朝ドラ『おちょやん』百久利を演じる坂口涼太郎は『エール』にも出演の“クセメン”俳優

 戦況が厳しくなり、客足が遠のいた鶴亀家庭劇。こんなときこそ芝居に力を入れたい竹井千代(杉咲花)とは反対に、まわりの状況は刻々と変わっていった。3月29日(月)~4月2日(金)のNHK連続テレビ小説『おちょやん』を振り返ろう。

福助と百久利が出兵、鶴亀家庭劇は再出発

 ある日、富川福助(井上拓哉)が栗ようかんを持って天海家を訪れた。千代たちは「何か下心があるのでは?」と疑いながらも昔話に花を咲かせていると、福助は「赤紙が届いた。みつえと一福をよろしく頼む」と頭を下げた。

 その頃、富川みつえ(東野絢香)は岡安に福助のことを伝えに行き、その帰りに岡田シズ(篠原涼子)も同行し、菊(いしのようこ)に岡安を閉めることを報告した。

 岡安の閉店作業を手伝った帰りに、福富楽器店でみつえから「福助に、最後に思い切りトランペットを吹かせてあげたかった」と聞いた千代は、天海一平(成田凌)に相談。他の座員たちには内緒で、ある計画を立てた。

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 出兵祝いの後、福助をえびす座に連れて行き、トランペットを吹くよう促した。その音で通報を受けた警察官が駆け込んできたが、高峰ルリ子(明日海りお)たちの発声練習だったとごまかした。すると、他の座員や両家も現れて、急遽、福助のトランペット演奏会が行われた。

 福助を見送った数日後、シズは女中頭のかめ(楠見薫)以外の岡安を辞めていくお茶子たちにお礼を伝え、最後はわざと明るく振る舞って追い出した。

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 えびす座と鶴亀座が閉館すると、鶴亀家庭劇は小さな劇場を回るようになった。そんなある日、稽古場で空襲警報が流れ、千代たちは防空壕に。険悪なムードの中で、ひとりの男が「花子やろ?」と話しかけてきた。人違いだと言うと、男は「花子は人ちゃう、昔飼ってた牛や」と返して、まわりは爆笑。2人の即興漫才のおかげで、防空壕は笑いに包まれた。その後、男が漫才師の花車当郎(塚地武雅)だと知ると、千代は笑いの素晴らしさを再確認した。

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 須賀廼家千之助(星田英利)の後をついて回っていた須賀廼家百久利(坂口涼太郎)に赤紙が届いた。複雑な顔をする座員たちを前に、涙を隠して明るく出て行く百久利を見て、千代は家庭劇をみんなで守ろうと喝を入れるが、一平は家庭劇の解散を告げる。大山鶴蔵社長(中村鴈治郎)に見限られてしまったのだ。

 千代は泣きながら抗議したが、座員たちは口々に生活苦をこぼしていき、仕方なく解散することに。帰宅後、一平は勝手に解散を決めたことを謝った。

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 みつえたちの疎開が近づいたある日、婦人会がトランペットを出せと福助楽器店を訪れた。みつえが鍋やトランペットを質に入れたときの金を差し出すと、「本当に質に入れたのか」と疑われる。みつえはカチンときて「信じられないなら、この包丁で殺してから家探ししろ!」と叫び、福富の名誉のため、お国のためなら、いつでも命を捨てる覚悟があると訴えると、婦人会は帰って行き、みつえたちは何とかごまかせたと胸をなでおろした。

 理不尽の連続に先を見失った千代は、シズを訪ねた。そこで「岡安をもう一度開きたい」という前向きな言葉にハッとさせられ、帰宅後、一平にひとりでも鶴亀家庭劇を続けたいと伝えた。

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 千代は個人で稽古場を借り直し、松島寛治(前田旺志郎)と家庭劇を続けることにした。2人で練習していると、座員たちが次々と稽古場に戻ってきて、最後に現れた一平は京都の朱雀劇場を押さえていた。鶴亀家庭劇の再出発を祝って、百久利が好きだった酒で盃を交わした。

 昭和20年3月10日、東京の空襲がニュースで流れた。シズは菊から「次は大阪かもしれん、死んだら終いや。まだあきらめてへんのやったら、何が何でも生き延び」と言われ、かめに宗助(名倉潤)と疎開するよう伝えた。

 家庭劇の京都公演の日、公演前の千代と一平に寛治が「大阪が空襲に遭い、道頓堀もやられてしまった」と伝えた。

百久利は『エール』音の見合い相手

 喜劇を題材にした今作だが、戦争をリアルに感じさせたのは、福助と百久利の出兵だろう。今回は、鶴亀家庭劇の若手の須賀廼家百久利を紹介したい。

 百久利は須賀廼家徳利(大塚宣幸)の弟分で、千之助に心酔する若い役者という役どころ。鶴亀家庭劇に参加したのも、千之助がきっかけだ。はじめは千之助の言うことにしか従わなかったが、須賀廼家万太郎一座との戦いで千之助がひとりで突っ走ってしまった際には、勇気を出して抗議。千之助に殴られて泣きながらも、自分の主張を崩さなかった。

 そんな百久利を演じるのは、俳優の坂口涼太郎。個性的な顔立ちと独特な演技から「クセメン」という異名を持つ。シンガーソングライターやダンサーとしても活躍する、マルチな俳優だ。若手の名バイプレーヤーとして知られ、NHKの朝ドラには『なつぞら』『エール』にも出演している。『エール』のヒロイン・関内音(二階堂ふみ)の見合い相手と言われれば、ピンとくる人もいるだろう。

 この他にもさまざまな作品に出演しており、最近では、『ランチ合コン探偵』(日本テレビ系)、『ルパンの娘 第2シリーズ』(フジテレビ系)、『恐怖新聞』(同)などのドラマがある。

 また、ネット上では「お笑い芸人のひょっこりはんとそっくり」とよく言われているが、もちろん同一人物ではなく血縁関係もないので、その点だけ気をつけたい。

 今週はつらかった戦争が終わり、それぞれの新しい人生が始まる。千代が「大阪のお母さん」と呼ばれるきっかけとなる出来事も近づいている。千代たちの進む道を見守ろう。

(文=安倍川モチ子/フリーライター)