるは恥」とはいわせない!? オークス(G1)大本命ソダシ陣営の“逃げ”容認宣言が意味するものとは?

 世間をアッと言わせた新垣結衣さんと星野源さんという大物カップルの結婚に沸いた19日夜。

 二人が交際をスタートさせたのは、共演したドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』がきっかけとのこと。そんな理由から、翌20日朝にはスポーツ新聞やネットニュースには、“逃げる”や、“恥”という言葉が乱舞した。

 さらにこのタイミングを知ってか知らずか、オークス(G1)で大本命と見られているソダシの陣営から「(ソダシが)行きたければ行ってもいい」と、“逃げ”容認宣言が出されたのだ。

 19日朝に最終追い切りを終えたソダシ。この“逃げ”戦法を容認する発言は、その追い切り後に発表されたもの。無敗で挑む大一番のオークスで、ソダシ自身初となる“逃げ”の手に打って出るのか、俄然、注目を集めるコメントとなった。

 昨年7月、函館のメイクデビューでは最終コーナーを2番手で通過したソダシは、直線で抜け出して勝利。続く9月の札幌2歳S(G3)は最後の直線入り口で先頭に立つも、道中は3〜4番手をキープ。決して“逃げ”たわけではなかった。

 さらに10月のアルテミスS(G3)では最終コーナー2番手からキッチリと差し切り勝ち。12月の阪神JF(G1)では、馬群に包まれた最終コーナー4番手から逃げるヨカヨカを交わしてゴール。サトノレイナスとの見応えある接戦をハナ差で制した。

 そして前走の桜花賞(G1)では、最終コーナー3番手から完璧な立ち回りをみせて後続を完封。1分31秒1のレコード勝ちは、記憶に新しいところだろう。

 光り輝く白毛馬のせいか、さらに芝コースの緑色との相乗効果か。過去レースを検証すると、最終コーナーを曲がって直線を走るソダシは、まるで重厚な戦車のように“ノッシノッシ”と進むように見えないだろうか。

 しかし、ソダシのストロングポイントはその操縦性にある。見た目とは裏腹に、意外と器用な立ち回りをみせるのがソダシの強みでもあるのだ。

 元JRA騎手の安藤勝己氏は、桜花賞後に自身のTwitterで「(ソダシは)とにかく競馬が上手い」とつぶやき、先の阪神JF後は「G1メンバー、時計が速い決着になっても、いつものセンスある立ち回り」と称賛。前出のアルテミスS後も「マイルでもセンスで位置を取れたし、それでいて追ってからしっかり伸びとるもん」と評価している点は、ソダシの操縦性の高さを裏付けているといえるだろう。

 仮にソダシが“逃げ”戦法を打った場合に、追い風となるデータもある。

 5月16日まで、今年1年のJRA全レースを検証すると“逃げ”馬は1401頭。ここでいう”逃げ”とは、2~4コーナーで1度でも先頭を走った馬を指している。

 この“逃げ”馬の着度別成績をみると、ソダシの主戦・吉田隼騎手が最多の17勝をマーク。同騎手は17勝のほか、2着7回、3着2回。勝率53.1%、連対率75.0%、複勝率81.3%の好成績を残している点は心強いデータといえるだろう。

 雨模様が予想される今年のオークス。当日のソダシの枠順は、6枠11番に決まった。

 改めて出走メンバーを見れば、過去に“逃げた”馬はおらず、“逃げ”馬不在の一戦。だからこそ、“逃げ”馬のエスコートならお手の物の吉田隼騎手の手綱に導かれて、ソダシがスタートから自然とハナを切る展開も予想できる。

 さらに他の馬からの蹴り返しを受けず、雨の影響でぬかるんだ泥を浴びずに先頭をキープ。自慢の真っ白の馬体を汚すことなく、ソダシがそのまま先頭でゴールを駆け抜ける……そんな結末も想像したくなる。

 桜花賞から一気に800m距離が延びる東京2400mの舞台は、ソダシにとって初体験。これを自身初の“逃げ”の手を打って勝利すれば、もう話題先行とはいわせない。“恥”どころか、いくつかの初体験を言い訳にしない正真正銘の「最強の女王」が誕生したと、すべての競馬ファンから祝福を受けるだろう。

(文=鈴木TKO)

<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。

(文=鈴木TKO)

<著者プロフィール>
野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。