JRA「ハンデ戦にしないとね」武豊もお手上げだったアグネスタキオン、刻をこえて復活した幻の三冠馬が皐月賞(G1)前に話題独占?

 先週の桜花賞(G1)を制したソダシだが、その父クロフネを2000年のラジオたんぱ杯3歳S(G3・現ホープフルSの前身)でレコード撃破したのがアグネスタキオンだ。

 アグネスタキオンはディープインパクトの父としても知られるサンデーサイレンス、桜花賞馬の母アグネスフローラとの間に生まれた。全兄にダービー馬アグネスフライトがいる超良血馬である。

 前述したラジオたんぱ杯で重賞初勝利を挙げたアグネスタキオンは、翌年の弥生賞(G2)から始動。前走でクロフネ、ジャングルポケットといったトップクラスを相手に楽勝したこともあり、ファンも単勝1.2倍の圧倒的1番人気に支持した。

「三冠を取れる可能性のある馬」

 管理している長浜博之調教師がそう評したほどの強さに、ライバル陣営は続々と回避を表明する。最終的に8頭立ての少頭数で行われたこのレースで2着のボーンキングに5馬身の差をつける大楽勝を披露した。アグネスタキオンのあまりの強さにボーンキングに騎乗していた武豊騎手をして「強過ぎるね、クラシックもハンデ戦にしないとね」と冗談とも本気ともいえないコメントを引き出したほど。このときの4着は後の菊花賞馬マンハッタンカフェだった。

 牡馬クラシック第1弾の皐月賞(G1)に、アグネスタキオンは当然のごとく単勝1.3倍の断然人気で挑む。好位4、5番手から楽に抜け出す競馬で、2着ダンツフレーム、3着ジャングルポケットを一蹴した。

 危なげない内容でクラシック初戦を制したアグネスタキオンは、これでデビューから無傷の4戦全勝。1994年ナリタブライアン三冠達成が期待されたが、日本ダービー(G1)を前に左前浅屈腱炎を発症して出走を断念。関係者が協議した結果、引退して種牡馬となることが決定した。

 種牡馬となったアグネスタキオンは名牝ダイワスカーレット、ダービー馬ディープスカイをはじめ、6頭のG1馬を輩出。2008年にはリーディングサイアーの座を手に入れ、サンデーサイレンスの後継として大きな期待を集めたが、翌年に急性心不全で急逝する。

「幻の三冠馬」ともいわれたアグネスタキオンだが、13日のSNSで「#アグネスタキオン生誕祭2021」というトレンドで急浮上した。確かに4月13日はアグネスタキオンの誕生日でもあるが、ここまで大々的に話題に上がることはなかった。

 どうやらこれはアグネスタキオンが『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)に登場しているため、その知名度が爆発的に上がったことに関係があったようだ。また、本ゲームにはタキオンだけでなく、代表産駒のダイワスカーレットも登場している。

 競走馬を擬人化したキャラクターである「ウマ娘」として育成するゲームの詳細については割愛するが、コアな競馬ファンだけでなく一般のファンも巻き込んだ爆発的なヒットとなったこともあって、新たなファンを獲得したということだろう。

 刻をこえて「ウマ娘」となって復活したアグネスタキオン。その現役時代、最後のG1勝利となったのが今週行われる皐月賞である。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。